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物理とクオリア

先日、物理の論文を読んでいると、哲学でいうクオリアに近い概念が登場したので、備忘録として記事を書くことにした。 この論文では「情報」を2種類に分類している。"speakable"な情報と"unspeakable"な情報だ。 前者の"speakable"な情報とは、文章として伝えたり、0と1の電気信号として伝達可能な物理情報を指す。例えば、リンゴが何個あるかなどがこれに相当する。 後者の"unspeakable"な情報は、文字として伝達することができない物理情報だ。例えば

    • 場の量子論の「場」とは

      場の量子論を初めて学んだとき、「場」という概念が分からなかった。波動関数に似ているが関数でなく演算子だという場φが出てきて、波動関数で成立していた絶対値の二乗が観測確率だというわかりやすい関係はもはや成り立たない。 何冊も場の量子論の本を読んで自分の中で整理してきた。ようやく、「場」がなんなのかわかった感じがしたのでこのノートにまとめる。 場の量子論とは端的に言えば、場を量子力学で論じた理論だ。場とは時空の各点で定まった値を持つ関数である。例えば水面に立つ波を想像すると、

    物理とクオリア