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女性が日本の未来を救うよ!

TL;DR(要約)日本が抱える問題の根本は画一的な会社と職場と家庭に縛られた価値観です。この縛られた価値観を解放して日本を救うのは女性です。

 ボクは10年近く日本を離れてシンガポールとオランダで暮らしてきました。その中で学んだのは色々な価値観があるということです。日本には素晴らしい価値観がありますが、それは必ずしも他の国の人たちと同じではない。逆に外国の価値観がどれだけ良くても、日本は違う。いい悪いではなく、違うんです。

 ただ、ここ最近の出来事を日本を離れて見てみると、外国の価値観を日本でも取り入れてもいいのではないかと思うのです。最近の出来事とは具体的には待機児童問題と過労死問題、移民問題です。実を言うとこれらの問題の根っこは同じなんではないかと思うのです。これは日本人の価値観に起因しています。それはある意味素晴らしい価値観ではあるのですが、いくつかの問題の原因にもなっているとボクは思います。

 例えば終身雇用という価値観です。これは崩れつつありますが、まだ根強く残っています。また会社はみんなで集まって一緒に働くものだという価値観。これも日本では根強い価値観ですね。そして「子供は自分の手で育てる。母親は子供との時間を大切にする」というのは素晴らしい価値観です。おそらくこれに反対する人は少ないでしょう。これらの価値観に縛られて動けなくなっているのが今の日本だと思います。そして、この縛られた価値観から解放してくれるのが女性の職場進出だと思います。

女性の職場進出を妨げる「女性は家庭を守るべき」という価値観は日本企業の海外進出の足かせにもなっている

 なぜ残業をするかといえば仕事が終わらないからです。仕事には質と量があります。労働の質という意味では効率が悪いと言えるのかもしれません。労働の量でいえば人手不足なのでしょう。人手不足であるにもかかわらず女性の職場での登用は進んでいるとはいえません。また、外国人の登用もあまり進んでいません。移民問題も同根ですが、ここでは過労死問題と待機児童問題に関わるまず女性の職場進出に関して。

 残業する人の中にはお金のためにしている人も少なくないのではないでしょうか。労働する側はよりお金を稼ぐ手段として、企業側としては少ないコストでより多くの労働量を得る手段として残業が機能しているのが今の日本です。

 月に100時間以上残業するというのはひと月当たりの稼働日を20日とした場合、毎日5時間です。一人で二人分近い仕事をしていることになります。だったら二人でやればいいんじゃないでしょうか?それが配偶者であってもいいはずです。海外では共働きがスタンダードで日本のような配偶者の一人だけが働くというのは特殊な例と言えます。この特殊性は日本企業が海外に進出する場合のボトルネックにもなっています。

海外の日本人駐在員はなぜ「コストが高い」のか?

 「日本企業は給料が低いし、駐在員と現地社員の差がありすぎて嫌になる。アメリカ企業は給料がもっと高いしフェアだからアメリカ企業に勤めたい」というのは現地の人からよく聞いた話です。

 日本企業が海外に駐在員を派遣する場合、給料の他に住居や教育費などの様々な手当てが出ます。これが日本人駐在員のコストが高い要因です。どうして会社がそこまで負担しないといけないのか?これはなぜかというと、一般的な会社員の給料だと現地で生活ができないからです。現地の一般家庭では共働きが基本なので生活水準に大きな差が出てきてしまいます。一世帯あたりの収入は個人収入より大幅に多いのが海外です。

 ところが欧米企業の場合は特殊な手当のある「駐在員」は多くありません。給与や手当は現地の社員と同じの「現地採用」の割合が高いです。それでは共働きの現地人と収入の差をどのように埋めるのでしょうか?

 多くの場合、海外で外国人は就労ビザを持っている人しか働けませんので、残りの家族は扶養家族ということになります。そして米国や欧州の駐在員は配偶者も現地で仕事を探し、就労ビザを獲得します。だから海外でも共働きになるケースが多いです。日本人の場合、配偶者は働かないケースが多いです。

 これは海外でも日本の価値観から抜け出せない例の一つといえます。日本は海外に比べて女性が社会で活躍する場所が多くありません。「専業主婦」という概念はアメリカ、欧州、シンガポールを含めた東南アジアの先進国ではすでにマイナーになりつつあります。いいか悪いかは別にしてこれが現実です。

海外の共働きの子育て

 共働きの場合一番問題になるのが家事や子育てではないでしょうか。海外ではどのようにしてこの問題を解決しているのかみてみましょう。日本人の価値観に合うものもあれば合わないものもあるでしょう。ただ、違う価値観を知ることは重要ですよ。

シンガポールの場合

 シンガポールは世界で一番物価が高い都市の一つです。一人当たりのGDPが日本より上ですし、給料水準も日本より高いですが、共働きをしないとなかなか生活は厳しいです。

 シンガポールや香港ではメイドを雇って家事の負担を減らします。メイドはたいていの場合は住み込みで、掃除、洗濯、アイロンがけに食事の用意などほとんどの家事を行います。そして子供の幼稚園や小学校の送り迎えもメイドの仕事です。

