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「天吾」の日 8月-Vol.1

3回目の1Q84フォトトリップは、「天吾の日」として、「1Q84なる世界」における天吾のスタート地点を探す。


これがけっこう難しい。

天吾はこの世界の創造主であり、小説のなかでは、この神が降り立った場所は明確には示されていない。


前回の創造主自身の運命の人、青豆を召喚した「首都高三号線の非常階段」のようには簡単にはいかないのだ。

たぶん、天吾の正しいスタート地点としては、天吾が小説の中で「空気さなぎ」に触発されて、自分の物語として「二つの月がある世界」を書き始めた場所なのだと思う。


今朝の気分は、そこを探すつもりで、家を出る。

まずは一般人としての天吾の日常から観察することにして、代々木に向かう。

 
天吾の勤務先の代々木の予備校を探す。 昨今は少子化のせいか予備校は極端に減っているようだ。代々木駅前にはいまや代々木ゼミナールしかないみたいにみえる。1980年当時は、大小の予備校がひしめき合っていて、受験生、浪人生が数多くいたのだが、時の淘汰のなかで代々木ゼミナールだけが勝ち残ったみたいだ。


けど、天吾の勤務先のイメージはこんな有名な予備校じゃない。
ふかえりが聴講していても気が付かないくらいだから、少なくない生徒を相手に講義する姿は思いつくけど、有名予備校で衛星中継しているようには思えない。

それは笑い話にすらならない。


純粋に数学が好きだった男が、教職ではなく予備校の講師を選ぶ。
目立つ訳でもなく、人気がなくて職を失う訳でもなく、平々凡々と働いている。


そんなやる気のあまりない講師を抱えていそうな中堅の予備校を捜したけど、うまくは見つからなかった。

とりあえず代ゼミをカメラで撮る。


 

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