医学部学士編入合格体験記

記事の概要

私は2023年度の医学部学士編入学試験で香川大学・大阪大学から合格をいただきました。この記事では私の医学部学士編入試験の受験記について紹介していきます。この記事が1人でも多くの方の参考になれば幸いです。

経歴

私は地方の私立中高一貫校を卒業後、1浪で東京大学理科二類に入学しました。大学に使用した理科科目は物理・化学です。2年生の進学選択では工学部に進学しました。学部4年の卒業見込みの状態で医学部学士編入学試験を受験しました。

スケジュール

2022年
2/10 勉強開始
3/20 TOEICL&R受験
6/4 香川大学第1次選抜
7/2 大阪大学第1次試験
7/3 香川大学第2次選抜
7/23 大阪大学第2次試験

総コスト

  • 参考書 63,890円

  • KALS 30,800円

  • GHS会 14,850円

  • 旅費(飛行機・新幹線・マリンライナーのみ) 60,840円

  • 宿泊費 16,000円

  • 受験料 61,780円

  • TOEIC 7,810円

  • スタディサプリ 3,700円

計 259,670円
上記の他にも郵便費、電車代バス代などであと1万円ぐらいはかかったと思います。参考書は売却して半分くらいは回収できそうです。

受験記

2月 勉強開始

5日まで大学の期末試験があったので、勉強を実際に始めたのは色々と調べた後の10日からでした。勉強を始める前に受験校、参考書をどうするかや、受験にかかる費用について調べました。このときは研究志向の大学でかつこれまでの研究経験が問われない大学を選び、大阪大学と北海道大学を受験しようと考えました(のちに考えが変わって香川大学を受験)。また参考書については頒布会の情報を参考にしたり、実際に本屋に行って手に取ってみたりして決めていきました。

2月は受験費などを稼ぐために週2でバイトをしながら勉強していました。バイト以外は特に用事がなかったので、何もない日は10時間以上勉強していたと思います。

物理:化学:生命科学:英語=2:1:6:1ぐらいで勉強していました。物理は「演習 力学キャンパス・ゼミ」「演習 熱力学キャンパス・ゼミ」「演習 電磁気学キャンパス・ゼミ」を同時並行で、化学は有機化学が大事であることがわかったので「単位が取れる有機化学ノート」を勉強しました。生命科学は高校生物の内容から始めました。「リードLightノート生物基礎」から始めてその後「リードLightノート生物」を勉強しました。英語は下旬からスタディサプリに1ヶ月間登録して勉強しました。TOEIC受験まではずっとこれらの勉強をしていました。ほとんど生物の勉強をしていましたが、最初は面白く感じて長時間勉強していても苦ではありませんでした。

3月 TOEIC受験

引き続き2月と同じように勉強をしていました。受験のためのお金が足りそうだったのでバイト先に3月いっぱいで辞めることを伝えました。

TOEICの直前に「公式問題集7」を購入して本番の練習をしました。本番は公式問題集より明らかに難しく感じましたが大きな失敗はしなかったので900くらいはありそうかなという感触でした。TOEICの結果は925(L465R460)でした。

TOEIC受験が終了したタイミングで勉強内容を大きく変えました。生物は高校生物を終えて大学生命科学に入りました。まず「KALS要項集」「プログレッシブ生命科学」を入手して、KALSのテストバンクに申し込んで「要項集を読む→テストバンクを解く」をひたすら繰り返しました。化学は新しく「単位が取れる物理化学ノート」「単位が取れる量子化学ノート」を始めました。物理は引き続き同じものをしていました。

4月 大学スタート

バイトは終わりましたが、大学の授業と研究室生活が始まりました。授業は週2コマしかありませんでしたが、どちらも落とすと即留年だったのでそれなりに真面目に取り組む必要がありました。研究室は最初は研究分野に関する勉強からスタートだったのでそこまで大変ではありませんでした。4月は週1日で大学の1週間分の課題や用事を全部終わらせて残りの日で勉強していました。

物理:化学:生命科学=2:4:4で勉強していました。物理はマセマの1週目が終了したので阪大の過去問を解いたりしていました。化学は「単位が取れる有機化学ノート」の内容はかなり仕上がってきましたがこの本の内容では阪大に全然足りないことがわかったので「有機化学演習基本から大学院入試まで」を購入して演習を始めました。生命科学は4月下旬くらいにはテストバンクで安定して9割くらいは取れるようになってきたので、記述の練習に入りました。具体的には「KALS要項集」のチェックリストの解答を作成して(これだけで2週間くらいかかった)、何も見ずに記述できるように繰り返し練習しました。下旬くらいから北大の過去問を解き始めました。解答をGHS会から購入して利用しました。

