ワイヤレスイヤホンの行く末


「どんだけワイヤレスイヤホンあんねん!!」


そう感じながら過ごしてここ数年、今や多くの人が有線イヤホンからワイヤレスイヤホンへと乗り換え、そのしがらみから抜け出しつつある。

未だに有線イヤホンを使っている人を見ると、こんなにも便利なものが出てきているのに、なぜ買い換えないのだと思うこともしばしば。人には色んな事情があるんでね、思うだけにしている。


それにしても種類が増え過ぎではないか。

まあ広い目で見るとテレビや冷蔵庫といった家電もそう、我々にとって手放すことができないスマホもそう。身の回りのほとんどが当てはまり、そこにワイヤレスイヤホンが仲間入りしただけの話であるが、個人的になぜか他のものとは一線を画している。

おそらく最近になって目まぐるしくいろんなメーカーが売り出していることで、そのような情報に触れる機会も以前より増加したから強く感じてしまうのも一つあるんだと考える。

ワイヤレスイヤホンはいったいどこまで増え続けるのだろうか。




そんなイヤホンの歴史について軽く紐解いていく。

イヤホンの歴史は意外と古く、はじまりは1890年代とされている。

もともと電話を使用するための補助的な役割として誕生し、そこから徐々に音楽鑑賞用のものへ派生したんだとか。

今で言うオーバーヘッド型のヘッドホンのはじまりである。

私も学生の頃は一種のファッションアイテムとして使用していた。とりあえず首に回しておけば格好いいやろという浅い考えだったな。

PioneerとYAMAHA(これらはもう使っていない)、そしてSENNHEISERとFREITAGのコラボを持っているが、耳が大きいからか長時間着用すると必ず耳が痛くなるので、あまり使っていないのが現状である。




その後何十年の時を経た1982年、世界初の有線イヤホンがSONYによって開発される。

その3年前の1979年に同社はウォークマンを発売し、それに合わせて持ち運びやすい小型のイヤホンを開発したとのこと。

私も中学1年のときに初めてウォークマンを買ってもらい、今では3台目とウォークマン愛好家である。

モノをあまり持ちたくない性分だが、どうしてもiPhoneに曲を入れる気にはならず、しっかり音楽を聞くためだけの機械として手放せないものとなって今に至る。




そして時は2010年代、ワイヤレスイヤホンが登場。

Bluetoothの発達に伴って、ワイヤレスイヤホンがAirPodsなどを皮切りに市場に登場し始めたのが2015年くらいで、そこから約5年で大手メーカーからベンチャー企業まで、クラウドファンディングなども駆使して様々な企業が発表してきた。

余談だが、世界初のワイヤレスイヤホンは、スウェーデンのベンチャー企業、Epickal ABが初めて発売したとのこと。

多種多様のワイヤレスイヤホンを各社が開発し世に生み出しているものの、正直違いが無くなってきており、どれを選べばいいのか頭を抱える消費者も多いのではないだろうか。


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前置きが長くなったが、ここからはそこまでガチなイヤホンマニアではない私がワイヤレスイヤホンの見るべきポイントをいくつかアイテムを取り上げながら紹介し、今後どのようにイヤホンは変化を遂げていくのか、つらつら書いていく。

見るべきポイントはあくまでも、ワイヤレスイヤホン初心者の人へ向けた紹介となっているので、音質に強いこだわりのある人などへは少し物足りないかもしれないことを先にお伝えしておく。



まずワイヤレスイヤホンにはざっくり2種類ある。

左右一体型(以下、一体型)と完全独立型(以下、独立型)である。

前者は左右が繋がっているタイプで、首の後を通して繋がっているものを指す。左右のマグネットでネックレスのように引っ付けて置くことができたりするものもあり、着脱しやすいところがメリット。

後者はAirPodsのように左右が独立しているタイプで(なので完全が付く、ただそれだけ)、イヤホンコードの煩わしさとは全くの無縁。基本ケースが付いており、前者よりも使用可能時間も長い傾向がある。

どちらのタイプも有線イヤホンのようなカナル型が大半なので、プニプニしたイヤーピースで耳にしっかりと密着し、耳からポロッと落ちにくい構造となっている。

またAirPodsのような耳に引っ掛けるタイプはインナーイヤー型と呼ばれ、カナル型より圧迫感は軽減されるが、耳から取れやすく音漏れもしやすい特徴があり、私はこのタイプは苦手である。

