【NWAが生まれるまで:日系レコード店と西海岸ヒップホップの黎明期】
スパイク・リーが描いたマルコム・Xの暗殺場面を思い出してみよう。
それは一つのアフリカ県人会だった。凶弾に倒れたマルコム(デンゼル・ワシントン)を見て泣き崩れる妻(アンジェラ・バセット)をはじめ、出てくる人は黒人ばかり。
だが、それは歴史的事実と食い違う。実際には、暗殺現場でマルコムを看取った人々の中にユリ・コチヤマがいた。マルコムを師と仰ぐ日系アメリカ人、偉大な人権活動家だ(2014年6月死去)。でも、「スパイク・リーが描きたいところのマルコム・Xの死」にとって、彼女は不要な、あるいは邪魔な存在だったのだろう。
では、F・ゲイリー・グレイが監督するNWAの伝記映画はどうだろう? きたる8月14日に全米公開となる『Straight Outta Compton』である。
同作は、NWAの核となった二人——Dr.ドレーとイージー・E——を結びつけた、知られざる重要人物を正しく描くだろうか? それとも切り捨てるだろうか?
スティーヴことスティーヴン・グレゴリー・ヤノという男がいた。名前からわかるとおりの日系アメリカ人だ。
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