0521「電話中アーティスト」
昨日はいろんな電話会議があって、その中の１つは結構シビアな話をしなくちゃいけなくって、シビアな話であるがゆえに長話にもなった。自分の場合、フィジカルな会議であれ電話会議であれ、話が深みに入っていくと無意識に手遊びを始めてしまうことがあって、フィジカルな会議が深い話になってきたときについついやってしまうのが、「プラスチックを噛む」というものだ。
一番好きなのはスターバックスのコーヒーに刺さってる緑の棒だ。深い会議に限って、スタバのこの緑の棒は存在する。そしてこの緑の棒は、扁平な持ち手部分から柔軟性の高い先端部分に至るまで、非常に噛みしだき甲斐のある形状と質感だ。これを会議中にひたすら噛んで噛んでかみ続けて、全体がペナペナになるまで徹底的に噛む。これは、私が会議にちゃんと集中している証拠だ。私がちゃんと集中して参加した会議の後には、ペナペナになったスタバの緑の棒が残る。
画像は、https://ameblo.jp/stbjp-knowverywell/image-12186868963-13713904780.html から借りた。
この緑の棒が便利なのは、この緑の棒が万国共通であるということだ。住んでいるアメリカのスタバでもこれがついてくるし、日本でも中国でもこの緑の棒だ。噛む方もかみ方に慣れているので、噛む上でのハードルは低い。
このスタバの緑の棒が無い場合は、何で代替するかというとボールペンのキャップだ。ボールペンのキャップがペナペナになるまで噛みまくる。思えば質感的に結構スタバの緑の棒と近いので、ちょうどいい。当然ながら、そのプラスチックの塊はボールペンのキャップの機能を果たせなくなるので、不都合が生じる。これは、前いた会社の朝礼で問題になったことがある。問題になったというか、晒し上げを食らったことがある。
「最近、ボールペンのキャップを噛む人がいますが、どんどんボールペンがダメになるのでやめてください。」
と、完全に私の方を見て注意されたことがある。みんな、私の方を見ていた。私はその会社の役員だったし、そんな注意をされてしまっては役員の威厳もあったものではない。「ボールペンのキャップを噛むことが自分の生産性につながるのです」とか主張したくなったが、役員の威厳的には逆効果だろう。
ボールペンのキャップはダメだ。迷惑がかかるしボールペンのキャップは有限だ。しかしスタバの緑の棒が近くにない。そんなとき、オフィスにいる場合格好の代替品がある。それは何かというと
3Dプリンタのフィラメント
だ。3Dプリンタのフィラメント、つまり3Dプリンタはこのフィラメントを溶かして、にゅるにゅるとノズルから出して固めていくことで3Dな形状をつくるわけだが、このフィラメントの質感が概ねスタバの緑の坊やボールペンのキャップに似ていてとても良い。
私の会社はそういうものを扱ったりすることがあるので、フィラメントがわりと潤沢にある。ので、フィラメントは噛むものがないとき、非常にちょうど良い。
坂本龍馬は、話が盛り上がってくると、袴のひもを噛みまくって、唾液でびしょびしょにしながらそれを振り回して相手に唾液を飛ばすという、すごい迷惑な癖があったという。脳が活性化しているときには何らかのアウトプットが漏れ出てくるのかもしれない。
一方で、電話会議の場合、何かを噛むことは少なくて、何をしているかというと手元で落書きをしていることが多い。どういう落書きかというと、全く意味のない、意識から漏れ出てきた異物が冷えて固まったような落書きだ。昨日の電話会議は、深く、長かったので、やはり無意識に、そばにあった子供の算数の計算用紙に、謎の模様を描いていた。それがこれだ。
なんかすごい。
私の頭の中は大丈夫なのか。何か悪いものでも食ったのかということもなく、長い電話会議の後に、ハッと気づいたらこれが机の上に置いてあった。これは面白い。そういえばいつもこういうの描くのだが捨てていたので写真に撮ったの初めてだが、これを溜めていって展覧会とか開いたら面白いのではないか、と思った。
これは結構他の人もやってるんじゃないかと思って、「電話中 落書き」で検索してみると、結構出てくる。具体的なものを描いている人もいれば、私のように抽象的な病気っぽい図像を描いている人もいる。
プリマス大学の研究チームは40名の被験者に対し、誰かと電話で話をし後から名前や場所を思い出してもらうという記憶実験を行った。その結果、電話中に落書きをする人はしない人より29％もよく思い出すことが出来た
のだという。すごい。というわけで、今日から会議中、手元に長男用の計算用紙と鉛筆を置いて電話会議に臨もうと思う。そして、「電話中アーティスト」としていつか個展を開くのだ。そして、「誰でもピカソ」みたいなテレビ番組に出よう。また作品ができたらここに上げようと思う。