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【NWAが生まれるまで:日系レコード店と西海岸ヒップホップの黎明期】
スパイク・リーが描いたマルコム・Xの暗殺場面を思い出してみよう。
それは一つのアフリカ県人会だった。凶弾に倒れたマルコム(デンゼル・ワシントン)を見て泣き崩れる妻(アンジェラ・バセット)をはじめ、出てくる人は黒人ばかり。
だが、それは歴史的事実と食い違う。実際には、暗殺現場でマルコムを看取った人々の中にユリ・コチヤマがいた。マルコムを師と仰ぐ日系アメリカ人、偉大な人権活動家だ(2014年6月
【シュグ・ナイトとは、既に一つのジャンルである】
君は知っていたか?
90年代末から00年代初頭。それはDr.ドレーが99年のアルバム『2001』で復活し、ウォーレン・Gの『I Want It All』やスヌープ・ドッグの『Tha Last Meal』といった好作・良作が相次いで出された頃だ。やがてその勢いは、彼らウェストコースト勢がエミネムも加えて敢行した歴史的ツアー『The Up in Smoke Tour』に結実する。
要はだな、そ
【マルコム・Xと6人の娘たち】
5月19日はマルコム・Xの誕生日である。
尊敬する偉人の記念日——それは殆どの場合、誕生日と死没日なのだが——をGoogleカレンダーに登録することは、非常に有用だ。とりわけ君のヒーローが、市販のカレンダーを飾るような存在ではない場合は。そんなヒーローたちのために祝うべき日、あるいは悼むべき時を、忘れることなく君に教えてくれるのだから。
マルコムといえば、ムスリム名 el-Hajj Mal
ジョージ・クリントン師匠、宇宙を語る
これは2011年、雑誌時代最後期の『bmr』に掲載された、ジョージ・クリントンのインタヴューだ。
同号では、アメリカ黒人による未来/宇宙志向的なアート表現である「アフロフューチャー」を特集していた。その一環としてのインタヴューなので、ここでのクリントン師匠は、宇宙や未来やSFについて語っている。アメリカ音楽界が生んだ最大のアフロフューチャー系アーティストであろうクリントン師匠だもの、こういう語
【GO GO 曽野綾子先生! 第9地区まで疾走せよ!】パート2
(ここから続く)
南アフリカ共和国の最大都市ヨハネスブルグは、なぜに世界最悪級の犯罪都市となったのか。
南アフリカの人種差別制度「アパルトヘイト」の撤廃は、1991年から始まり1994年に完了した。つまり、この2015年ですら、全廃されてから20年ほどしかたっていないわけだ。
ここで、君がいま35歳くらいの南アフリカ黒人男性だと仮定してみよう。すると、アパルトヘイト終了時は15歳くらいの少
【GO GO 曽野綾子先生! 第9地区まで疾走せよ!】パート1
もうさんざん話題になってはいるが、産経新聞における曽野綾子先生のコラム「透明な歳月の光」が凄い。連載タイトルからして類まれな日本語センスが神々しいし(ダニー・ハサウェイ級)、アパルトヘイト肯定・人種差別礼賛と解釈されてもしかたないような主張を堂々と展開する肝っ玉も光っている。
とはいえ、ここでのワシは、曽野綾子先生の主張についての説明を試みるつもりはない。先生は「つくづく他民族の心情や文化を
【ももクロとラッツ&スターに捧ぐ:顔面黒塗りの何が悪い?】
かつて「黒人」とは、低能と堕落、怠惰と野蛮の代名詞だった。
つまり、「人類の最底辺」ということだ。もちろん、白人から見て。
21世紀の現代を生きる諸姉諸兄が、黒人——この場合、アフリカン・アメリカン——に対して抱くイメージは、どのようなものだろう?
先日、TVでワシと共演した青年が、Run DMCのビデオを見て「いかつい」と評していた。あの、ごくごく穏健で、ギャングスタ・ラップの香りなど