⑯卒業式2021

卒業式当日は穏やかな晴天だった。寒さを覚悟していただけに、ありがたい。中学校の卒業式の後、講堂に入場し、小学校の卒業式が始まった。全校児童、村長さん、ケーブルテレビ、いろんな人が参加する卒業式(例年はもっと多くの人が参加していたのだろう)は私たち夫婦にとっても初めての経験だ。

厳かだけど温かい、卒業式だった。卒業生がたった5人の卒業式。子どもたちのこれまでの成長を思い、周りで支えてくださった人を思い、少し目頭が熱くなった。同時に、卒業後はそれぞれの場所で新生活を送る子どもたちに心の中でエールを送る。


翌日は雨予報のため、昼食後にセンターへ行き、詰められるだけ荷物を車に積め込んだ。あとは修園式を残すのみ。この村でこのメンバーと過ごす夜は今日が最後だ。「忘れ物ないように確認してね。じゃまた明日ね」と言って私たちは帰宅した。

帰宅後荷物を開けてみると、文集やら作品やらいろいろなものが入っていた。その中に調理員さんからの「レシピ集」があった。この村では中学校を卒業したらみんな村を出て行く。だから一人でも自炊ができるようにと毎年卒業生に配るのだろう。基本の味噌汁から煮物、この地域の料理、給食で出てきた料理など、いろいろなメニューが載っていた。村の子どもたちは昔も今も早くから自立しなければならないんだな、と自分たちとの違いを思い知った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?