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どんな順番で石を積み上げるか

私のロックバランシング作品は上方向ばかりでなく、いろんな方向に伸びているものも多く、「どんな順番に積んでいるのか?」と興味を持たれる方がいます。今回は一つの作品について解説してみたいと思います。

まず、言っておかないとならないのは、私は最初からこういう形で積もうと決めてから積むことはあまりありません。最初にこう積もうと決めて取り掛かるのは、10回に1回、20回に1回くらいといった感じです。この作品もその場のインスピレーションで積んだものです。

最初に置いた1の石は最近のお気に入りの石の一つです。長く伸びた突起が特徴です。今回はこのように置き、突起の先端に石を乗せたいなと考えました。突起の先端に石を乗せるためには根元部分にもっと重さが必要になります。そこで2の石を置きました。2の石を置いただけではまだ先端に置くのに十分な重さにはなりません。そこで2の石の上に3の石を乗せました。もうすこし小さい石でも良かったのですが、2の石が安定して置けている感触があったので思い切ったかなり大きい石にしてみたのです。そして先端部分に4の石を立てます。3の石が大きいおかげで4も大きめの石を使うことができました。尖った部分に乗せるだけではなく、立てることによってインパクトが生まれます。ここまでで最初のインスピレーションの姿は実現しました。

一歩離れて作品を見てみると、3の石の大きさが際立って見えました。この石に寄りかかる感じでアーチを作れそうだと思いつき、5、6、7の石をいっっぺんに持って積みました。接点が小さいアーチの方が鋭く見えるので丸っこい石にしてみました。ここで7の石が3の石を左側に押すような力が加わりますので、ほんのわずかに3の石の傾きを調整しています。4の石が倒れないように細心の注意を払って。

ここまでくると、左側にもアーチを寄りかからせてみようと思いつき、8、9、10の石を積んでいます。これらの3つの石は自重の大半が下向きにかかっているため、3の石に寄りかかる力はほんのわずかです。だからこの時は3の石の傾きは調整せずともすみました。ただし10の石はつるっとしたかなりまるい石なのでこの位置で安定させるために非常にこまかな調整をしています。

最後に上方部分がすこしさみしいと感じたため、11、12の石を乗せました。全体の統一感のためにここでも丸い石を用いています。これで完成としました。

これはこれでひとつの作品ですが、もっと少ない段階でも、もっと石を多くしても、それはそれで作品としてもよいわけです。

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