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1019「そもそものハロウィン」

まだ先週までのひどい時差ボケ状態が尾を引いているような腐豚気味の生活を送ってしまったが、多少はましになっている。もうそういう時期なので、妻子はハロウィンのコスチュームを買いに出かけた。ハロウィンまであと2週間もない。

日本でもハロウィンというものが盛り上がっているというか、毎年渋谷で若者が暴徒化して盛り上がるみたいなのをニュースで目にするが、たぶんそういうことになっているのは私たちがアメリカに移住して来てからで、つまりこの5〜6年の話なのではないかと思う。なぜかというと、会社も渋谷近辺にあるのに、日本のハロウィンがそんなに盛り上がっている的なことを実感したことがないし、直接影響を受けたこともないからだ。

それ以上に、アメリカに住む子供たちにとって、ハロウィンというのはとても特別なイベントで、いつしかハロウィンにかぶるように出張を入れてはいけない、という意識が強くなった。

ニューヨーク以外でハロウィンを過ごしたことはないが、アメリカのハロウィンというのは、ものすごく良いイベントだと思う。たぶんこの街には2種類ハロウィンがあって、1つはよく報道されるハロウィンパレードで、これは若者を中心とした大人たちが参加して盛り上がる。こっちは時間も遅いし、混んでいるし子供はあまり参加しない。こちらに来て2年目くらいに、子供を連れてパレードに参加したことがあるが、子供にとっては寒いし暗いしうるさいしで、何も楽しいことはなく、長男は怒って泣いてしまった。

本当はいろいろ違うのだろうけど(東京のハロウィンに巻き込まれたことはないし、今後もあんまりないだろうから、よくわからない)、東京のハロウィンというのは、このパレードのようなものに近いのではないかと思う。

もう1つはいわゆる、「人の家を子供たちが訪ねてTrick or Treatなんて言ってお菓子をもらって回る」やつだ。子供たちは学校が終わって帰ってくるとすぐにコスチュームに着替えて、キャンディをもらうための袋を手にとって出かける。親も一緒に出かける。

ニューヨークの場合、いくつか「ハロウィンに気合いを入れている通り」というのがあって、そういう通りの建物はみんな入り口を開放して、コスチュームに身を包んだ大人たちが子供たちが来るのを待ち構えている。建物の装飾もすごく凝っている。気合いを入れていない通りでもキャンディが入ったツボみたいのは用意しているものだし、お店なんかは大概出入り自由になっていて、キャンディーをくれる。ダンキンドーナツなんかは、普通にドーナツをタダでくれたりする。

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そうすると何が起こるかというと、たとえば普段は入らないような床屋さんとか、レストランとか、いろんなお店に珍しく入ることができる。それまで知らなかった地域の姿というものがほんのり見えてきたりする。各建物の入り口でキャンディーを配っている人たちもみんなそれを楽しんでいる。一言でいうと、「地域をあげて、地域の子供たちをいい子いい子している」みたいなことになる。構造的に子供たちがゲストで、地域の大人がホストなのだ。

これはすごく良くて、「ああ、このへんに住んでてよかったなあ」などと実感する。

昨年のハロウィンは、一通りキャンディを集めて回った後に、長男と2人で、初めて「配る側」をやってみた。これは非常に楽しくて、子供たちがどんどん出てきて、「Trick or Treat」と話しかけてくる。何より良いのは、当然みんな「Thank you!」なんていって感謝してくれるわけで、あんなに感謝される1日はなかったかもくらいのノリで感謝される。ありきたりな表現だが、「あたたかい気持ち」というやつになる。

そんなふうに、アメリカのハロウィン、というか「そもそものハロウィン」というのは、普段各々の家の中で閉じているコミュニケーションがブワーーーっと地域全体に広がってみんなで笑っているという、あまり否定する要素のない素晴らしいイベントだ。

私は、ネットで検索して見つけたザリガニのコスチュームにするかなあと思ったが、太ってきているのでもう少しゆるいものが良いだろうか、とかいろいろ考えるが、とにかく抽象度が高いもののほうが好みなので(キャラクターとかは恥ずかしくて辛い)、そのへんを重視して選ばなくてはいけない。アボカドなんかもちょっと気になっている。他にもすごいのを見つけたので、明日はそれについて書くかもしれない。 


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