【塊】変革する意識 4
そうだな。ここに何を布置すれば、少しはマシになるだろうか。少しは、光があると言えるようになるだろうか。膏薬、舐めると微かに甘みを感じる膏薬と、それが効くように設計された疫病、それではない。また、透きとおる青すぎる湖の底に溜まっている、それ自体が清浄をもたらす強力な毒、でもない、らしい。感嘆の声を上げて空に消えていく人の存在、あるいは同じようにどこかに捧げられる言葉、体幹を捩るようにして苦しそうに絞り出される言葉、なのだろうか。雨はそれらに関わりなく全体を薄暗く覆って憚りない、何度存在が天と地を往来しようが関係ないかのようだ、ふと足元が覚束なくなる、足元がからまる、植物のように痛々しく浮かび上がるような心地がしたら注意した方が良い、本当に空に浮かび上がる為のそれは身体的準備なのだ、さらに数センチ、数マイルと浮かび上がっていき、当初の目的を忘れて心が散歩を始める、見慣れない坂道を発見して薄らかに笑う、その人の影を、知らないうちに踏んでいる、机の上に紙を敷いて、一直線に落とされた粉薬を鼻息でスッと吸う、また心の足は歩き出してとどまるところを知らない、まだガソリンは半分以上残っていて近頃の車の燃費の良さをどこかで呪っている自分がいる、そんな風に思わないでいいのに。
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