なのでAirPodsProが出てきたときは、Appleの一人勝ちだなと。Proが出たから買ったという人も多いのではないだろうか。


軽い概要をお伝えしてきたが、個人的にワイヤレスにするなら圧倒的に独立型をおすすめする。そのため今回は独立型の話がメインである。

理由としては2つ。

こういうときはだいたい理由は3つあるものですが、うまいこと出てこず。


コードの煩わしさ

一体型は従来のイヤホンよりもコードが短くなったとはいえ、首など肌に触れると皮脂や汗も付き、衛生的に不安だといつも思う。また、何かに引っかかるリスクもあり、せっかくワイヤレスにするなら「コードの煩わしさ」から完全に開放されるのが一番ではないだろうか。

とはいえ独立型は分離しているから無くしそうで怖いという意見も散見される。しかし個人的には、その多くの人の使い方が荒いから無くすのではないかと感じる。

ちょっと体を動かすときや、イヤホンを外すべき場面などいろんなタイミングがあるが、焦って着脱しないようにあらかじめ余裕を持って行動することで未然に防げることも多いはず。

そもそもイヤホンを無くす人は、イヤホン以外も無くす傾向があるのではないだろうか。そのような人にはワイヤレスイヤホン自体おすすめできないし、その前に今一度自分の行動を見つめ直してみても良いかもしれない。イヤホンに限る話ではないのである。

またアイテムによっては片方だけなくした人のために保証がついているものもあり、例えば「final ag」。マットな質感と豊富なカラバリで人気なアイテムである。

フリマアプリではAirPodsの片方だけの出品もあるそうで、無くす心配をしている人はそのような商品を選ぶのも良いかもしれない。



使用可能時間

言うまでもないが、ワイヤレスイヤホンは充電が必要である。従来の有線イヤホンとの大きな違いでもある。

そこで重要となるのが、充電する時間や回数である。充電時間はどのアイテムも約2〜3時間と大差ないが、問題は充電回数。使用可能時間とも大きく関係してくるところだ。


使用可能時間の話をする前に補足としてお伝えしておきたいのが、連続再生時間について。

連続再生時間(使い始めてから充電が切れるまで)は一体型の方が長い傾向にある。それはもちろんで、コード部分にバッテリーが内蔵されているからである。

一体型だと長いもので約20時間、独立型で約10時間と違いは歴然。


ですがここで強調したいのは、使用可能時間(充電ケーブルで充電してから充電が切れるまで)というところ。独立型は充電ケースがついており、使用しない間はそれで充電ができるので、それを含めると使用可能時間が長いのは独立型がほとんどなのである。

いくつかの製品(SONY、audio-technica、AVIOT、Soundpeats、SOUL、cheero、maxell、ELECOMなど、一体型:10種類、独立型:15種類)で平均すると、一体型が約8.5時間に対して、独立型は約39.6時間と約4.6倍もの差が生じている。

これはつまり、コンセントやUSBで充電する回数が4回以上も違うということであり、たった4回ですがこの積み重ねた時間は馬鹿にならない。チリツモ。

連続再生時間も重要だが、多くの人にとって10時間もずっとイヤホンつけっぱなしという場面はそうないはずである。

私自身も普段から独立型を使っているが、長くても2時間くらいで、それ以上つけてると耳が悲鳴を上げることもしばしば。充電回数も週に1回ないしはそれ以下である。

音楽関係やイヤホンが手放せない業種の人でなければ、使用時間面では独立型のスペックで十分だと私は考える。

ちなみに今回調べた中で長いものは「AVIOT TE-D01d mk2」(イエモンや石野卓球、HIKAKINなどとコラボ)が約120時間、「cheero CHE-627」は驚異の約180時間と、2週に1回、もしくはそれ以下のペースで充電しても使えるのではないだろうか。




ざっくりとワイヤレスイヤホンの分類と個人的な特に見るべきポイントを挙げてきたが、正直これだけでも選ぶのが困難なほど、特に独立型はいろんな種類が出てきている。

まず価格面で言えば安くても4000円台で、Soundpeatsがその筆頭ではないだろうか。

https://www.soundpeatsaudio.com/jp/

Amazonなどでよく見られるブランドで、やはり値段の関係からか不良も多いとの声もあるが、徐々にその質も改善されていると聞く。初めてのワイヤレスイヤホン入門としては問題ないかと。

