見出し画像

「おかえりモネ」〜黄色・ロゴ・主題歌…散りばめられた「そこにいるだけでいい」とのメッセージ

おかえりモネは「水の循環」の物語です。

龍己「その山の葉っぱさんたちが、海の栄養になんのさ。山は海とつながってるんだ。なんも関係ねえように見えるもんが、何かの役に立つっていうことは、世の中にいっぱいあるんだよ」百音「じゃあみんな誰かの役に立てんの?」

何度も何度も繰り返される「水の循環」を説明するセリフから、
そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」ことが、この物語で最も伝えたいことのひとつだと感じています。

そのメッセージを伝えるために「おかえりモネ」全話通して「」を仕込んでいそうです。

【黄色】は「そこにいるだけで誰かの役に立っている」太陽

まず「水の循環」で大切な役割を担っているのが「太陽」です。

水の循環は「蒸発は主に太陽エネルギーによって起こります
モネも5週「勉強はじめました」の中で、気象予報士資格テキストから学んでいます。

太陽は「水を動かす」役割であり、その太陽エネルギーによって「動かされている」のは「水」です。水の循環において、お互い特に意識をすることもなくただそこにあるだけで作用しています。
色で表すと、太陽は【黄色】、水(海雨)は【水色】。

黄色】アイテムをつけている時、その人やモノは、太陽の役割をしていると捉えられます。それは「そこにいるだけで誰かを動かすエネルギーを与える存在」だと捉えることができ

水色】アイテムをつけている時は、誰かの太陽エネルギーが原動力となり、前向きな「自らの意思」が沸き起こり行動に繋がっている(=蒸発している)「水」の状態だと捉えることができそうです。

--「おかえりモネ」劇中の色がもつ役割

黄色アイテム】→「誰かを動かす」太陽の役割

水色アイテム】→「誰かに動かされてる」水の役

そこにいるだけなので太陽側も水側も「やってあげた」「やってもらった」の意識はありません

「幼い存在を守ってあげようと頑張れた」「いるだけで気分が明るくなって力が出た」「あなたがいてくれてよかった」「頑張る姿が力を与えた」…

そんな無意識のそこにいるだけ」で成り立つ影響を、水の循環にあてはめて【黄色】と【水色】で表しているように思えます。

ドラマの中の【黄色】をピックアップ

黄色アイテム】をつけてる時→「誰かを動かす」太陽の役割をしているものと推察しました。
では実際どんな場面で使われていたか、ピックアップしてみました。

・幼少期永浦家での未知の服【黄色】→幼少期の未知は家族の原動力になっていた様子がうかがえます
・キノコヘアの時の内田服【黄色】WE社で彼がいると職場が円滑に回っていたのかなと。社長と朝岡もそんな話をしていました
・コサメちゃんと傘イルカくんも【黄色】有→大人気キャラは中の視聴者にエネルギーを与えています(自由研究を終えられたのはコサメちゃん傘イルカくんのおかげとお便りがありました)
・人生ゲームの板【黄色】→駒を動かしみんなの遊び心を動かしています
・(87)民宿写真お客さん【黄色】の服→雅代さんの生きがいだったようです
・(87)鮫島祝勝会バンダナ【黄色】→オリパラ選手は皆に力を与えてます
・莉子が失敗したあとの風呂タオル【黄色】→落ち込んでいた莉子をリセットし前向きにさせています
・宮田子どもの服【黄色】…無邪気にせがまれて宮田は自然とホルンを手に取り吹けました
食べることは活力の源」食卓はみんなを支える。誰かに力を与える食のシーンがキーとなる場面で【黄色】が強調されています。

・汐見湯と仮設住宅の食卓に【黄色】調味料入れ
→「若き者たち」のそれぞれの山場シーンの直前から目立ちはじめました
・21歳モネ誕生ケーキ.サクレ.登米Xmasテーブルクロス【黄色】
・オムライス【黄色】→亮が食べればよかったオムライスは活力の源
・卵焼き【黄色】→亜哉子が作って新次がたべた卵焼き。この場での出来事で新次は少し前を向けます
・ずんだ餅の入れ物【黄色】→悠人くんがもってきたこのずんだ餅はあの幼馴染たちのシーンを元気づけています

モネもまたリュックやスマホケースなどさまざまな【黄色】アイテムを持っています。モネ自身も多くの人から力を与えられ成長していますが、同じようにそこにいるだけで、サヤカや菅波先生、耕治など多くの人に影響を与えている存在だといえます。

ドラマの中の【水色】をピックアップ

水色アイテム】をつけてる時→「誰かのエネルギーをもらってる水の役割になっているときだと推察しました。
黄色と対になり差し込まれていることが多いので、ドラマの背景や本筋とはそれたところでの影響などを想像しながら見ていくと広がりが出てきます。

・種牡蠣水槽(不自然なぐらいの【水色】)→自由研究でこの水槽と向き合うとき未知は黄色の服を着ています
・百音19週以降の東京ストラップ【水色】→突き動かされるように全国津々浦々計画を進めていきます

・その他、エネルギーを受けて前向きな行動を始めたシーンでその登場人物たちが【水色】の服を着ていたり、アイテムをつけているように見えました。

菅波先生も多く水色を身につけています。モネや登米の人々、中村先生や患者さんたちからのエネルギーを動力として「鮫と同じで止まったら死ぬ」と言うほど前向きな動力に変えて動き続けていることが伺えます。

ただ、菅波先生は黄色のアイテムを持ちません。これはまだ様子をみているのでその考察をtweetを貼るに留めておきます。

(菅波先生の名前の由来はいくつかありそうです。そのひとつがこの花の名前かなぁと思っています)

