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【レビュー】このゲームが熱い!「世界史対戦2 帝王紀」

 11月下旬の1週間は、見事にこのゲームに奪われてしまいました。面白すぎて、ツイッターも株も興味を失うほど。平均1日3時間ぐらいはプレイしていたのではなかろうか。まさに時間泥棒という名がふさわしい。今回ドはまりしたそのゲームの名は「世界史対戦2」です。

 ちょうど本日、開発者のインタビューが記事になっていました。なんと、完全に個人製作で、ゲーム開発の経験もなかったそうです。歴史が好きなので歴史ゲームを探していたが、自分がやりたいゲームがなかったので、自分で作ることにしたとのこと。

 こちらは、開発者のブログ。最初のリリースから3年の月日が経っているそう。そうなのか…。現在はVer.3です。「日本史対戦」というゲームも鋭意製作中だそうです。

 それではここからはレビューです。まず、ゲームのジャンルは「ターン制戦略ゲーム」となります。信長の野望のシンプル版というと理解しやすいかもしれません。世界史上の一国を選び、領土を拡大して世界史制覇を目指します。信長の野望同様内政もあり、兵士を増やしたり、自国の領土を開発し資金を蓄える必要があります。信長の野望と違うのは、対外コマンドが戦闘のみで「外交」がないことですが、外交がないことが逆にゲームに面白さを与えているように思います。
 なぜ自分はこんなにもハマってしまったのだろうと考えると、その理由はシステムのシンプルさと、ゲームバランスの良さにあると言えそうです。易しすぎず、難しすぎない。適当にやっていると負けるし、限られた資源をどう配分するのか、どう領土を拡大していくのかなど、考えることも多い。攻める順番が重要で、オセロや囲碁のような陣取りゲームの要素もあります。特に終盤では、ちょっとしたミスで瞬く間に領土を失い、そこまでかけた2、3時間が水泡に帰すことも。なにくそ!と頭に血が上り、またニューゲームを始めてしまうわけです。
 選択できる国は古今東西145カ国もあり、名前も知らない国も多数。様々な歴史上の武将が登場し、歴史好きにはそれを「帝王紀」としてコレクションしていく楽しみもあります(図書館というシステムがありそこに武将のデータをコレクションしていくことができる)。開発者は世界史が好きなんだろうな、ということがとてもよく伝わってきます(図書館の記録を消すコマンドが「焚書」ですしw」。

 さて、ここからは画面を見ながらゲームの進め方を簡単に説明します(ややネタばれを含みます)。プレイガイドはネット上にあるので、先に紹介しておきます。パラメータの設定など細かいところも書かれています(ただ、現在とは画面が少々違うところもあります)。

 まず、プレイする国家の選択です。選択画面はこんな感じ。

 見ていただくとわかると思いますがこれ世界史の年表なんですね。縦軸が年代、横軸が地域。時空を超えて、世界史に登場した国々が世界史制覇を目指す。それがこの世界史対戦のコンセプトであり、まさにタイトルが世界「史」対戦である理由なんですね。世界制覇ではなく、世界史の制覇なのです。マップが年表形式でマス目状に配置されたことで、オセロにや囲碁通じる戦略が求められます。これについては後ほど書きます。

 プレイする国を選択すると、次に国家能力の設定を行います。

 これはスロット形式で、何度も挑戦できます。国家能力の設定はかなり重要で、勝負はすでにここで始まっています。能力は70~109の間で設定されますが、基本90以上、攻撃とスピードに至っては100以上ないとキツイです。開発は、ゲーム中で増やすことが容易なので少々低くても良いのですが、それでも70台では脚を引っ張る印象でした。

 国の強さは、次のような画面で表示されます。周囲の国と強さを比べながら、どの国を攻めていくかを考えます。

「歴史領域」というのが自国の領土の広さ。強さのパラメータだけでなく、広さも戦闘にを左右する。


 「歴史領域」というのが自国の領土の広さですね。プレイガイドにも記載がある通り、表には見えないパラメータもあります。

 次に、コマンドです。これらのコマンドを選択しながら、戦局を進めていきます。

 対外コマンドは「戦争」のみ。内政の基本は「探索」「経済開発」「文化振興」「徴兵」の4つ。「探索」は自国の領土内を探索し、資金や王(武将)を見つけます。「経済開発」は国土の開発により収入を増やす。「文化振興」で文化レベルが上がると、1ターンに実行できるコマンド数が増える(最初は1、最大で9)。「徴兵」は兵力を増強します。探索以外のコマンドはすべて金50を使用します。最初に与えられる金は200少々で、1ターンの収入も10前後なので、どれを優先的に強化するかを考えなければいけません。特に戦争は兵士数と同数の金を消費しますので、自国を守るために兵力を増強しすぎると、戦争を仕掛けられなくなります。また、兵士を養うにも金が必要なため、兵士が多いと収入も減ってしまいます。兵士が過剰だと、収入が赤字になることもあります。こういったパラメータ間のトレードオフがあることで、状況に応じてバランスよく資源を配分しながら自国を強化する必要があります。これがこのゲームの面白さの一つでしょう(尚、探索だけは金が不要です。お金がないときはひたすら探索をすることに)。
 ほかにも「国家能力強化」「即位」「入植」というコマンドがあります。「国家能力強化」は、文字通り金を使って国家能力のステータスを増強するコマンド。「即位」は、王に「中華皇帝」「スルタン」などの称号を与えることで、王をパワーアップさせることができ、戦闘を有利に進めることができます。王といっても自国にたくさんの王を抱えることができ、信長の野望に例えるなら「武将」の位置づけです。王は戦闘以外にも重要で、コマンド実行の際に王を割り当てることで、コマンドのリターンを強化できます。例えば、通常なら経済開発コマンド1回で経済+20のところを、王を割り当てると、+30になったりします。王も強い弱いがあります。強い王を見つけ出せるかが、ゲームの後半では重要になります。国家能力強化や即位には「レガリア」という宝石が必要で、これも探索で得る必要があります。探索はほかのコマンドとは異なり、100%確実に得られるわけではありません。空振りに終わることも多いです。「入植」は、空白の領域(歴史の空白)を占領して自国領土に組み込むことができます。周りが強国だらけで戦争を仕掛けられないときなどは、この入植を使い領土を広げることができますが、コスパが悪いため、硬直した状況の突破口を見出すためなど限定的に使う必要があります。

