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アンチが一番熱心なファンである

テレビ番組をみてて「この人が嫌い」「あの人が嫌い」という人がいる。わかる。それはわかるよ、僕だって顔が写るだけでその声が聞こえるだけでチャンネルを変えたくなるタレントはいっぱいいる。

元テレビマンとしてそういう嫌いなタレントや文化人やMCがいるのであれば唯一アドバイスすることがあるとしたら「テレビを消すこと」だけだ。

苦情を言う人がいる。局に電話までしてくる人。僕も昔はつくるものが常に問題作ばかりだったからかオンエアするたびにほぼ毎回苦情電話をもらってた時期があった。テレ東にいたときは「テレ東は誠実でいい局だと思ってたのにこんな偏向したものをつくるとは嘆かわしい」と言ってくる人がいたし、日テレでつくってた時もTBSでつくってた時も視聴者からの電話というのが交換手からまわってくるとその相手をするのが担当Dの役目だった。みなそんなによく他人のことで文句を言い続けられるなぁと感心するくらい永遠に怒鳴り続ける人がよくいた。

しかし。テレビ局にとってこういう文句を熱心に言ってくる人は敵ではない。
確かに相手をするのはしんどい。一度、あまりに同じことをネチネチ言い続けるので受話器をスピーカーホンにして他の仕事しながらただ聞き流してたこともあるくらい。まあ非生産的な時間ではあった。だってここでの声が何かに反映されることはまずないから。でも彼らは敵ではない。なぜなら熱心に番組を見てくれているのだ。アンチというのは一番のファンだ。今日も何か文句を言ってやろうと手ぐすねひいて放送を待ち、終わるやいなや局にかけてくる。こんな熱心な視聴者が他にいるものか。彼らの行為は迷惑だけど彼らが騒いでいるのが視聴率に跳ね返っているうちは何の問題もない。悪名は無名に勝るのだから。

テレビメディアにとって一番の敵は、無視する人。そもそも見もしない人。興味がない人。SNS等で発信もしてくれない人。視聴率にもつながらないし、これでは存在そのものが希薄になる。
今やテレビを持ってない若者も多い中で、コンテンツをネットで切り取って見る人はまだマシ(スポンサー対策という意味ではこれも困るのだが)で、そもそも見ないというのが一番困る。

だから。

嫌いだなと思う人がテレビに出ていたら・・。テレビを消しましょう。あるいは裏番組を見ましょう。これはネットでも同じこと。というかむしろテレビ以上に視聴者数がダイレクトに収益や影響力に作用するのだからもっとわかりやすい。嫌いなのになぜか見に行ってしまうという人。今すぐサーチしたり登録するのをやめてPCやスマホを閉じましょう。そこから始めましょう。

不満表明には2つの種類があると言われる。1つが「発言」、1つが「退室」。発言されるのは正直ウザいし、つきあうのも疲れる。だけど発言してくれているということはまだ興味を持ち、なにか発信したいと思っているからこそ。もうひとつの退室とは文字通り黙って部屋を出て行くこと。自分の存在を消し、自分の意見を言わず、二度と関わってはくれない。これをされるともう何もそこからは始まらない。

炎上しようがなんであろうが盛り上がっている分にはテレビメディアは安泰なのだ。そんなことに協力してたまるか。そう思う人が出てきてもいいのでは。と思う今日この頃でした。

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