2018年 新聞歌壇掲載歌一覧
投稿は全て 久保哲也でしています。昨年は一紙複数とか、同一日複数紙掲載とか派手さはないものの全国紙5紙、地方紙1紙で計42首掲載いただいております。感想などいただけると嬉しいな。
◎毎日新聞 毎日歌壇
☆伊藤一彦さん選
1月8日
お買い物袋の底にパック詰めアサリのほんに小さな海が
8月27日
後ろからそっと抱いたらおそらくは君ならではの表情をする
☆加藤治郎さん選
2月6日
木枯らしに少し光って飛んだのは丸めたレシートだとおもいます
3月12日
ハム薄いハムうすいハムひらひらとぶら下がっているパンの耳から
6月12日
夕凪のはちみつ色を汲みにゆく島にひとつの聖ポリバケツ
☆米川千嘉子さん選
5月12日
繋がっているようですね君が乗る銀色自転車と初夏は
9月11日
私には鏡を運ぶ術がなく日常映したまま立て掛ける
12月3日
夕焼けの冷める間際の熱を持つ白文鳥の赤いくちばし
3選者で計8首。篠さんにも送ってはいるのですが、掲載なし。
◎読売新聞 読売歌壇
☆栗木京子さん選
今日という日の採点は陽だまりにキジバトがいて六十五点
☆俵万智さん選
2月26日
助詞ひとつ探しあぐねて真夜中の波打ち際で光る文字列
4月2日
風に飛ぶ青いリボンを取り戻すつもりで行くんだよ絵画展
6月18日
もういいかい 置き去りにしたあの夏の空を降ろして海につけても
2選者で4首。常連とは言えません(笑)
◎産経新聞 産経歌壇
☆小島ゆかりさん選
5月3日
ふっくらと優しく咲いた八重桜 君が思わずいう「おいしそう」
5月31日
特選一席:疲れないようにするには座るとき不平不満を尻に敷くこと
6月28日
いま落ちた葉の空席を埋めるためあなたがうつくしく手をかざす
7月26日
掃除機の我が家における愛称は何代目でもブートンである
8月23日
あの夏の大人階段かけ降りてあなたと海へ行くべきだった
9月20日
図書館のルールに別に抵触はしていないでしょ心の素足
11月8日
何故だろうこの子 借り物競争の「ハニワ」の題で僕の手を引く
11月22日
はだ色をいっとき紅く染めながらあなたを形づくる秋風
ほぼ半年で8首はありがたいですね。
◎日本経済新聞 日経歌壇
☆三枝昂之さん選
4月21日
君の名は そう聞かれたら陽だまりの染井吉野と名のりましょうか
6月30日
身の丈にあわない星に生まれたね歌を詠うという手もあるよ
8月18日
一席:実体も大変ですねと夕暮れに私の影に言われてしまう
9月29日
恋人はサンタクロースだったって夏の廃材置き場でソリは
☆穂村弘さん選
5月12日
たまごかけごはんみたいな陽だまりの道路に銀色のおばあさん
6月9日
トラックの幌の中から廃棄するスワンボートがこっちをみてる
7月21日
自転車は渦巻き状に落ちますか駐輪場の栓を抜いたら
10月20日
着ぐるみの中身が頭だけ出してお昼休みに銀行へゆく
12月15日
カニカマをちこちこと食う真夜中に表を走っている消防車
2選者で9首。年末の本年の秀歌集に両方残りたい(笑)
◎朝日新聞 朝日歌壇
☆高野公彦さん選
9月23日
最近は回転ドアを見なくなり回し続けた子供もどこへ
毎週送ってはいないので、ともあれ全国五紙全紙掲載達成!
◎東京新聞 東京歌壇
☆佐佐木幸綱さん選
4月22日
菜種梅雨そんな夜更けは一本の黄色い傘がさまようのです
5月6日
風だろう危ない橋を渡るのはなぜか帽子もかぶっているが
8月19日
特選2席:「しゃーないなここらにひとつ置いとくか」みたいな島が視界の端に
8月26日
白鷺は姿かたちで語るなら贈答用に使えるほどだ
9月2日
特選1席:駅ごとに普通電車が風を押す泣き笑いした四角い面で
9月30日
特選2席:ゴスロリの少女のファッションアイテムで肩に置いてある黒電話
10月7日
絵日記が夏の終わりをずりあげて無心で直している海の位置
12月2日
特選2席:陸上でイルカを運ぶシステムは人魚姫にも適用できる
☆東直子さん選
3月25日
特選2席:手袋が落ちているから朝焼けにやっぱり素手で触れたんだよね
5月27日
星座って夜空でいちど見分けたら痛みのような気もするのです
11月4日
冷房が西日に負けているような気配で食べる好きじゃないもの
12月23日
カブト虫は体の中に虹詰める気持ちが強すぎてあのかたち
こちらは2選者で12首。越境投稿者(大阪)でありながらありがたいですね。ともかく全体的に掲載数は増えたものの本人的には、2年目のようなホームラン級(誰かが引いてくれるような)歌がないなと言う感じです。今年は年間52本が目標!
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