見出し画像

0906「ヴェルヴェットの奇跡」

毎日トレーニングジムに行って、嫌々ながら15分の筋トレと30-90分の有酸素運動をやる。また別途書こうかなと思うが、私がどうにも運動全般が忌むべきもの、楽しむべきではないものと捉えてしまうのは、日本の体育教育の悪影響で、私は体育の授業というのは、多面的に見て無意味で悪影響が大きいもので、相対的に運動が苦手な子供の自己肯定感を奪って運動が得意な子供を勘違いさせるシステムだと思っているが、これはまあ、別に今書かなくっても良い。

何しろそういうのもあって、私はとにかく毎日嫌々運動している。運動なんて、何かやりながらじゃないとやってらんないので、特に有酸素運動なんかは、外を走ったりするのではなくって、屋内用のマシンで、カロリーの燃焼効率が良いと言われるクロストレーナーを上下に動かしながら、テレビであるとか配信であるとかの映像を観ている。

逆に、運動しているとき以外はそういう映像を観てはいけない、というルールにするのが良くて、ドラマなんかだと続きが観たくって、そのためにジムに行く、なんていうこともある。

トレーニングマシンで反復運動し、ダラダラと汗を流しながら、「豚バラ賛歌」を観たりしているにつけ、人間というのは、カロリーを摂取しては消費するだけの「袋」に過ぎないんだなと思ったりする。

で、最近運動しながら観ていて良かったのが、NHKオンデマンドだが、この「映像の世紀バタフライエフェクト 『ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー』」だ。

チェコスロバキアのビロード革命に、いかにヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽が影響を及ぼしたか、という話だが、何が良いって、「音楽の力」というのをこんなに強い形でプレゼンしてくる物語はなかなか無いなあというところだ。

「音楽の力」というのはよく使われる表現だが、よく使われすぎて、音楽に力があることなんていうのは特別なことではないように捉えられがちな気もするし、「音楽の力」なんていうのものはキャッチフレーズ以上のものではないように思えてしまう。

抑圧的な社会の中で、わりとみんな音楽を通して正気を保って活動してきた感じ、その末に実現された世界にあまり類を見ない無血革命という話は、音楽に何度となく救われた音楽中毒者としては、共感の連続で、クロストレーナーを上下させて汗をダラダラ流しながら涙もダラダラ流して嗚咽する、という狂態を演じてしまったほどだ。音楽のプレゼンテーションというのはこうでなくてはいけない。音楽が本気出すってこういうことなのだ。

「whiplash(邦題は確か『セッション』)」という、ジャズのドラマーを描いた胸糞悪い映画があって、今まで観た映画の中で最も嫌いと言っても過言ではないのだけど、あれは逆に音楽の素晴らしさを知らない人(あるいはルサンチマンを持っている人)が音楽の力を冒涜して貶めていて、「音楽のネガティブキャンペーン」になっているので大嫌いだ。対極的にあのひどい映画を思い出すほど、良い「音楽の力」に触れた気がした。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!