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0102「神様、もう少しだけ」

今日は仕事始めなので、お休み中に溜めていたいろいろをばーっと処理して、資料つくったりしつつ、年末から続いている某重大事件の落とし前をつけに行ったりした。某重大事件についてはまだ書けない。お蔭でまだ仮住まいだ。仮住まいながら昨夜から友人がNYに来ているので、今日からちょこちょこ案内する。

年末の日記で、若くしてハゲてしまった自分の処世術をいつか書くみたいなことを書いた。これについては長くなるので、まず私がハゲ始めた頃のことを書く。

私が薄毛の徴候を自覚したのは21歳だ。髪型をオールバック的な感じにしていたが、オールバックの向こう側に少し、肌色の何かが見えたような気がしたのだ。

思えば、それまで見て見ぬ振りをしてきて全く覚悟をしていなかった。いや、少なくともこんな早期にそれがやって来るとは思わなかった。何を見て見ぬ振りしていたのかというと、血統だ。

男の子は、母方のおじいちゃんによく似るという。私の母方のおじいちゃんは、思えば頭髪がゼロ本だった。競馬でいえば、オルフェーヴルは体格が、ゴールドシップは毛色とかが母方の祖父であるメジロマックイーンに似ていた。そのゼロ本おじいちゃんの娘の孫、ゼロ本の正統継承者、それが他ならぬ私である。

にしても21歳はひどすぎる。男子校出身の奥手な人間でもあるし、まだロクな青春を享受していない。ハゲはない。ハゲてしまったら青春は強制終了だ。sudo rm -rf / だ。

それでも22の後半くらいまでは、自分を騙し続けた。ちゃんと頭髪ケアすれば大丈夫だ。ハゲる人間なんて、みんなこんなものであるはずだ。まだ遅くない。みんなここから踏ん張るんだ。
当時、「神様、もう少しだけ」というドラマがあった。内容は全く覚えていないが、まさに私の心境は「神様、もう少しだけ」だった。

そんなある日、実家でテレビを見ていたら、頭の後ろから「シュッー」っと何か冷たいものを噴霧された。
「!」振り返ると母だった。「何すんだよ!」と聞いた。母は手に、育毛剤を持っていた。「あまりに不憫だと思って。。。」と母は言った。
ゼロ本血統を媒介してしまった母は、進行する息子の薄毛に罪悪感を感じてしまったのだろう。見るに見かねて、スプレーを手に取って運命に抗うことにしたのだろう。責めることはできない。

そんなわけで、そのあたり、23になる頃には、私はもはや確定的にハゲた。
青春は完全に終わった。この先にあるのは暗黒でしかない。短かった。

40とか50で、一通り青春を過ごした後にハゲるのとはわけが違う。「これから」というときに未来を断たれたと言っても過言ではない。その先の人生は実際、十字架を背負っているようなものだった。コンプレックスとかではなく、実際にハゲているのだ。

そこから数年、20代前半のハゲとしての人生を受け入れ、世の中と折り合いをつけていくまでに、いろいろなトライアンドエラーがあった。明日は、何も特別なことがなければそのあたりについて書いてみる。

明日改めて書くだろうが、なぜこれを今私がことさらここに書こうと思ったのかというと、私もいよいよ40代になって、周囲の同年代と上下世代の男性たちがちょこちょこ薄毛に悩み始めているからだ。しかし私に言わせれば40代まで持ったのだからちゃんちゃらおかしいとしか言いようがない。
こっちは20年選手だ。その道においてはプロだから、そこは私の島なのだ。

みんなにも読んでほしいですか?

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