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一目惚れしたなら一生好きでいてよ

元彼に恋人ができた

沢山のプレゼントや風船を飾り付けて
新恋人の誕生日を祝う様子を
インスタのストーリーに載せていた

彼女は正直、そんなに可愛くないように見えた

別れてから1年半、もう連絡は取っていないし
まったく、不思議なことではない


私が長い髪を初めて茶色に染めた大学1年の春、
彼は私に一目惚れをした
TwitterのDMでいきなり
「気になったから話してみたい」と、連絡がきた
誰か分からなかったから少し怖かった

大学のカフェで初めて言葉を交わした

その人のことを少しずつ認識し始めた
彼は学部内で唯一、パソコンで授業のメモを取っていて
いつも大きな缶のコーラを飲んでいて
薄いサングラスをかけていた

知れば知るほど、変わった人だった

正直、私がなぜ好意を持たれているのか
全くわからなかった

それでもあの頃の私は
他に好きな人がいたから
距離は一向に縮まらなかった

少しすると
連絡は途絶え、彼には彼女ができた
大きな花束をプレゼントしたストーリーを見ても
私は何も思わなかった

それから3年経ち、私は長い髪を黒く染め、
ゆるく巻くようになった

私たちは久しぶりに会話をした
共通の友人と何度か飲み会をした

「彼女とあまり上手くいってない」と
ラインが来た
こんなのを送ってくる奴は大抵大した男ではない

就活、卒論、そしてコロナ
2020年の夏、色んなものが私達を遠ざけた

結局彼とは3ヶ月程付き合い、
手も繋がないままあっという間に振られた

本当は振られる1ヶ月前の誕生日プレゼントで
彼の気持ちは見えていた

見えないふりをしていた
気づかないふりをしていた

あの日、私は本当は手を繋ぎたかった

だけど
勇気が出なくて言い出せなかった

別れの電話で、彼は私の名前を何度も呼び、
私のことをとても褒めた
「初めて会った時から可愛いと思っている」
「君は賢い」「優しいから」
「時間は有限だから君らしく過ごしてほしい」


貴方は、あのライン以外は、大した男だったと思う

就活も趣味も全部しっかり考えて道を決めて
私にないものを持ってて
尊敬していました

だから、好きだと言ってもらえて
本当はすごくすごく嬉しかったんだけどな

今になって、1年半経って、
貴方のことが蘇り
振られた時よりもなんだか考えてしまいます

幸せになってください

でも、たまに思い出してよ
可愛いくて、賢くて、優しい
ショートヘアが好きなはずの貴方が一目惚れした
最高の女のことを


私は神戸の夜景を見るたびに
きっと貴方のことを思い出してしまうけど