Engineering Manager の自己効力感下がりがち問題

Engineering Manager という仕事をしていると、自己効力感が低下する瞬間がけっこうあると感じる。(多分 Engineering に限らない Manager 一般の話も多いと思うけど、ここではその考察はしない)

仕事において自己効力感が高まる状態というのは、たいてい、自分が何か努力して、それによって目に見える成果が出ているときに生まれるのではないかと思う。ところが、Engineering Manager の仕事というのは基本的に、自分以外のみんなが成果を出せている状態をつくることで、それにより絶妙なズレが生まれると感じる。

Engineering Manager の仕事を例にあげると、個々人のサポートをしたり、チームがうまくいくサポートをしたり、チーム間のコミュニケーションラインを整えたり、チームのはざまに落ちてるタスクを拾ったり、必要な人を採用したり、ビジネスや経営から求められてることとエンジニアリングの方向性をアラインしたりする。

最近投稿された、ゆのんさんの記事では、以下のように書かれている。

マネージャーの一種であるEMは、開発チームの成果を安定化させる(継続的に最大成果を出すと言って良いかも)ために、メンバーの持っていないスキルを埋める役割として機能していることが大事だと言えます。

Engineering Managerという役割がなぜわかりづらいのか - KAKEHASHI Tech Blog

逆に言うと、Engineering Manager の成果が最高に出ているとき、つまり「自分以外のみんなが最高の成果を出せている状態」のその瞬間では、Engineering Manager 自身は何の仕事もしなくてよい、ということだ。

もちろん、この状態になったら別に本当に仕事をしないわけじゃなくて、より将来に向けた技術戦略を考えたり、現場に戻ってコードを書いたりする。

ただ、僕が言いたいのは、「最高の成果を出しているときに、自分は何の仕事もしていない」というアンバランスさによって、Engineering Manager は自己効力感が生まれにくくなっているのではないか、ということだ。

課題への対策

対策はいくつかあるが、一つはこの構造を頭できちんと理解しておくことだと思う。本当にうまくいってるときに、自分で自分を認めてあげることだ。ただ、これって、組織自体を自分のアイデンティティにするみたいな感覚で、けっこうむずかしいんよな。。。

もう一つは、Engineering Manager をやりながら、どこかのチームに固定で属しておいて、基本的にはデイリーや振り返りなどのミーティングに一緒に参加して、隙あらばコードを書くようにしておくこともいいと思う。自分は前職でも現職でもそうしていて、忙しいときはあんまりチームの活動に参加できないんだけど、逆に色々片付いてひまになると参加できるようになる。

Engineering Manager 同士のグループとして活動することも良いと思う。現職では開発ユニットという組織にエンジニアが属していて(10~20人程度)、Engineering Manager は組織上でいうと「ユニット長/サブユニット長」という扱いにしている。こう書くとマネージャーが偉い組織みたいだけどそういうことではなくてw、Engineering Manager は開発組織自体の成果に責任 (accountability) をもつ者である、と定義しているということ。こうしておくと、Engineering Managers は、ヒマになった瞬間、もっとすごい成果を創出するためにはどうしたらいいのか? というのを考えるチームになる。これは Engineering Manager の定義としてはやや強めなほうだと思うから、そうすべきかどうかは組織によるかもしれない。


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