ここまで【黄色】と【水色】について書いてきましたが、これらが混じると【緑】になります。

「自ら」の想いが「自ら」を動かす。そんなシーンでは【緑】のアイテムが用いられてるように推察できます。

自らが太陽であり水。混じると…【安定したエネルギーによって動き続けることができる揺るぎない想いです。

・未知の牡蠣研究(最初は種牡蠣水槽【水色】⇄未知【黄色】、次の日【緑色】)
・龍巳の牡蠣への想いは【緑】(「みーちゃんと牡蠣」)
・内田は台風news鮫島レースで風を読む時【緑】
・鮫島練習中【緑】


赤色についても意味があるはず

赤色についても、水の循環にまつわる色があてはめられてそうだと推察しています。

特に光のスペクトル(赤橙黄緑青藍紫の七色)で最も波長が長いのが赤色です。

朝焼け・夕焼けが赤いのは、太陽光が斜めに入っているため光が地表に届くまでの距離が長く、その間に他の色が脱落し、赤色だけが生き残るためです。

この「朝焼け・夕焼けの色」について、「おかえりモネ」に気象資料を提供されている荒木健太郎さんの「天気の図鑑」では次のように表現されています。

ーー「朝焼けや夕焼けの赤は壮絶な旅を生き抜いた色

「おかえりモネ」の赤は、それぞれの人生の朝焼け・夕焼けを表す色なのではないかなと推察しつつ見守っています。

これまで未知の部屋の【黄色】だったカーテンが気仙沼編で赤×緑にかわり、【赤】のパソコンで東京国際海洋大学への出願サイトが開かれていました。

出願登録←出願手続きはこちら】ボタンが
出願登録ログイン←入学志願票・受験票の印刷、出願内容の確認はこちら】ボタンが

未知と水産の相思相愛の想いは【緑色】です。

【赤色】はボタンを押して出願登録を完了することで研究職として未知の新たな人生がはじまる夜明けをあらわしてそうだと眺めています。

モネを突き動かす力だけは【本物の太陽】の映像で表現

ここまで「そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」を表現するのに【黄色】を用いていると書いてきましたが、この物語の主人公であるモネ自身を強く突き動かすエネルギーの表現は【本物の太陽】の映像を挟んでいそうです。

そして、その強いエネルギーを放つ太陽の存在は「相手役」であり、太陽が出てくる各場面を読み解いていくと全て「りょーちん」に当てはまりそうです

モネは亮の存在から強いエネルギーを受け取り、前向きな行動を起こすパワーに変換しています。(詳しくは次のnoteにまとめています)


おかえりモネ ロゴの色

「おかえりモネ」ロゴも【黄色】×【水色】…これも同じメッセージかと

みんな誰かの太陽であり、そこにいるだけで誰かを動かす原動力になっている。

そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」というメッセージが、この物語で最も伝えたいことであり、それをロゴでも表しているのではないでしょうか。

混じり合った緑部分は自分が太陽であり水である状態かと。


おかえりモネ主題歌「なないろ」のタイトルバック

おかえりモネ OPのタイトルバックは、モネが亮のエネルギーで動き出し、海・空・山と循環している様子にみえます。【水=モネの循環】です。

青いモネの服は「水」で、太陽エネルギーを全身で感じてキラキラと蒸発し、海風(追い風)に優しく押されながら循環の旅をしている様子が描かれていそうです。

白い服は凪の状態。「立ち止まることも」あるという表現かもしれません。

おかえりモネ主題歌「なないろ」の歌詞の意味について

主題歌も上記流れと一致し「心の色」【黄色】と【水色】を探っています。

歌詞を読むと何度か出てくる「キラキラ」の主語は「太陽」か「水」です。
なので「キラキラ」=「蒸発」誰かの力を受けて動いている状態をあらわしているようです。

「傘」は《思い出して考える「心の自由」としまっておける「心の自由」の持ち合わせ」》。その自由を携えて前を向いて生きていくことが「虹色(幸せ)」に繋がると。

この傘のメッセージは、トラウマを回復する力そのものを指していそうです

参考:<回復する力とは何か
① トラウマを思い出して考える「心の自由」としまっておける「心の自由」の持ち合わせ=傘
②新たな自分を育くむ道のりを歩むこと(以前の自分に戻る事ではなく)
(資料1:東京大学大学院教育学研究科附属心理相談室公開講座資料「回復する力とは何か」

ただ、「なないろ」は特定の誰かではなく被災者視聴者みんなに寄り添ったものではないでしょうか。

歌詞を読み解くと次のように読めます。

ーーみんなが「循環」の一部だ。みんなが「誰かの太陽」だ。
自分の存在価値を問うてしまう時はこの歌がそれを教えると
。トラウマは受け入れ幸せに向けて動きだそう。

そう捉えると、聞く人の「生きる力」を末長く支えたいという想いが伝わってきます

このドラマは「水の循環」の旅を通して、モネの「心が復興」する過程を描いています。ドラマが終わっても、全ての生きることに悩んでいる人たちに「そこにいるだけでみんな誰かの役に立っている」というメッセージを届けたいという想いがあるはずです。その思いをドラマから離れても担っていける歌に託しているように私は感じています。

実際、BUMP OF CHICKENのなないろ制作インタビューをいくつか見かけましたが、コンセプトと3話までしか内容を把握せず作っているとのことでした。BUMP OF CHICKEN藤原のもともと持っている感覚(もともと天気に関するワードも多い)と「おかえりモネ」のメッセージがとても似ていたようです。

また同時期にBUMP OF CHICKEN藤原が制作していた「Flare」と関連が深く、「Flare」は起き上がるまでの内容、「なないろ」は起き上がってからの内容で、大本は似たところから出てきた言葉たちであること。「Flare」は重く、「なないろ」は柔らかにそのメッセージを伝えていると雑誌インタビューで答えています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?