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[どこかへ振り切っていった映画]哀愁しんでれら

「本当は怖いグリム童謡」という本が一時期流行ったと思うのですが、それの日本映画版という感じの映画でした。冒頭12分で怒涛のように巻き起こる不幸。そこからの嘘みたいなシンデレラストーリー。12時を過ぎた後の地獄。今年観た中で一番怖かったです・・・ひぃ

悪魔どもの爆誕

ドラマ映画だからこそ成立する展開。なんかこう、普通そういう展開になったら軌道修正していくよね?というところで戻らない。どんどん悪い方向へ加速していく主人公小春(土屋太鳳)。途中で真っ当な道に戻れそうなイベントが起きるのに戻らない戻れない。悪魔の親子に心身共に蝕まれ、小春という名の最恐悪魔の爆誕を目の当たりにしました。ひぃ

子供役(ヒカリ)のCOCOさんの演技力がとにかく素晴らしくて驚きました。この笑顔の裏には何かがあると思わされる表情はあんなに愛くるしいのに序盤から不穏な空気を漂わせていました。COCOさんは子供の笑顔の裏に何かがあることを理解した上で演じていたのでしょうか。私が本作の中で結局最後まで分からなかったのがヒカリの存在。彼女の眼には一体何が映っていたのでしょうか。

そしてさらに驚きなのが、「哀愁しんでれら」がデビュー作という衝撃・・・・ひぃ

同一化という落とし穴

相手のあるがままを受け入れる事を「受容」とするなら、相手の気持ちに寄り添え理解・尊重する事を「共感」。相手の気持ち/考え方と同じになるのが「同一化」。この映画は小春が「受容」「共感」しようと努力した結果、悪魔親子の闇に乗り込まれ「同一化」してしまった悲劇なのだと思いました。大悟とヒカリの人生に途中参加した小春であったからこそ、急激に飲み込まれていってしまったのでしょうか。ある事件がとどめとなり、完全に正常な判断能力を失ってしまった大悟と小春。自分達にできる事は何か?それで導き出された最悪な答えは映画館で是非ご覧になってください。

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