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選挙事務所にいこう♡自民党編!

2021年10月。 私は失業中だった。 とはいえ11月から新しい仕事が決まっており、お金はないけど焦りもなく、ただ時間だけがあった。 私は対話に飢えていた。

それで衆院選の小選挙区候補(維新、自民、立憲)の選挙後援会事務所にアポなしで訪問してそこにいる人たちと話してみることを思いついた。

公約とか政局とかはググれば出てくるけど、どういう党をどういう人がどういう気持ちで支持してるのか、メディアを介さず自分の目や耳で知り、自分の頭で考えて1票を投じてみたい。

そしてあわよくば、運命の党とか思想に巡り合って身も世もないほどに傾倒してみたいものだなぁと思ったのだった。 さて私の清き1票の行方は何処に‥。

(この記事は数ある選挙事務所のうちの一つを見聞きした事例に過ぎず、記憶違いもあるかもしれません。 政策等は各党HPを参照してください。お話を伺った方のプライバシーに配慮してダミー情報も混ぜています)

自由民主党

1955年、社会党に対抗するため、自由党と旧民主党が合体してできた。 社会党と民主党にチョロッとだけ政権取られたことがあるものの、すぐ取り返した。 戦後の政権与党といえば自民党。 1999年公明党と連立政権になった。

自民党の選挙後援会事務所は、ターミナル駅前のテナントビルの2階だった。 ワンフロアまるごと借りてるっぽい。 維新よりだいぶ広い。 こりゃ家賃高そうだ。

受付らしき場所で維新のとき同じように「部外者なんですが自民党について教えていただきたいのでお邪魔していいですか?」と聞いてみた。 「少々お待ち下さい」と受付嬢。 議員秘書らしき男性とひそひそ話し出す。 なんか怪しまれてるっぽい? なんで? 維新はめっちゃウェルカムだったのにっ!!

講演会とかやれそうな広々した部屋(っていうか小さめのホール)に長机を並べてボランティアであろうスタッフが30人ほど作業している。 壁と天井にびっちりと「祈 当選」の筆文字の紙が張られている。 このまじないは維新でも見たけど数が段違いだ。 壁ぎわで談笑するのはオーダーメイドスーツをまとったいかにも「センセイ」っぽいオジサマ達。 先入観をもたぬよう心がけているのだけど… うーん… とっても自民党っぽい。

受付嬢が部屋の隅の長机に案内してくれてパイプ椅子に座ってしばし待つ。 私をチラチラみながら受付嬢と話していた30代ぐらいの男性が満面の笑みを浮かべてやってきた。 名刺によると今回この地区から出馬する議員の秘書らしい(仮にK氏とする)

K「それでなにをお聞きになりたいんですか?」ニッコリ

私「じゃあまず自民党はどういう政党かっていうところからおしえてください。」ニッコリ

K「それは、どういった意図で?」ニッコリ

私「意図、とは・・・?(動揺) えーっとですね、私今まで選挙って親に言われるまま投票してて深く考えたことがなかったんですよね。 で、今回はちゃんと考えてみようと思って、それでさっきは維新に話聞きに行っていろいろ教えていただいて、あとで立憲も行こうと思ってるんですけど、あの、こういう客は珍しいですか?」

K「珍しいですねぇ。はじめてです」ニコニコ

微笑んでるのに目が怖い。 いやでも私なんにも嘘ついてないもん! 気のせい気のせい。 そこに受付嬢がやってきてK氏に何か耳打ちした。 K氏は急に真顔になって「しばらくお待ちください」というと小走りで立ち去った。

ぼーっとしていると70代ぐらいの品の良い女性がコーヒーを、受付嬢がチラシを持ってきてくれた。 ありがたくコーヒーをいただきながらチラシに目を通してわからないところに線を引いて待つ。

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こんどは別の国会議員の秘書だという70代ぐらいの男性が来てくれた(仮にS氏とする)さっきと同じ質問をしてみる。 「自民党ってどういう党ですか?」

「保守です」

私「なるほど」

せっかく有権者のほうから話聞きに来たのに!もっと建前とか理念とか思想とか語ってよ!第二次世界大戦後、大政翼賛会と距離をとっていた吉田茂らが中心となって、日本が再び戦争の惨禍に陥らないようにとの思いから自由党という政党を作りました。 のちに社会主義陣営と戦うために日本の伝統と文化を大切にする(旧)民主党と合併して戦後の長きにわたって政権与党として日本の民主主義と国土と国民の財産を守り支えてきました・・・みたいなのをさ!!と思いつつ 気をとりなおして・・

