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あなたはなぜその政党を信じてるんですか?

撃たれたとき、なくなられたとき、多くの人が「言論封殺のテロは許されない」とか「民主主義への挑戦だ」とか言ってた。犯人になんら政治的背景がなく、ただ家族をこわした統一教会への憎しみによる個人的な私怨の犯行だったことがわかってからも「テロとは別に政治犯だけをさすわけではないというのが最近の常識」とか「選挙期間中の犯行なので結果的に言論を封殺されたことにかわりはない」とかの意見をこりずにまだ言う人もいたが、ここにきて連日、お爺さんの岸信介以来続く安部さんと統一教会との関わりが明らかになると同時に、他の国会議員(多くは自民党)の癒着ぶりも報道されはじめたあたりから、テロとかの意見はようやく減ってきたように思えるし、なんなら「安部さんの遺志をついで改憲を一気に!」と鼻息荒かった議員たちも、自分たちと宗教団体との関わりを詮索されたくないものだからトーンダウンしてきたようにも見える。いや、見えるだけで実際はそうではないのだが。

前回の衆院選も今回の参院選も自民党は多くの支持者を集めた。その支持した人たちは自民党が「世界に誇る平和憲法を(日本人主導でつくられていないからという理由、あるいはそれ以外の理由)変えたくて仕方が無い人たちの集まり」で、会合などでうっかり「基本的人権とか言ってるうちはダメ」とか「国防してこそ権利を主張してよい」などと口をすべらす人たちがうじゃうじゃいることを承知で票を入れてるはずだ。いずれあなたやあなたの子供たちの権利を奪おうとしているのに。また、女系天皇に反対し、選択式夫婦別姓に反対し、同性婚にも反対するし、男女同権に反対している女性議員もいる驚くべき党であることを承知して票を入れているはずだ。LGBTについて病気だとか依存症だとか解説している本を配り(これも旧統一教会が出所だったが)差別の意図はないとぬけぬけと言う。改憲草案にはちゃっかり政教分離をなくしてしまおうというところもあり、いつも叱られる参拝や玉串料問題などを法的にクリアしてしまいたいという思惑がまるみえだ。安部さんは生前、東日本大震災で警報を伝えるために逃げ遅れてなくなった役場の女性について「命をかけて祖国を守ろうとした人」と称えたが彼女が守ろうとしたものははたして祖国という大きなテーマだったのか。役所としての責任感からではなかったのか、自分の家族や友人や愛する人のためではなかったのか。その答えは聞くことはできないが、なくなった人を政治利用するのは彼らの得意とするところで、今や安部さん自身がその死を政治利用されており「安部さんの悲願を実現しよう」的な合い言葉となっている。まあ自民党に利用されるのは御本人にとって本望なのかもしれないが。

事件後、大手メディアは統一教会への追及が鈍かった。宗教団体という言い方でまるであの「稲垣メンバー」表現を思い起こすくらいの神経の使いようだった。最初に切り開いたのはまたしてもネットであり週刊誌でありSNSであった。そのうちにこのままいつものように黙殺されるのかと思ってたらポツリポツリと報道しはじめた局も出てきた。TBSは「ひるおび」のように保守系であったり安部さんシンパの政治評論家を出すことで「政治と宗教」の話題を避けるか、警備の問題点とかにすり替えてきた番組は相変わらずあるのだけれど、ニュース23や報道特集では連続して取り上げており、「これからも政治と宗教の関係は追い続ける」と高らかに宣言したことで、この問題をうやむやにはしないとマスコミにしては珍しく踏み込んだ姿勢を見せている。とはいえ、いつか腰砕けになるだろうとは思う。今までもそうだったので。それでも何もしないよりはマシだ。この際、徹底的に追及すべきだろうと思う。それが社会の木鐸の使命なのだから。

橋下さんは「宗教団体との関係性が問題なのではなくトラブル団体と関係したことが問題なだけだ」と得意の詭弁で事件を矮小化させるのに懸命だ。これはアメリカで銃規制反対勢力が言う「銃を持つことが問題なのでは無く、一部のサイコパスの存在が問題なのだ」と構造は同じで、物事の本質から目を遠ざけさせている。問題なのは「基本的には誰でも銃を買えて所持できる」社会を変えない限り事件は再び起こるということなのに。

国際的に学者として認められているのかないのかよくわからないがしょっちゅうテレビに出てるある学者は「事件と宗教を関連させて報じることは間違いで、それでは犯人と同じレベルである」と言ってたが、彼女はどうあってもこの事件を「政治的思想を持つ犯人による暗殺」か「民主主義への冒涜でありテロである」ということにしたいのかもしれないが、すでに報道で明らかになっているように「反社会的な活動をしている宗教団体によって家庭崩壊し人生を変えられた人が、その団体を支援しメッセージを発信しあたかも広報活動していたような総理経験者に恨みを抱いて殺害した」ということが今のところの事実なわけで、その事実を掘り下げない限り、今後も政治家の間に宗教団体がしのびこむだろうし、また事件が起きないとも限らないわけだ。そのことをこの学者さんも知っているはずなのになぜ反駁するのか。巷では自民党からなんらかの支援でもうけているのか、と疑われる事態にまでなっているようだ。

「がんばれTBS」というハッシュタグが話題になると、それを覆い隠そうとするかのように、昔の坂本弁護士事件の時のTBSのワイドショーの問題を取り上げ、「あいつらは報道する資格ない」と叫ぶ人たちがわんさか出ている。あの頃実際にTBSに出入りしてた者からすると連日街宣車が局の前にきては叫んでたし、取材のときに嫌味を言われたことも一度や二度ではないが、あのときの経験があるからこそ、いまでもサンモニや報特などは気骨のある取材を見せているのだと思うし、今回23で小川さんが「これからも報道していきます」と宣言したことにつながっているのだと思う。小川さんと言えば報ステ時代に、安部さんに「北朝鮮問題を煽っているのは圧力をかけているアメリカや日本では」と詰め寄ったり、核兵器禁止条約に反対する日本の姿勢を批判したり、単なる添え物的な女子アナではないことをみせていた人で、結局それらが原因かどうかはわからないが干されて退社することになったことを考えるとTBSに来て踏み込んだ意見を言うのを初めて聞いた気がする。ここにきてようやく自分の意志を出せるようになったんだと思うと感慨深い。

それくらい今、政界はやまない追及の手に頭を痛めている。願わくば他のメディアもきちんと取材をし問題点を明らかにしそれを国民に提示し国民に問うてほしい。


あなたは一体、支持政党のどこをみているのですか?と。


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