確かにあまりに価格が安いと、その分クオリティも落ちます。ダイソーには500円の一体型イヤホンが売られているそうですが、音質は微妙とのこと。個人的にはだいたい約6000円以上であれば、音質は問題なく不良も少ないものに出会えると感じている。

「SOUL ST-XX」や先述した「cheero CHE-627」は申し分ない。

高いものだとSONYやBOSE、Beatsなどの有名ブランドで3〜4万円するものもあるが、あくまでもここで紹介したいのは初めてでも手を出せるレベルのものなので割愛させていただく。




まあ価格についてはここまでにして、続いて注目するのはデザイン性や機能性。ちょっとした付加価値を付けることで、音楽を聞く以外の機能も兼ね備えたものが次々と出てきている。

女性向けの華やかなデザインでメイク直しに使えるよう充電ケースに鏡が付いた、「AVIOT TE-D01i」(大原櫻子とコラボ)。

イヤホンの着せ替えも可能で、その時の気分で変えられるんだとか。

果たしてそんな人いるのかと思ったが、実際どうなんだろうか。


続いて、耳から角が生えているようで可愛らしいと話題の「AIP EAR DEVIL」

まあよくこんなモノ考えたなと。イヤホンはまるでイヤリングのように、自分を魅せるためのアイテムとしての役割も果たしつつあることがひしひしと伝わる。ある意味差別化は出来ているが、売れるかどうかはまた別のお話。


3つ目は、細長い充電ケースでスタイリッシュな雰囲気を醸し出す「Beat-in Stick」

これに限らず細長いタイプのものは他にもあり、

先述したスウェーデン発のイヤホンブランド「EARIN」シリーズ。

「オウルテック SAMU-SE03」

「GLIDiC Sound Air SPT-7000」

などなど枚挙に暇がない。

細長い形はちょっとしたケースやポケットにも入れやすく機能的である。


他にも

・アンビエントマイク(外音取り込み機能)付き

外の音を取り込みながら音楽が聞ける機能で、音楽を聞きながら人と会話も出来てしまう。まあ会話するときくらいイヤホン外したらと思うが。


・コラボ商品

その名の通り何かと限定コラボしているアイテムである。何度も出てきているAVIOTがその筆頭で、ピエール中野やヤバイTシャツ屋さんといった人気アーティストとコラボすることで差別化を図っている。広告費にかなりお金はかかっているのだろう。


・本体音量調節機能の有無

これ、実はかなり重要なところ。曲の停止や送り戻し機能はあってもこの音量調節機能がないアイテムは意外と多く、ざっくり有無の基準は約9000円ですね。これが無いとわざわざiPhoneなどを取り出して調節することになるので、購入前には必ず確認するべきポイントである。逆に一体型のほとんどには付いているので、その点が個人的にも独立型が劣る部分と考える。

などなど、細分化していけばいくらでも検討要因は出てきますがキリがないので、ここまでにしておくとする。




以上、ワイヤレスイヤホンについて軽い歴史から、イヤホンの種類と見るべきポイントをさまざまなアイテムを取り上げてつらつらと紹介してきた。

個人的には、初心者の人にもAVIOTはおすすめできる。そんな私もAVIOTを愛用中である。

使用可能時間は短いタイプでも約30時間はあり、おそらく全てに本体音量調節機能もある。音質も全く問題なし。価格は平均して9000円以上はするものの、不良も少ないとの評価もありコスパは圧倒的に良いと思う。

ブランドコンセプトも「日本の音」ということで、日本人の耳に合わせた設計になっているとのこと。詳しくはこちらから。



今回は音質や電話機能、ハイブランドなものやゲーミングイヤホンなどといった専門的なことは取っ払って、初心者の方にも分かりやすいよう意識したので、本当に最低限のことしかお伝えしていない。

まずは予算を決めて、その上で使用シーンを思い浮かべながら機能性やデザイン性に踏み込んで検討していく。最終的に決めるのは自分次第なので、思い切って選んでしまおう。


近年では耳をふさがない骨伝導タイプも出てきているが、そのうち宙に浮いたまま人を感知して付いてくるような、身に着けなくても音楽が聞けるイヤホンが出てくるかもしれない。その行く末はいかに。




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