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0803「クマゼミの秘密」

一応仕事の都合で昨日から伊豆に来ている。あらいいわねえと言われるかもしれないが、なかなかハードな目的で来ているので、そこまであらいいわねえということでもない。昨日1日を使って、わりと物事は前に進んだ気がする。

伊豆というところは、私の父の故郷なので、子供の頃から馴染みの深い土地だが、伊豆の夏を思い出させるものといえば、私にとってはクマゼミの鳴き声だ。クマゼミって、少しだけ暑いところに生息するらしいので、昔は東京にはいなくて、伊豆に行くと、しゃあしゃあとクマゼミ感が増し、逆にミンミンゼミの声が減る、というのが自分の理解だったが、最近は東京にもたまにクマゼミがいるので、ああこれは地球温暖化というやつなのか、と思ったりもする。

しかしそこはさすが伊豆というべきか、今私がこれを書いている場所は超クマゼミゾーンだ。しゃあしゃあしゃあしゃあ言っている。

そういう育ちなので、クマゼミというのは、自分にとって夏休みに出かけたときの音で、すごいシズル感のある小道具だ。

しかし、先日Wikipediaでクマゼミについて調べていたら、驚愕の事実を知った。なぜ、Wikipediaでクマゼミについて調べたのかと言われたら、それはもう、私は概ね時間があればWikipediaをむさぼり読んでいるからで、その日はいろんなセミについて調べていたのだ。

ミンミンゼミとクマゼミの鳴き声は、実際に人間の耳で聞く限りは全く違って聞こえる。しかし、この2種のセミの鳴き声のベースとなる音はほぼ同じであり、その音をゆっくりと再生すればミンミンゼミの鳴き声に、早く再生すればクマゼミの鳴き声となる。このように両種のセミの鳴き声には共通点があるため、クマゼミとミンミンゼミは互いに棲み分けをしていると言われる。

これはとんでもないことだ。確かに、注意してよくよく聞くとクマゼミはしゃあしゃあ言っているようで、ミンミンゼミのミーンミーンをミンミンミンミンミンミンミンミンと超高速再生しているのはわからないでもない。そして、そういう都合だから、クマゼミがいるところにはミンミンゼミがおらず、クマゼミの世界である伊豆からミンミンゼミが排除されることで、夏の父の実家の思い出のBGMがつくられていたのだ。

今週は後半から少しお休みを頂くので、それまでは真面目に物事を進めて、なるべく平穏な、残尿感のない気分でお休みに入りたいと思う。放っておくと、いつのまにかツクツクボウシの時代がやって来てしまう。Wikipediaによると、八丈島にはツクツクボウシしかいないらしい。どんどん、脳の記憶領域がどうでもいい情報で満たされていく。

わざわざ伊豆まで来てこんな日記に時間をとるのも不本意であるし、今日はクマゼミ耳より情報でお茶を濁すことにする。こういう、「アシタノワダイ」的なスタイルも楽で良いのかもしれない。



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