 次に、戦争です。戦争は、自国と隣接している国に対してしか仕掛けられません。また攻め込む範囲を自分で設定することもできません(このためどういう順序で領土を奪っていくか、という順序が重要になります)。戦争の仕掛け方は「年代戦争」「領土戦争」の2種類があり、前者は縦軸、つまり時間軸に沿って戦いを仕掛けます。領土戦争は、横軸、つまり地域軸にそって仕掛けます。例として次の写真を見てください。真ん中のオレンジの国(唐)は、水色の朝鮮半島にある国(新羅)と赤線と青線を引いた国境で隣接しています。

 次の画像は戦争コマンドの設定です。オレンジの唐が水色の新羅に戦争を仕掛けようとしていますが、縦軸方向で仕掛けるほうが戦闘範囲(青枠)が大きくなります。つまり、より多くの兵士と資金が必要ということです。

年代戦争の例。水平の国境を上下に位置する領土が攻め込む対象となる。攻め込む面積が大きいほど相手の守備兵も多くなるため、こちらも兵士を増やして臨む必要がある。

 戦闘は選択された範囲をすべて奪うか、自国の兵士をすべて消耗するまで続きます(オート戦闘の場合)。なので、仕掛ける相手の領土が大きければ多いほど資金と兵士を消耗する総力戦となります。手動戦闘の場合は、途中で撤退することもできますが、撤退を繰り返すと、戦争のコスパが悪くなります。例えば100の兵力で攻め込んで、兵士が30にまで減ったので撤退したとします。兵士を温存することはできますが、お金は返ってきません。100の兵力で戦争を仕掛けた時点で、100のお金を消費してしまうのです。なので、あまり撤退前提での戦争を繰り返すと資金がショートしてしまいます。逆に、自国の兵力が0になると、戦争の最初のターン(戦争自身もターン制のバトルです)で自軍が混乱し、動けなくなってしまいます。兵士が0になると、とたんに周辺国がハイエナの如く攻め込んできます(笑)。周囲を複数の国に囲まれていると、次々に攻め込まれ、あっという間に領土を失ってしまいます。成すすべもないまま領土を奪われていくので、本当に恐ろしいというか、鬼畜です(ノД`)・゜・。

 また、これが非常に重要なのですが、相手の領土を全て奪うと、滅亡した相手国の所有する資産の一部を得ることができます。重要なことは、いくら自分が頑張って相手の領土を削っても、最後に滅亡させた人が資産をもらっていくんですね。ここで重要になるのがスピードで、自分が先に他国に戦争を仕掛けられるかは、スピードの値によって順番が決まるようです。自国のスピードパラメータが低いと、せっかく苦労して弱らせたのに、一番おいしいところを最後に持っていかれてしまうことも多々。ここは囲碁のような戦術が必要です。例えば相手の領土を囲い込むように侵攻し、相手が自国以外と隣接しないようにすれば、誰にも邪魔されることなく最後に料理することができます。みながまだ弱小で群雄割拠している序盤は、こうした戦略を考えるのが一つの醍醐味ですね。相手の資産を奪えるかどうかは、序盤の進展で非常に重要になります。資産を奪えないと開発に時間がかかり、周辺国も強大になってしまうからです。

 以上が、本ゲームの概略になります。戦争(戦闘)においても、様々なコマンドや、王に付与されたパラメータによって駆け引きがあるのですが、これを書くと今日が終わってしまうので、今回はこの辺りで終わりにしたいと思います。

王には強さがあり、戦闘で使用できる特殊能力もある。王の能力はレガリアを使って強化できる。
戦闘は、攻撃、占領、停戦の3つのコマンドの駆け引き。王を投入すれば戦闘を有利に進められます!

 やりこんだというほどではないですが、それでも20時間以上はプレイしたのかな。本当に時間泥棒であっという間に時間を奪われてきますが、良作だと思います。メインストーリーを進めていく上ではほぼ課金はありません(時短のために450円の拡張パックを購入できます。これはなくてもよいですが、全然払う価値はあります)。最近のスマホゲームがいかに課金させるかに心血を注いでいるなかで、本作は基本的に課金要素がなく、本当に良心的。お金儲けでははなく、本当に歴史が好きでこのゲームを作ったんだなということが伝わってきて、本当に良いゲームに出会えたなと思っています。ぜひやってみてくださいね!

P.S. 世界史対戦1のほうはYoutubeでプレイ動画がありました。基本コンセプトは同じですが、絵のテイストなど、だいぶ変わっています。2になって各段にビジュアルデザインが良くなっていますね(1は手作り感が強いですね)。







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