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手抜きで学ぶドイツ語定冠詞の格変化

第2外国語でドイツ語を取ったみなさん、こんにちは。
自力でドイツ語を学ぼうというみなさんも、こんにちは。
できるだけ少ない労力でドイツ語を覚えようのコーナーです。
初回は定冠詞の格変化を喧嘩腰でお送りします。
なお、喧嘩腰のところは太字です。クソが。

さて、みなさんおそらくご存じの通り、ドイツ語には格が4つあります。まずは4つしかないことに感謝しましょう。
サンスクリットは8つ、ラテン語は6つ、ロシア語も6つです。印欧語じゃないハンガリー語やフィンランド語はもっと多いです。
できるだけ下を見て 「あいつらに比べれば事態はまだマシ」 と思いながら平穏な気持ちで暮らしましょう。

まずは作為的な例文から。
Der Lehrer gibt dem Schüler den Schlüssel des Klassenraums.
先生が生徒に教室の鍵を渡す。

ここに出てくるのは全て男性単数名詞です。
der Lehrer 「先生が」 1格 (主格 Nominativ)
dem Schüler 「生徒に」 3格 (与格 Dativ)
den Schlüssel 「鍵を」 4格 (対格 Akkusativ)
des Klassenraums 「教室の」 2格 (属格 Genitiv)

それぞれの格の名前と代表的な用法を教科書で確認しておいてください。なお gibt は geben (与える) の3人称単数現在形です。
日本のドイツ語教育では格を数字で表しますが、これは最悪です。 
「が」 が1番で 「の」が2番なんて恣意的にもほどがある。クソが。

取り乱してしまいました。
気を取り直して皆さんがお手持ちのドイツ語文法の教科書を開くと、次のような表が載っていることでしょう(載っていない教科書はクソ以下です)。

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覚える手間を減らすという観点で見ると、この表は最悪です。必要以上に複雑で、規則性が見えてこない作りになってるからです。
昔の教科書がそうなってたからという理由で、多くの和製ドイツ語テキストでは、この不合理な表が今でも広く使われているのです。クソが。

再び取り乱してしまいました。
さて、ここで本質的に重要なことを言います。
(1) 男性と中性は似ている。女性と複数は似ている
(2) 主格(1格)と対格(4格)は似ている 

これらの類似点を元にして上の表を作り替えましょう。
女性と中性の場所を入れ替え、男性の右隣に中性が、女性の右隣に複数が配置されるようにします。
そして属格(2格)と対格(4格)の場所を入れ替え、主格(1格)の直下に対格(4格)が配置されるようにします。

するとこうなります。

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類似点が可視化されてきましたね。
たとえば女性と複数は、主格(1格)だろうと対格(4格)だろうと全部 die です。幼児でも覚えられます(だからお前も覚えろ)

日本国外で出版されてるドイツ語教科書では、この順に格を並べるのが標準的です。だってこっちの方が分かりやすいもの。
このタイプの表があなたの教科書に載ってたら、その教科書はアタリです。良いものをお買いになりましたね。

えっ、さっきの表との違いが分かりません? あなたアホですか? (読者にも喧嘩を売るスタイルでお送りしています)
仕方ないなあ、それでは近接する項目を全部まとめましょう。

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はいスッキリしました。縦横でどれとどれが同じになってるかを噛みしめて味わいましょう。

(1) 主格(1格)と対格(4格)の形が違うのは男性単数だけ
(2) 男性対格(4格)の den と複数与格(3格)の den は表の中で孤立している
この2点に気をつければ、あとは縦か横に同形が並んでいます。何と何が同じ形かを覚えましょう。

そしてこの表を何度か手で書いてみましょう。要点が把握できるはずです。
最終目標は、表を手がかりとして格変化を頭に入れることです。表自体を覚えることじゃないですよ。道しるべは分かりやすい方がいいと言いたいわけです。

それではもう一度、最初の表に戻ってみましょうか。無駄にややこしい表を冷たい目で眺めながら、「クソが」とつぶやきましょう。「シャイセ」でも結構ですよ。Scheiße とは「クソ」のことです。女性名詞です。
表からも分かるとおり、定冠詞の形は die Scheiße (主格・対格) か der Scheiße (与格・属格) の2択です。
罵倒するときは無冠詞で Scheiße! と言いましょう(人に向けて言ったときにどうなるかは保証しません)。

ちなみに、主格と属格を離してうまく書き換えると格変化表が見やすくなる、というのはドイツ語以外にもあてはまります。
お好きな言語で最適な並びを求めてみられると楽しいでしょう。

というわけで、できるだけ少ない労力でドイツ語を覚えようのコーナーでした。

次回は形容詞の格変化について、喧嘩腰でお送りする予定です。チュース

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