日本語と英語と中国語

YouTubeといえば、私はもっぱら、いわゆる”ビジネス系”といわれるチャンネルばかり見ている。もちろん、メイク動画やゲーム実況などもみるが、”意識高い系”といわれるチャンネルばかり見てしまう。とある芸人ユーチューバーも、英語・中国語・韓国語を、この曜日はこの言語と決めて学んでいるという。漠然とした危機感だけを感じながら、なにも行動できずにいる。きょうは、なにか行動を起こすために、なにをすべきか漫然と考えてみた。

とある動画で、日本市場に参入しない外資系企業があるという旨の話を聞いた。日本人は日本語でしか情報収集をしないことが一般的だ。しかし、日本語は世界の中ではマイナー言語で、その話者は、英語や中国語、スペイン語に比べれば圧倒的に少ない(1.2億人の話者が多いかどうかの議論は避けたい)。事実、最先端の情報は英語で発信されているという。それは当然のことだろう。もっとも離されている言語は、間違いなく英語なのだから。

では、アジアのなかでいまいちばん離されているのは何か。中国語だろう。外資系企業が中国に参入しても、日本には参入しないということが増えている。英語から中国語や日本語へ変換し、マーケット展開に同じ労力をかけるなら、話者も多く、消費力も高い中国を選ぶ。

振り返ってみれば、日本に参入する外資系企業より、日本から撤退する外資系企業が目に付く。大学生の時分、わたしはイギリス贔屓で、ほんの少しだけ留学し、それ以外にも旅行に出向いた。とあるコスメブランドと、ふたつのアパレルブランドがとても気に入り、たくさん買い込んだ。どれも当時の日本には参入しておらず、入手困難だからだ。コスメブランドはかつては日本のデパートに並んでいたようだが、すでに撤退していたようだ。アパレルブランドは、参入する気配すらなかった。現にいまも、日本にショップ展開しておらず、日本語のオンラインショップもない。

イギリスのブランドに限って言えば、たとえば、トップショップ、バーバリーなども撤退してしまった。いつかバーバリーのコートを買おうと夢見ていた19歳のわたしは、ロンドンに行った際に、その旗艦店に出向いた。ふらりと迷い込んだ3階でちらりと見た服には、パッと計算できないほどの桁のポンドが書かれたタグがついていた。ソファに座りながら接客を受けているのは、中国語を話す外国人だった。同じロンドンのヴィヴィアン・ウエストウッドも、韓国語を話す人で溢れていた。日本人の客はわたしのほかにおらず、店員の中にひとりだけいた日本人が、日本語でわたしに話しかけてきた。

わたしはいま、ZARAが撤退されては困ると思っている。サイズ感も服ごとに違うし、オンラインショップで買うのはためらうものばかりだ。しかし、手持ちの服は圧倒的に多い。もし日本から撤退することになっても、日本に配送するだけはやめないでほしい。

家電や電子機器を見ても、日本製品の衰退を感じる。スマートフォンはかつては日本のメーカーのものを使っていたが、いまは韓国のメーカーのものを使っている。機種による違いや発売年月の違いもあるかもしれないが、圧倒的に使いやすい。先日冷蔵庫を購入した。誰もが名を知る日本のメーカーのものだが、よくよく見ればタイ製であった。日本人が信奉する”安心とアン円の日本製”は、もはやない気がする。

わたしがまだ小さいころ、ユニクロは日本製で溢れていた。当時買ったフリースのほうが好きだと、母は嘆いている。母はいまでも”あの頃のままの日本製”の信者だ。わたしが韓国メーカーのスマホを買うときは、猛反対した。

いま、日本語だけで生活していることに危機感を覚えている。中学校から英語を学び始め、得意教科のひとつだった。高校ではリーディングとリスニングを中心に学習し、試験を受ける。常に学年1位を目指した。しかし、大学生になって思い知る。相手の言っていることがどれだけ速いスピードであっても聞き取れても、文法がわかっても、話すことができなかった。躍起になって英会話に通ったり、荒治療でひとりでロンドンに滞在したりしたが、英語コンプは埋まらなかった。大学時代には、お遊び程度にフランス語、ドイツ語、ロシア語を勉強した。フランス語はフランス人の先生の授業を選択し、より実践的な方法で学んだ。実用フランス語検定準2級を取ったような、取るために勉強したような覚えがあるが、いまは全く話せない。

お遊びではだめだ、生き残るために、スキルとして日本語以外の言語が必要だと感じている。ハードの面で見れば、外資系企業が日本市場に参入してくれなくとも、外国語が使えて、日本に配送さえしてくれれば、欲しいものは買うことができる。ソフトの面で見れば、情報に国境は関係ない。言語さえ使えれば、どんな情報にもアクセスできる。

これからの時代を生き抜くすべを、自分はなに一つ持っていない。社会人をやっているが、アピールするようなスキルも、これと言ってない。自動翻訳が先に来るかもしれないが、言語を使いこなせて損はないはずだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?