私「さっき頂いたチラシにですね、新しい資本主義って書いてあるんですけど、これってどういう意味でしょうか?」

S「これがねー僕にもわからんのです。岸田さん自身もわかってらっしゃらないんじゃないんですかね。 共産党さんの言うような意味、企業の内部留保を税金で回収して再配分するなんてのは経済界からの反発があるのでできませんからね。 そうするとどうするのか、僕もこれからどうなるのかなーって楽しみにしてるんですよ」

正直!

私「ええと、私の祖父母も農家をやっていまして、このチラシの食料自給率の向上っていうのはとっても大事だとおもうんですけど、減反とかTPPとかで食料自給率下がる政策してきたのって自民党ですよね?」

S「はい(正直!)でもTPPというのはある業界にとってはマイナスでも、別の業界にとってはプラスになるんですよ」

私「自動車業界とかにはプラスで、農業にはマイナスなので、食料自給率は下がりますね」

S「そうなんです(正直!)でも種苗法の改正により例えば国産品種が海外に流出するのを防げるようになりましたし、国産のいちごなんかは海外にとても高く売れて収入の上がった農家もいるんですよ」

私「それはすごいですね!でも海外で高級イチゴが売れても食料自給率は上がらないですよね?」

S「はい(正直!)」

私「ここに誰一人取り残さない、伸びる子はどんどん伸ばす教育ってかいてあるんですけど、これって矛盾してる気がするんですけど・・・」

S「矛盾してますね(正直!)」

私「どのようにして実現するんでしょうか?」

S「まあ、今の文部省のやりかたでは無理でしょうな(正直!)先生の質を高めたところで、どうしても集団教育っていうのは中央値のレベルにあわせないといけませんから、できない子に加配をつけたり、できる子に飛び級させればあるいは、でもそんな話出てませんもんね」

私「あの、今までお話うかがっててSさんはとても正直で誠実なお人柄だと思って、で本当に失礼な質問かもしれないんですけど、Sさんはどうしてこんなにいっぱい矛盾のある自民党を支持してらっしゃるんですか?

S氏は「いやあ」とすこし照れたあとでちょっと真剣な目になった。

S「それは、安定ですね。自民党が政権を持っていると株価が安定する。この前民主党政権になったときは、株価がだいぶ落ちましたね。それが今だいぶ回復してきました。経済だけではありません。外交だってそうです。日本の政治、経済の安定のためには自民党しかないんです。」

私「日本の安定のためなら、多少政策に矛盾があっても、自民党じゃなきゃだめだと」

S「はい!」真剣な目

なるほど、自民党を支持する人はそういう思いなんだな・・・。そのあとS氏の身の上話など聞く。定年まで一般企業に勤めた後、個人的に知り合いだった自民党議員の秘書になったこと、娘さんが離婚して孫を連れて帰ってきたので相続税を節約するため孫を養子にしようと思っていること。株もけっこうもっているらしい。孫の将来のために、安定のために、豊かさのために・・・Sさんはいろいろ考えて合理的な判断をしている。

ただ、株を持ってない、大企業に勤めていない、農家の孫であるところの私がこの党に入れるメリットはあんまり感じられなかった。

「何事も体験」ということで、チラシに証紙を張るのを手伝わせてもらう。選挙期間中に街頭で配れるチラシの数には制限があり、その証明のために切手サイズのシールを手作業で張るのだ。その数小選挙区候補者ごとに7万枚。なかなかナンセンスな制度である(選挙事務所周りなんて酔狂してる人間がいうのもアレだけど)

張りながら「議員秘書ってふだんなにしてるんですか?」って聞くと「パーティー券を売っています」とS氏。

S氏「2万円もするのでなかなか売れないんですけど、この前の党首選が盛り上がったので今年はよく売れましたよ。さいきん入党希望者もふえてね、やっぱり総理大臣を選べるというのは魅力しょうな」

他にもパーティーのいろいろを教えてくれて、とても楽しい時間を過ごした。

そんなわけで、自民党の選挙事務所は楽しいので興味のある方はぜひ来年の参院選のときは行ってみてください!



えっいいんですか!?お菓子とか買います!!