5月 香大出願 & 阪大出願

大学の授業は変化はありませんでしたが、研究室はそろそろ研究テーマを決めないといけなかったので、先行研究を調べたり研究計画を作成したりして時間を取られました。毎日3,4時間ぐらいは研究室関連のことをしていたと思います。

5月の前半は物理:化学:生命科学=2:5:3ぐらいで勉強していました。物理はマセマの2週目を始めました。2週目は間違えた問題のみ解き進めて行きました(1/4くらいは解き直した)。

中旬に香川大学に出願しました。当初は大阪大学と北海道大学を受験する予定でしたが、受験日が迫るにつれて全落ちする恐怖に駆られ、東大院に出願しようと考えました。東大院ならばほぼ間違いなく合格できるだろうと思って東大院に出願しようと考えたのですが、院試と北海道大学の日程が近く両立は困難だと考えました。大阪大学に落ちた場合に北海道大学を受験しようと思っていましたが、その場合には全落ちを避けるために院試の勉強に時間を割く必要があり、北海道大学に合格するのはかなり難しいと感じました。そのため自分が医学部に編入できるかどうかが阪大の編入試験の合否のみでほぼほぼ決まってしまうことになり、それは嫌だったので編入試験の弾数を増やすために香川大学を受験しようと考えました。出願しようと決断したのが本当にギリギリだったので速達+速達返しで願書請求をして、速達で出願しました。その後出願書類に不備があると大学の事務から電話があり、追加の書類を速達で送付したので郵便費がかなりかかりました。

5月の後半は「有機化学演習基本から大学院入試まで」と香川大学の過去問に取り組みました。香川大学の過去問は5年分くらい解きました。1年前が新型コロナウイルス関連の問題だったので、GHS会から購入したものを利用して対策しました。

月末に阪大の出願締切が迫っていたので締切の1週間前ぐらいから志望理由書に取り掛かりました。自分で書いたものを友人に添削してもらい、出願しました。早く書かないといけないなとは思っていましたが、面倒に感じて先送りにしてギリギリになってしまいました。

6月 香大1次

大学の授業は今まで通りで、研究室は研究の方向性は決まってきたので先行研究について調べたりしていました。変わらず3,4時間ぐらいは研究室関連のことをしていました。香川大学の受験までは出題されそうなところを中心に勉強をしました(特に化学)。

香川大学1次試験
香川大学の1次試験は午後スタートだったので、日帰りで受験しました。朝5時くらいに家を出て、7時くらいに成田発の飛行機にのって高松空港に到着しました。大学の食堂で勉強しようと思って香川大学へのアクセス方法を調べてバスに乗りましたが、途中で別のキャンパスに向かおうとしていることに気が付きどうしようか悩みましたが、時間には余裕があったので市街地に向かうことにしました。ゆっくりできそうな場所を地図で探していると、近くにガストがあったのでそこで昼食を取ってドリンクバーを飲みながら勉強していました。その後受験会場のあるキャンパスに電車とバスを使って移動しました。
試験ではまずは物理から解きました。過去問では大体9割ぐらいは解けたような感じでしたが、本番の問題は難しく計算が大変で半分くらいしか解けませんでした。例年の物理は比較的簡単なので、受験生の中で自分だけがドツボにハマっているのではないかとかなり不安な気持ちになりながら次の化学に進みました。化学は例年と同じくらいのレベルに感じました。ただ有機化学がまだ完璧ではなく、所々わからない問題もあり、8割くらいの感触でした。最後の生命科学は過去問と比べて難易度も高く感じ、記述の量も増えていたので時間ギリギリでした。考察型の問題も多くありましたが、ほとんど自信なく解答しました。6割ぐらいの感触でした。
試験後には、全てが微妙な感触で1次通過したか微妙だなと思っていました。それまで模試も受けたことがなく、自分のレベルがわからなかったのでどうなるか全く予想できず不安でした。大学からバスで市街地まで戻って、うどんを食べてから再びバスで空港に向かい、東京に帰りました。

香川大学1次試験後は主に阪大に向けて勉強をしました。とにかく有機化学と過去問演習に時間をかけました。また阪大の生命科学で頻出のがん・免疫分野の対策として「休み時間の免疫学」「ブルーバックス がんはなぜできるのか」を使用しました。それに加えて、北海道大学への対策として統計学の勉強もしていました。GHS会から購入したものを使用しました。統計学はもともと得意だったのであまり時間はかけませんでした。

