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0519「メイソン近くの現場」

土曜日まで予定が埋まりまくっていて、昨日の日記までは数日前に乗った飛行機で書き溜めておいたやつだったので、日記を書くのは久しぶりだ。金曜日の早朝の便でロサンゼルスから帰ってきて、そのままBASSDRUMの総会にオンライン参加し、終わったらそのまま週明けにプレローンチ予定の美術館のサイネージの設営でチェルシーらへんに行く。現場はフリーメイソンニューヨーク本部(ロッジ)から徒歩1分くらいの場所だ。現場の設営側の遅れが結構あって、私がやっているデジタルパートの設営時間が結構絞られていて、かつ結構早い時間に現場を追い出されそうだったので、小回りのきく遠隔操作を仕込んで、自宅からだいたいの作業ができるように方針転換して、そのまま夜っぴて家からセットアップ作業。

土曜日は、朝から難しい判断が必要な現場に行って、流している映像がちゃんとしたフレームレートで動いているかとか、あと負荷テストなどいろいろやる。物理的に必要な作業を全部済ませようとして頑張っていたら、会場側からいきなり早い時間に追い出される。まあもういろいろアメリカだ。仕方がない。

なんでこの現場がフリーメイソンの近くであることを知っているかというと、長男がフリーメイソンファンだからだ。うちは子供が夏休みに入るとわりと長めに東京に帰省することにしているが、長男は東京に帰ると基本的にずっと私の実家(祖父母がいるところ)に引きこもって、親のコントロールが及ばない場所で永遠にYouTubeを見ているらしい。私の両親に限らず、おじいさんおばあさんというものは孫に甘いもので、彼は私の実家に行くと好きなだけYouTubeを見て好きなだけジュースやお菓子を与えられ、好きなだけゴロゴロしている、らしい。結果的に夏休みが終わる頃にはパツパツに太って、で、ニューヨークで1年暮らして痩せて、また夏休みになると太る、というのを繰り返している。

その長男は、私の実家に行くと、何か知らないが教育に悪そうな都市伝説の映像みたいのをずっと見ているらしく、いつの頃からか彼の中でフリーメイソンとかイルミナティみたいな、秘密結社がやばい、ということで、彼はもうずっと年がら年中フリーメイソンの話をするようになった。家のそこかしこにフリーメイソンの紋章の落書きが貼られた。恐らくYouTubeがソースなのだと思うが、ずっと世の中のこういう事件や事象は実はフリーメイソンのしわざで・・・、みたいなことを語り続ける。

で、ニューヨークには実際ちょこちょこフリーメイソンの痕跡みたいなものがあって(ちょっと古い記念碑にメイソンマークが入ってたりとか)、そういうのを目にするにつけ、盛り上がる、みたいなことを繰り返していた。もうそれが数年前だ。3年ちょいくらい前かもしれない。

そしてあまりに彼のフリーメイソンへのあこがれが強かったので、親としてはちゃんと本物のフリーメイソンを見せてやりたいと思って、ニューヨークのメイソンロッジ(本部・儀式とかをやるところ)に連れて行ってみることにした。Google Mapsで検索したら出てきたのだ。私のお気に入りのバーベキュー屋の近くだったので、見つからなかったら帰りに寄ろうかな、などと思って本部のある場所に行ってみた。実際そこには思いっきりフリーメイソンマークの旗が翻っていた。

恐る恐る、長男と、ベビーカーの次男と3人で建物に入ってみる。受付のおじさんみたいのがいたので聞いてみる。

「ここはたぶん秘密の場所なんだろうと思うのだけど、息子があなたたちの大ファンなので中を見学させてもらえないだろうか」

するとあろうことか、

「OK。ちょっと待っててな」

と言われたのだ。後から調べたら、秘密結社のくせに、一応施設の見学はできるようになっていたらしいのだ。というかウェブサイトが存在していて、「見学」コーナーみたいのすらある。

実際、我々が行った際にも他の人が見学に来ていた。しかしその人たち(お兄さん)に話しかけると、「君はどこの支部のメイソン?」と聞かれた。つまり、基本的にこういうところはフリーメイソンに属している人しか見学に来ないのかもしれない。そしてつまりそれは、そのお兄さんたちは、秘密結社であるところのフリーメイソンに所属している人たちだったのだ。受付の人なんかもそうだったのかもしれないが、初めてガチのフリーメイソンの人と話したような気がする。

入会の儀式をやるところや会議場、いろんなところを案内してもらう。古い建物で、随所にガチのメイソン的な意匠が飾ってある。とてもかっこいい。長男も神妙な顔をして見ている。後で聞いたらめっちゃ感動していたそうだ。

なんだ、フリーメイソンといっても結構オープンな組織なのではないかと思ったのだが、最後に、結構フリーメイソンっぽい出来事があった。受付で配っているっぽかったメイソンの紋章のバッジを見た長男が、「これ欲しい!」と言うので、「これはいくらで買えるのか?」と聞いたら、結構わりと強い形相で強い口調で「絶対ダメ。このバッジはメイソン以外には絶対に渡せない。絶対に!」みたいなことを言われた。あ、やっぱりこれはそれなりにそういう組織なのだな、と思った。

この出来事はちょっと前の話だが、明日も明後日もこのフリーメイソンからちょっと離れたところにある現場で働くことになる。さらに近所にはニューヨークで唯一、黒佐藤(芋焼酎)が売っている酒屋がある。プロジェクトが完了したらごほうびに買うのかもしれない。

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