マガジンのカバー画像

アドベント交換日記2018

21
運営しているクリエイター

#川野芽生

ぬいぐるみへの愛に悩んだときに

ぬいぐるみへの愛に悩んだときに

 こんばんは。アドベント交換日記三日目の担当は「虹色の水晶窟に住む蜥蜴」(命名:吉田)こと川野芽生です。
 蜥蜴なので心中とかシリアルキラーとか愛とかはよくわからない。変温動物なので。
 このあいだ、ある怪獣となぜか「寒さについてどう思う? 暑さは?」という会話をして、私はひたすら「寒さは美しい。暑さは美しくない。涼しさはきれい。あたたかさはかわいい。ぬるさはなんか不潔。熱も焔まで行けば美しい」と

もっとみる
好意の銃弾

好意の銃弾

拝啓 ラブフェアリー様

 ラブフェアリー様にご相談したい悩み事がふたつあります。それは、
・顔がいい
・もてる
ということです。あっ、この話、人間に知られたら人間社会を石もて追われることになるので、くれぐれも内密にお願いしますね。

 これは、上記のふたつに、
・ASD傾向がある
・アロマンティックアセクシャルである
というふたつを兼ね備えるとどうなるのか、という話でもあります。

 顔がいい、

もっとみる
たったひとつの冴えたやりかた

たったひとつの冴えたやりかた

 前回はわたしの「もてたくない」という相談にラブフェアリー様が答えてくれました。お返しと言ってはなんだけど、今回はわたしなりの「もてない」ための方法を書いてみようかなと思います。
 「もて」から、というか、様々な加害や侵犯から身を守るための方法としてわたしが知っているのは、ただひとつ「したいことしかしない」ことです。「したいことしかしたくないと知っておく」と言い換えてもいいかもしれません。
 断っ

もっとみる
あわいのこと

あわいのこと

 ときどき、このうつつから一瞬だけ目を覚ましてしまったかのような、そんな瞬間が訪れた。わたしがなぜこの〈わたし〉の中に入っているのかわからなくなる瞬間だ。それは、頭で疑問に思うというのとは違っていて、自分がしゃぼんだまの被膜に包まれてまわりの世界から隔離されているような感覚を伴っていた。既視感に似ていると思う。歩いているとき、人と話しているとき、ふとしたときにやって来て、見た目はそっくりだけれどす

もっとみる