中旬くらいに香川大学の1次試験の合格発表がありました。合格していてとりあえず自分が戦えるレベルにあることがわかり安心しました。合格発表があってから香川大学に志望理由書を提出する必要があったのでその作成をしました。阪大で作成したものをほぼそのまま流用しました。香川大学の字数は2000字程度で、阪大に提出したものは1500字程度だったので具体的に書いて500字くらい膨らませて提出しました。2枚目の研究課題・論文リストは、自分の研究業績は今まで何もありませんでしたが、白紙で提出するわけにはいかないので卒論の研究テーマについて書きました。

編入試験とは直接関係ありませんが、東大院の出願のために25日にTOEFLiBTを受験しました。70点ぐらい取れればいいと考えていたのでそこまで時間はかけませんでしたが、直前1週間はリスニングとスピーキングの問題を毎日1回分解いていました。結果は74でした。

直前の1週間は阪大の対策に集中したいと考えていましたが、東大院の出願手続き(あまり大変ではないと思っていたが、修士の研究計画を作成するのに意外に時間がかかった)と、急に研究室の進捗報告が必要になり、ほとんど勉強に時間を割くことができませんでした。

7月 阪大1次 & 香大2次 & 阪大2次 & 香大合格発表

・大阪大学1次試験
阪大の1次試験は午前スタートだったので当日入りというわけにはいかず、前日に大阪に向かいました。直前1週間がかなり忙しく寝不足で新幹線で酔ってしまい、ヘトヘトになりながら夕方に新大阪に到着しました。猛暑の中予約していたホテルに向かい、チェックインして休みたいと考えていましたが、腕時計を忘れていることに気付き仕方なく買いに行こうと外出しました。そのあとホテルに戻って夕食をとって最後に少し確認して10時には寝ようと思いましたが、ホテルの部屋が線路の真横だったので非常にうるさく、1時くらいまでは寝られませんでした。朝も7時に目覚ましを設定していましたが、5時くらいに再び電車が走り始めて目が覚めました。ここから二度寝するのは怖かったので起きることにしました。朝食をとって準備をして電車とモノレールで吹田キャンパスの試験会場に向かいました。かなり眠気があってコンディションが悪かったのでこれで落ちても仕方がないなと感じてあまり緊張しませんでした。
最初の物理は力学と電磁気学で、力学から取り掛かりました。風変わりな問題で解きにくく感じました。半分くらい解いたところで答えが汚い値になり、あっている自信もなかったので切り上げて電磁気学に移りました。電磁気学はベクトルポテンシャルからの出題で微積分の計算力が必要な問題でした。電磁気学は穴埋め形式でしたが7割くらいは自信を持って埋めることができたと思います。全部で50点ぐらいかなという感触でした。開示は46点だったので妥当な点数に感じました。
次の化学は反応速度論、井戸型ポテンシャル、化学平衡、有機化学実験法の4題でした。順番通りにとりかかりました。最初の反応速度論と井戸型ポテンシャルは特に詰まるところもなく完答、次の化学平衡は計算ミスに注意して、少し不安なところもあるがとりあえず完答、最後の有機化学実験法は問1から問3までは全くわからないという感じでした。全部で85点ぐらいの感触でしたが、開示を見ると72点でどこでそんなに引かれたのか疑問に思いました。
昼休みは朝コンビニで買ったおにぎりを食べて要項集のチェックリストで最後に確認をしました。
最後の生命科学はシグナル伝達、コラーゲン、新型コロナウイルス、免疫(英語)からの出題でした。新型コロナウイルスの問題は平易でした。他の3題は記号問題は自信を持って答えることができました(おそらく全問正解)。逆に記述問題はどれも自信を持って答えることができず、微妙な出来でした。記述問題がどの程度評価されるか分かりませんでしたが、120点ぐらいの感触でした。開示は109点で、記述の採点が厳し目だったのかなと思いました。
試験が終わった後、物理、生命科学は普通、化学は大成功という感じだったので2次試験で大きく失敗しなければ受かったなと思いました。

