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パパの一番長い日

パパ ママ 25年間深い愛情で育ててくれてありがとうございました。
私は小さい頃から二人に甘えっ放しだったと思います。
昔の写真を見ながら思い出しました。
いつもは照れくさくてあまり伝えることが出来なかったので、今まで伝えられなかった「ありがとう」を伝えたいと思います。

一人っ子で、子供の頃からワガママばっかり言ってたのに、怒ったりせず聞き入れてくれてありがとう。

いっぱい旅行にも連れて行ってくれてありがとう。

パパが休みの日、疲れてるのにいつも遊んでくれてありがとう。
近所のアスレチック場にはよく行ったよね。
お陰でこんな活発で騒がしい大人に育ってしまいました。
パパ、責任とってよね。

それから子供の頃、うちのマンションペット禁止なのに、私が犬を拾って帰ってきた時、パパ、一緒に裏山に秘密基地を作って、犬を飼ってくれたよね。ありがとう。
でも気が付くと、私よりパパの方がマロンちゃんに会いに行ってたんだから。
でもそんなマロンちゃんも、或る日、突然居なくなったよね。
パパ、泣きじゃくる私のために必死に裏山中を捜しまわってくれたけど、結局見付からなかった。
パパったら、最終的には私より泣いてるんだもん。
お陰で私の方が冷静になったんだから。
マロンちゃん、今でも何処かで元気に走り回ってくれてたら嬉しいな。

そして、私が中学の時、病気になって入院生活が始まりました。
パパ、ママ、あの時は迷惑と心配を掛けてごめんなさい。
入院退院を繰り返して、本当に大変だったと思う。

そうそう。修学旅行のディズニーランドに入院していて行けなかった時。
パパが「おーい、まさみ。廊下に出てみろ」って言うから、行ってみたら、パパやママ、そしてお医者さんや看護師さん達がみんな、段ボールで耳や鼻を作って、ミッキーやミニー、ドナルドとかになってくれたよね。嬉しかったです。
私のためだけのパレード。本当にありがとう。
でも今だから言えます。パパのは、ミッキーとは到底思えない出来栄えでした。
あれを写真に撮っておかなかったのは、今でも後悔しているのです。

そんなパパにも、一度だけ怒られたことがあったよね。
入院生活が退屈で、こっそり病院を抜け出した時です。

私を見付けるなり、すごい剣幕で。
初めて見たお父さんの怒った顔。そして泣き顔。
マロンちゃんが居なくなった時よりも泣いていた。
あの時は本当に反省しました。ごめんなさい。

そして、そんな私も元気になって、5年前、ケンジさんと出会いました。
パパ、ママ、ケンジさん。私の周りは本当に素敵な人ばっかりです。

ワガママばかりの私ですが、幸せで楽しい家庭を築いていきたいと思います。

最後になりましたが
パパ 私を育ててくれてありがとう。
ママ 私を産んでくれてありがとう。
私は二人の子供に生まれて本当に幸せです。

ケンジさんのお父さん、お母さん、まだまだ未熟な私ですが、末永くよろしくお願いします。

本日はお忙しい中、ご列席いただいた方々、本当にありがとうございました。





「ん?あなた何してんの?」
『え!?い、いや、何でもない!』
「ちょっと!何隠したのよ!見せなさい!」
『ああ!!』
「え?何これ?まさみの手紙?何であなたが書いてんのよ!」
『いや、まぁ…。もしまさみが結婚したらこんな感じの手紙を書くのかなぁって…』
「はあ??何くだらない事してんのよ!……。って言うか、これあなたとの思い出ばっかりじゃないの!私のこと全然書いてないじゃない!」
『いいだろ別に!』
「ああ!それに新郎のケンジって、あなたの名前じゃないの!」
『そらそうだよ。だって「まさみは大きくなったらパパと結婚する」って言ってたんだから!』
「まったく呆れるわ…。くだらない事してないで、そこどいて。掃除するんだから!」
『おいおいなんだよ。まさみは今日で25歳になるんだぞ。』
「そうよ。……。生きてたらね。」
『いいだろ。誕生日くらいまさみの事ゆっくり考えても。あれから10年か。早いな…。』
「……。はい、これ」
『ん?手紙?何これ?』
「あとで驚かせてやろうと思ったけど、読んだら」
『え!?まさみから!!??』
「うん。タイムカプセル郵便ってのがあるみたいね。10年後の今日、届くようにあの子がそれを出してたみたい。」
『え…!』
「多分あの日ね。まさみが病院をこっそり抜け出した日。」
『まさみ……。』


その手紙には、弱々しく震える文字で、パパとママへの感謝の言葉が綴られていました。





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