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夫へのグリーフケア

妊娠検査薬が陽性になったとき、夫の喜びは凄かった。
検査薬を何度も写真に撮り、私にも持たせて写真を撮り、夫が持って私が写真を撮ったり。
食卓の夫の席には1週間近く検査薬がそのまま置いてあった。
私の尿がついているのに「捨てられない!」と言って病院に行くまで取っておいた。普通に汚い。。。。


病院で胎嚢が確認できた。
でも心拍を確認するまでの流産率が1番高い。夫は、心拍を確認するまでの期間が本当に気が気ではなかった、人生で1番長く感じた。と言っていた。
心拍が確認できて、いよいよ夫は大喜び。
エコー写真をノートに貼って、2人のコメントを書いていくことに。

赤ちゃんは順調に育っていった。
夫は私がつわりでトイレに駆け込むと必ず背中をさすり、歯磨き中に戻してしまったときは当たり前のように吐瀉物を掃除した。
夫のスマホにインストールしたトツキトオカを毎日読んでは、赤ちゃんの〇〇が作られたって!とか、こんな食べ物が身体に良いんだって!と教えてくれた。
ちなみに私は、流産・死産率が妊娠初期〜臨月を通して私の指定難病にかかる確率より高いから、怖くてトツキトオカをインストールできなかった。


妊娠15週、深夜に尋常ではない腹痛で目が覚め、朝方まで我慢したが治まらなかった。夫が救急車を呼んだ。
幸い、病院では赤ちゃんに異常がないこと・妊娠継続に問題ない疾患であることを確認できた。夫も私も一安心した。
私は激痛で何度も嘔吐を繰り返したが、病院で確認する赤ちゃんは私の体調とは裏腹に元気に動き回っていた。


妊娠17週、今までのnoteで書いた通り後期流産となった。
夫も私もたくさん泣いた。
夫も私も仕事を休み、1週間は私の実家で過ごした。
私はこのとき産後休業になっている訳だが、夫は会社から付与された産前産後有給(夫の会社独自の制度?JTCだったら普通にあるもの?弊社にはない)を消費した。


で、私は死産後の男性の働き方について言及している制度がないことに気づいた。
育児休業だけでなく、男性の産後休業も厚生労働省によって定められているのだが「流産」とか「死産」の場合は明記がない。
女性の場合は妊娠12週以降であれば、流産・死産でも産後休業や出産手当金の対象であることがしっかり記載されている。(妊娠12週未満の流産した女性に何もないのは、普通におかしいと思う👿)


死産あと、夫はとてもじゃないけど働ける精神状態ではなかった。
私の退院後1週間は私の実家にいたので、私の両親の前では普通に過ごしていたものの、2人きりになったタイミングではポロポロと急に涙を流すこともあった。



自治体から貰った妊婦さん向けの案内にも、「赤ちゃんを亡くしたお母さんへ」というカードが入っており、ホットラインの番号などが書かれているのだが「お母さん」と限定されていた。
お父さんのことは誰がケアするの・・・・?
私しかいない!となった。


でも夫が仕事に行ってしまったら、ケアすることも十分にできない。
夫の場合は幸いにも会社の制度が充実していたので1週間以上休むことができた。でも、人によっては難しいだろう。予定日前の死産は急に起こるので、当然のことながら事前申請はできない。
実際、妻が死産した後に悲しむ暇もなくすぐ働いた人だって沢山いるだろう。男性が発信している死産体験を見つけることができなかったので、妻側が書いているブログから推測しかできませんが。。。


すでに夫は職場復帰している。
私は赤ちゃんのいない産後休業に入ってから、夫と同じ時間に起きて一緒に朝ごはんを食べて、会社の手前まで夫を見送ることにした。(夫の会社は家から歩いて約20分のところ)


これが私なりの、夫へのグリーフケアだ。
夫はかなり寂しがり屋で、夫1人がリビングでゲームをしていて、別室で私が漫画を読んでると「俺の隣で読めばいいじゃん😢」と言ってくる。(文章にするとウザい奴だな)
会社の手前まで見送るという提案も、夫は大いに喜んでくれた。
仕事がない状態でも生活リズムを崩したくないのと、運動不足解消になるかなと思って私にもメリットがある。


もともと私は夫の起きる1時間後くらいに起きて仕事をしていたため、夫はベッドで寝ている私にいってきますのキスをして出社するスタイルだった。
ネットニュースで読んだため、どこまで信ぴょう性が高いか不明だが、出勤前にキスする夫は寿命が5年長く、事故遭遇率も低いとの研究があるらしい。パートナーとの良質なスキンシップは抗うつ作用も高いらしい。


朝、夫と同じ時間帯に起きていることで、家を出る前にハグとキスをする時間が増えた。出社中に2人で歩きながらお話をするから、コミュニケーションの時間も増えた。
これで夫の寿命が5年も伸びるなら、お得過ぎる。





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