・香川大学2次試験
大阪大学の1次試験が終わった後すぐに香川へ向けて出発しました。この日はKDDIの通信障害があった日で、その影響でネットに繋がらず間違った電車に乗ってしまい大阪で迷子になりかけましたが、駅員さんに道を聞きながらなんとか新大阪駅に到着しました。新大阪から新幹線とマリンライナーで高松駅まで移動しました。その後夕食をとってホテルに向かいました。疲労がピークだったので明日の準備をして目覚ましを9時に設定してすぐに寝ました。翌日、面接が最終組で時間に余裕があったのでホテルをチェックアウトした後午前中は高松駅のスタバに移動して面接の回答を用意しました。昼食を済ませてから電車とバスで大学に移動しました。当日まで何も準備していなかったため不安でしたが、練習だと思って心を落ち着かせました。
本番は面接官の質問がかなり長文だったことに加えマスクで声が聞き取りづらく結局何を聞きたいのか分かりにくく戸惑いました。準備不足だったこともあって、いい回答もできず面接官も困惑したような表情でした。研究に対する熱意は伝えられたと思います。大体は志望理由書の内容について深掘りされる形で進行しました。研究業績については何も聞かれませんでした。感触は50点ぐらいでした。
2次試験が終わった後は1次試験も2次試験も微妙な出来で、正規合格は無理だろうなとこのときは思っていました。試験後に市街地に戻り、夕食を食べてから空港に移動して東京に帰りました。

香川大学の2次試験から阪大の2次試験まで3週間ほどありましたが、最初の5日くらいは疲労で何もやる気が起きず、休んでいました。2週目からは「医系小論文 再頻出論点」「医学部の実戦小論文」を利用して小論文の対策をしたり、面接の回答を作成していました。また大学の期末レポートを提出する必要があったのでそれにも時間を割きました。加えて北海道大学への出願のために出願書類を準備したりしていました。3週目は小論文の過去問を解いて、面接も友人に協力してもらって本番の練習をしました。この時期に香川大学の最終合格発表がありました。正規合格できたことは阪大の2次試験に向けてかなり自信になりました。

大阪大学2次試験
1次試験の時の反省からきちんとしたホテルに予約を取って、前日に新幹線で大阪に向かいました。最後に小論文の問題を1題といて、面接の回答を確認して寝ました。試験当日、しっかりと睡眠も取れていい状態で試験に臨むことができました。受験会場に向かっているときは大きな失敗をしなければ受かると思っていたのであまり緊張はしませんでした。
最初の小論文は児童虐待がテーマでした。過去問と比較して書きやすく感じたので、平均点ぐらいは取れたかなと思いました。開示では20点とかなり低くて、ショックでした。2次試験で大きな失敗をしなければ大丈夫という考えがあったので、安牌を選択しすぎて平凡すぎる内容だったのが良くなかったのかもしれません。
面接まで昼休みの時間が1時間ぐらいありました。受験会場にずっといると息が詰まりそうだったので建物の外に出てキャンパス内を散歩しながら、面接の回答を確認しました。昼ごはんは何も食べませんでした。
次の面接は順番がかなり最後の方で待機時間がとても長かったので緊張しました。本番は定番の質問に加えて、興味のある研究に関してかなり深掘りされました。研究に関して下調べはしていましたが、思っていた以上に深掘りされたので途中苦しくなりましたが、香川大学の時よりは良い回答ができたと思います。
試験終了後は大きな失敗はしなかったと思ったので、受かったと思いました。その後、梅田に移動して友人と会ってお好み焼きとたこ焼きを食べて新幹線で東京に帰りました。

大阪大学の合格発表までに香川大学の入学手続きをする必要がありました。大阪大学の感触が良かったので入学手続きをするか悩みましたが、結局入学手続きはしませんでした。あとは北海道大学への出願も悩みましたが、阪大に合格する自信があったことと、落ちた場合でも院試に集中するべきだと思ったので結局出願はしませんでした。

8月 阪大合格発表

5日に阪大の合格発表がありました。合格できてとても嬉しかったです。とりあえず来年の居場所ができて安心しました。ここで編入試験生活を終えました。

反省点

・受験生活全体を通して
なぜ医学部編入しようと思ったのかを勉強を始める前に明確にする必要があったなと思います。最初は明確な理由なく勉強を始めましたが、そのせいか受験日が近づくにつれて不安に駆られた時にモチベーションを維持するのが大変でした。

・志望理由書
もっと早く取り組むべきでした。書き始めるのが億劫で先送りにしてしまいギリギリになってから取り組みましたが、勉強しているときに常に志望理由書を書かないといけないという気持ちが頭の片隅にあったのが精神的に良くなかったです。

・化学
有機化学に最初から時間をかけるべきでした。「有機化学演習基本から大学院入試まで」がかなり重たい内容なのでもっと早くから取り組むべきでした。

・小論文
自分で書いた答案を人に添削してもらわなかったことが良くなかったと思います。


最後まで読んで下さりありがとうございました。

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