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“BIG BOSS”新庄剛志の記者会見ファッションのどこが“奇抜”か、チェック&解説(#53)

2021年10月4日、来シーズンの北海道日本ハムファイターズの新監督に就任する新庄剛志さんの記者会見が行われました。

就任会見の内容もさることながら目立ったのは派手なファッションです。

選手時代からのトレードマークである赤色で仕立てられた3ピースのスーツに、これまたオフホワイトの異常に高い襟(カラー)と長い袖口(カフス)のドレスシャツを着ています。

そのシャツからはだけた胸がVの字にひろがり、そこにあるのは2種類のネックスレスです。
靴には底圧の黒いブーツ風のものが選ばれ、まさに「奇抜」といった感じが滲み出ているような装いでした。

これまでプロ野球選手や就任記者会見などは球団カラーのネクタイを締めることが主流でしたが、このコードは完全無視です。

お洒落かどうかはともかく、中々個性的な着こなしだったので記事にしてみました。

尚、本日放送があった『ワイドナショー』の中で、ダウンタウンの松本人志さんがこの襟について触れていますが、個人的な感想は同じです。

実際写真をみながら、説明させて頂きます。

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写真引用:https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/3771904/

① 襟(カラー)


上記の記事内にあるとおり、犬や猫が傷口を舐めるのを防ぐ目的で使われているものは“エリザベスカラー”と呼ばれています。

しかし、何故に「エリザベス」・・・?

これはイギリス絶対王政時代の女王エリザベス1世に由来します。

元々はフリル由来で、フリルとは襟・袖に使う装飾品です。
日本でも時々耳にする「フリル」と同じく、ふわふわした見た目のものをイメージしてみてください。

ところで洋服で一番汚れやすい部分はどこでしょうか。

答えは襟・袖で、シャツ(日本でいうワイシャツやブラウス)のカフス(袖部)とカラー部分(襟部)は汚れた場合、既製品がない時代、仕立屋で簡単に交換できました。

少し脱線しますが、同じ由来のひとつがクレリック・シャツ(袖襟が白でボディーが青のシャツ、このような形態のシャツ)で、英国では父から子、子から孫へシャツを引き継ぐ習慣がありました。

日本でいう「おさがり」ですが、カフスとカラーを新たにすることでボロさを補完することができたのです。

尚、どうして2トーンカラーなのかというと、白の生地が一番入手しやすい(製造しやすい)からです。

ですので実際、白×白のクレリックシャツも存在しています。

「襞襟」も目的は汚れ防止ですが、エリザベス1世統治下で流行ったカラーのため、襞襟はエリザベス1世の象徴となったのです。

エリザベスカラーはこのエリザベス1世を象徴する「襞襟」から由来してます。

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“エリザベス1世”


十年近く前に、この襞襟風のダウンジャケットが流行していました。

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写真引用:https://blog.uktsc.com/abeno/177641

女性向けのこのダウンジャケットをみたとき、「喇叭の中に首があるみたいだ」とか「襟巻きトカゲみたいだ」と感じたことを懐かしく思い出させます。

そんな襟元の話でした。

② 袖口(カフス)


次がジャケットのボタンの留め方についてです。
3つボタン、段返りの3つボタン、2つボタン、それらのジャケット以外にも基本的に下のボタンは留めません。

このボタンは「捨てボタン」とも言われ、これらは「アンダーボタンマナー」と呼ばれるコードのひとつです。

ときどきイタリアの“ピッティ”に来るバイヤーの中にこのような留め方をする人を見かけますが、基本的にセオリーに反しています。

ただ、このボタンを好んで留めていた紳士のアイコン的人物がいました。

それはJ・F・ケネディ、御存知アメリカ合衆国元大統領です。

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写真引用:https://www.big-vision.co.jp/tips/detail.php?id=6688


彼がどうしてそのように留めていたのか様々な憶測が飛び交っていますが、事実そのスタイルがアメリカ全土で流行したのでした。


以前レオナルド・ディカプリオも2つぼたんの上下両方とも留めてメディアに露出していたのをみたことがあります。

そういえば先頃ご結婚された小室圭さんも四年前の会見時アンダーボタンを留めていましたね。

それはそれで着る人によって「ありかもしれない」「いや、ない」と賛否を分けるものです。

③ 色

ビジネスシーンではネイビーとグレーを軸にベージュなどのブラウン系がコードと捉えられています。


日本におけるリクルートスーツのようなブラックは“喪”を連想させるので本来はビジネスシーンに相応しくない格好です。

尚、こちらは以前作成した記事ですが、関連しているので添付致します。

今回の赤(ワインレッドに近い赤)の生地は艶めかしくて綺麗な色ですが、こうした会見の場において着られることはやはり珍しいです。

ちなみに赤いジャケットといえば、私はルパン三世をすぐ思い浮かべるのですが、彼も怪盗であるものの同様に”悪目立ち”してしまいます。

それゆえ豪快さ、セクシーさが漂っているのかもしれません。

<まとめ>

ドレスコードとは本来“画一的”で、共通のルール(コード)の下で、慎ましく個性が“披露”されるのを美徳としています。

現在、そうした装いにまつわる話のほとんどがハリウッドやヨーロッパを中心としたものですが、日本で、しかも野球という(特に日本ではファッションと)あまり縁がないようなジャンルが陽の目をみるのは”新庄だからこそ”の話なのかもしれません。

”BIG BOSS”新庄のような選手がもっと増えていけば、ファンも違った興味を抱き、よりよい方向に行くのではないかと思う次第です。


引き続き、様々なジャンルの方々のファッションについて追い掛けさせて頂きます。

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