 このメイドの大半はフィリピンやインドネシアなどの周辺の途上国からきます。ボクが住んでいたシンガポールはもちろんのこと、中国でも上海などの大都市では同じだそうです。

 このメイドの仕組みは欧米の駐在員でも利用しています。ベビーシッターは通いですが、メイドは基本的に住み込みです。たいていのコンドミニアムにはメイド用の小さな部屋とシャワーがあります。彼らもメイドの仕組みに慣れているわけではないですが、郷に入っては郷に従うです。共働きを実現するにはメイドの仕組みを使う方が合理的なのです。月にメイドに支払う金額より共働きで得られる収入の方が大きいからです。

 メイドはレストランも同行し、雇い主の子供にご飯を与えたりします。メイドはレストランでは食べないんですよ!日本人の価値観には合わないかもしれませんが、彼らにとっては合理的な方法です。

オランダの場合

 平均月収は3500ユーロ(40万円ボーナスなし)くらいで、子供のいるくらいの年代なら4000から5000ユーロはもらっているかもしれません。でも子供のいる家庭だと月7000から8000ユーロは必要になるのではないでしょうか。日本円でいうと月80万円で年間970万円くらいですね。単純計算で共働きでないとやっていけません。

 しかしオランダではメイドの仕組みはありません。ではどうするか?男性と女性で単純に家事を分担します。お互いが仕事をしないと暮らしを維持できない、そのためには他の負担もちゃんと分担しましょうというのがオランダです。

 例えば小学校は毎日2時くらいに終わります。小さい子供は親が迎えに行かなければいけないのですが、ほとんどはお父さんです。一体この人たちは毎日何をしているのか?と思うのですが、普通の会社員です。

 オフィスでも「ちょっと子供を迎えにいって来る」といって出かけて行くのは普通の光景です。おそらくこれはアメリカでも同様じゃないかと想像します。海外出張などがあると残る方にその負担がかかるので、出張前は色々と調整が必要みたいですね。

 更に言えばオランダの人たちは9時に仕事を始めて5時にはきっちり帰ります。ほぼ残業はしません。持ち帰って仕事をしているようにも思えません。仕事とプライベートはきっちり分けている印象です。日本人を含めてアジア人から見るとその仕事に対するドライな態度には違和感を覚えるのですが、それが彼らの価値観です。

女性が日本を救うために日本で実現すべき三つのこと

 女性がもっと働くようになれば労働力が確保できるために過労死の問題は自然と少なくなっていくでしょう。お金のために残業する必然性が減るというのが直接的な要因ですが、女性が職場に増えることによって男性的な体育会系のノリが通用しづらくなるという間接的な効果も考えられます。

1. 人材の流動性を高める

 女性の場合どうしても問題になるのが出産後の職場復帰です。ここで問題になるのが「同じ職場でないといけないのか?」ということです。もちろん慣れた職場に復帰できるのはいいことですし、企業側としても即戦力が復帰してくれた方が教育コストがかからずにいいはずです。合理的に考えれば育児にめどが立った女性を同じ職場に復帰させることは労働側、企業側ともに理にかなっています。

 ただし、同じ職場に縛られる必要もないわけで、新しいチャレンジをしてもいいはずです。問題なのは職場復帰のオプションが少ないことです。職場復帰のオプションが前いた職場しかないのであれば、採用する側が有利ですよね。有利なのだから復帰の際に給料を下げるみたいな不条理なこともできるし、実際にそういうことがまかり通っています。

 女性が自由に働くには実は人材の流動性を高めることが重要なのです。これは企業側にも解雇の自由がないとできません。

2. テレワークを充実させる

 オランダのお父さんたちが子供の送り迎えができるのはテレワークがあるからです。お父さんやお母さんが送り迎えをする日はテレワークにする。それだけで子供を預ける保育所や幼稚園の問題がかなり解決するはずです。

 実際にオランダやシンガポールではオフィススペースの縮小がはじまっています。中にはビルの10フロアを占めていたオフィスを3フロアまで削減した企業もあります。企業にとってもテレワークの推進でオフィスレンタルコストを抑えることができます。

 仕事をする上でコラボレーションをするツールはたくさんあります。SlackやTrelloなどのツールがなぜ人気があるかといえば働く場所がどんどん分散化されてきているからです。

3. 女性の管理職を増やす

 鶏が先か卵が先かなのですが、女性の管理職が増えないと女性の職場進出は進まないというのが通説です。たいていの企業はダイバーシティー促進の名の下に女性の管理職割合を経営指標として設定しています。

 能力がある男性の昇進機会が減るのはおかしい!と感じる方もいるかと思います。しかし、働く女性の割合が増えないと困るのは男性なのです。これまで男性だからという理由で女性より昇進機会があったのですから、社会全体を考えて女性管理者を積極的に支援する方がよろしいのではないでしょうか。

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