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図書館職員の専門性について考える

先日学生に図書館の使い方に関する講習会をしていたとき、ある教員が学生に向けて、

「図書館職員のみなさんはただの事務職員ではなくて、情報を探すプロフェッショナルですから、ぜひ積極的に質問して下さいね」

と仰っており、図書館職員の専門性について改めて考えてみました。

1. 図書館職員の専門性とは何か

図書館にも色々な仕事があるというのは以前の記事で述べたとおりなんですが、その中でもレファレンスというのは専門性の大きな中核を担っていると思います。

私が働いてるのは大学図書館なんですが、公共図書館でも行われているサービスで、簡単に言うと「こういう情報が欲しいんですが、どうやって入手したらいいでしょうか?」という利用者からの質問に答えるサービスです。

大学図書館だと「この論文が欲しい」「この貴重図書を利用したい」などある程度パターンが決まってるんですが、公共図書館だとそれこそ無限に幅広い質問が来るようです。例えば、

・昭和11年に設計された羊山公園(秩父市)の古い写真が載っている資料を見たい
・消防設備士という資格を活かした仕事について知りたい。また、就職先としてどんなところがあるか、会社や団体についても知りたい。
・「三本締め」、「一本締め」、「一丁締め」のやり方と使い分けについて知りたい。

など、どうやって答えるんですか??という質問が寄せられます。こういう質問にちゃんと答えることができるのが図書館職員の専門性なのです。


ちなみに全国の図書館に寄せられた質問事例は国立国会図書館が運営しているレファレンス協同データベースレファレンス事例ということでまとめられていますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

2. 図書館職員の専門性は伝わっているのか

ここまで説明してきた図書館職員の専門性ですが、きちんと学生や利用者に伝わっているか、と言われるとあまり自信はありません。

図書館=貸本屋・勉強するスペース、と言った認識や、図書館職員は「本の貸し借りをする人」、「書架に本を並べている人」、「事務書類を作っている人」という認識がまだまだ大勢だと思います。

もちろんそういう認識も正しいんですが、図書館職員の専門性をもっと多くの人に知ってもらえれば、図書館が利用者のお役に立つ場面が増えると思いますし、図書館職員ももっとやりがいを持って仕事ができる場面が増えるのではないかと思いました。

3. これからどう専門性を伝えていくか

これは正直難しい問題で、簡単な答えはありません。アメリカでは、図書館職員の専門性というのは広く認知されていて、映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」でも紹介されていました。

個人的には1人の図書館職員として、講習会や仕事を紹介するときにこういう専門性については伝えていこうと思っています。この記事を読んだ方が1人でも「図書館を使ってみよう、図書館職員に相談してみよう!」と思って頂けるとありがたいです。

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