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0923「諭吉が象さんの国」

なんか帰国してからずっとわちゃわちゃしててなかなか書けない。前回書いていた、タンザニアというアフリカの中でもゴリゴリの資本主義とちょっと違うかもなーという価値観が漂っている国のおおらかな感じがよくわかる象徴的なもの、の話だ。

先述したとおり、タンザニアは農業や漁業などの第一次産業を制度的にも文化的にも恐らくかなり大事にしていて、巷の先進国と同じレールをたどって「成長」することを必ずしも是としていないように見える。

それがすごくわかりやすく表出しているのが、タンザニア・シリング紙幣だ。

タンザニアに入国して現地の法定通貨であるタンザニア・シリングの紙幣を入手する。最近ではキャッシュレスな国も多いが、訪れたことのない国を訪れて、その国のお金を手に入れると、ああ、知らない国に来たんだなあと思うものだ。

ユーロが普及する前のヨーロッパを旅したことがあるが、当時はフランスもドイツもイタリアも違うお金で、不便ではあるけど風情があって面白かった。

で、タンザニア・シリングだ。まず、一番大きいお金。日本でいう一万円札に相当する10,000シリング紙幣だ(価値は全然違って、たぶん10,000シリングで600円くらい)。

象さんだ。お札というのは、だいたいどこの国でもその国の偉い人の肖像なんかが描かれているもので、タンザニアはどうなのかなと思ったら、偉い人とかではなくて、象さんだ。中国元紙幣はみんな毛沢東で、タイバーツ紙幣はみんな国王で、アメリカのドルはみんな大統領。いろんな国で使われているから特定の人物を描いたりしないユーロは人物とか入っていないのでそれはわかりつつも、タンザニアの一番高いお金に印刷されているのは象さんだ。

次は5,000シリング

サイだ。象さん→サイときた。サファリの国だから、自然の動物を大事にしているのはわかる。この国のお札はたぶんみんな動物なんだろう。

2,000シリング

ここでライオンだ。どうやらそういうことらしい。

1,000シリング

あれ・・・?


象さん→サイ→ライオン、ときて、ここで「人間」が登場する。動物動物動物ときて、当然次も動物かと思っていたらここでまさかの人間。この人間は、「ジュリウス・ニエレレ」さんという、タンザニア独立の父だ。
撮影し忘れてしまったが、この下に500シリングというのがあって、それには水牛が描かれている。つまり、タンザニア紙幣は、価値的には、

象さん>サイ>ライオン>独立の父>水牛

ということになっている。これをさらっとやってしまうのがなんかタンザニアっぽい。人間の小ささをわかっているというか、自然と共存することがデファクトな感じというか。

またそのうち書くが、タンザニアではこれ以外にも、やたらめったら「こんなところにも?」というところで野生動物のモチーフが重用される。タンザニアのちょっと他とは違うノリは、そこかしこに散りばめられている。

みんなにも読んでほしいですか?

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