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北アルプス国際芸術祭に行った話 🏔🏔

2021年10月2日(土)〜11月21日(日)まで開催されている「北アルプス国際芸術祭」に行ってきました。また誰に頼まれたでもないですが、作品を振り返っていこうと思います。

北アルプス国際芸術祭とはなんぞや

「北アルプス国際芸術祭」は、長野県大町市を中心に開催される芸術祭です。こちらも3年に1回のトリエンナーレ形式で、2017年に第1回目が開催され、今年が2回目となります。本来であれば昨年2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で1年延期に。今年開催できて本当に良かったと思います。ここから続いていけるかの分かれ道だから、2回目ってすごく大事ですもんね。

アートディレクターは「大地の芸術祭」「瀬戸内国際芸術祭」なども手がけている北川フラムさん、ビジュアルディレクターはミナペルホネンを設立したデザイナー・皆川明さんが務めていらっしゃいます。

2019年の瀬戸内国際芸術祭で、北川フラムさんと皆川明さんの対談に立ち会う機会がありまして(話すと長いのでいつか瀬戸芸の話も書きたいな)、「来年長野で北アルプス国際芸術祭をやるので来てくださいね」みたいなお話をされていたので、これは行かなければと思っていました。

前置きが長くなりましたが、そんなこんなで今回は2日かけて、かなり多くの作品数を回ることができました。全部は書けないので、特に心に残った作品を5つ思い返していきます。

1.水を遊ぶ「光の劇場」/木村崇人(日本)

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外観は普通の古民家なのですが、2階に上がるとなんと、湖に面した壁がぶち抜かれているのです。写真の手前側半分は、こんなかんじ↓になっています。

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流木のベンチに腰掛けて、湖をぼーっと眺められる作品。この湖は「木崎湖」といって、昔は観光地として賑わっていたようです。今もスワンボートとか手漕ぎボート?とかを楽しんでいる人が結構いました。湖も山も本当に綺麗だし、心地いい風が吹いたり外のちゃぷちゃぷした音が聞こえたりもして、五感でスーパー癒されます。まさに人間は自然に内包される。

“その場所にあることによって、初めて意味をなす”作品がたくさんあるのが芸術祭の醍醐味だと思っていますが、これもそのひとつ。この湖があって、古民家があって、鑑賞者がいて初めて作品が完成するんですよね。そういう作品に出会うたびに、芸術祭の開催においてとても意義のあることだなと感じます。

2.衝突(あるいは裂け目)/持田敦子(日本)

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何がなんだかよくわからないのですが、家①から切り取られた一部が家②にぶっ刺さっているという、ペンパイナッポーアッポーペン的な状況です。

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こちらが切り取られた家①。向こう側に見えるのが、先程の写真の家②です。まるでホールケーキを切り分けるみたいに、綺麗にカットされています。

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衝突されている家②の中には入ることができます。ありえない光景に思わず笑ってしまいましたが、家が家に体当たりしてるみたいに見えてきてなんだかかわいいです。

公式のキャプションによると「隣り合う2軒の家というごく当たり前な関係性が崩壊し、鑑賞者それぞれによって再構築される」ということらしいです。なにそれおもろ〜〜!!!それぞれの脳内でぜひ再構築しましょう。

3.信濃大町実景舎/目(日本)

日本の現代アートチーム「目/[mé]」。彼らの作品には新潟や瀬戸内でたびたび観てきて、千葉で開かれた個展にも足を運んだくらい好きです。

そんな目/[mé]の作品が今回もあるということで、意気揚々と向かった私の目の前に突如現れた光景がこちら。

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もはや終わりがわかりません(実際写真で見えてる部分の倍くらい階段登った気がする)。ゼェゼェ息切れしながら、「ハウルの動く城」に登場する荒地の魔女のように階段を登りました。

でも、作品のために身体的な苦労をするって、なんだかとても楽しいしうれしい。歩き疲れて「まだ着かないの?!」とブツブツ文句を行った分だけ、作品が目の前に現れた時の喜びが大きいことは、「大地の芸術祭」のおかげでよく知っています(山道を死ぬほど歩かされた記憶があります)。そんな簡単に作品に辿り着いてはいけないって、フラムさんもなんかの本で書いてたし。完全に手中にハマっています。

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彼らの世界にいつの間にかズブズブに巻き込まれていくような不思議な感覚は、ぜひ体感してみてほしいところ。

目/[mé]の作品は、たぶん何も知らないまっさらな状態で出会うのが一番楽しいので、作品を観るたびに記憶をリセットして目/[mé]を知らない自分に戻れればいいのにな……と思っています。気になった人も、調べない方がいいです。

4.今日までの大町の話/渡辺のり子(日本)

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5cm四方の箱の中に小さな世界を作る、渡辺のり子さん。写真だと実物よりも大きく見えますが、本当に手のひらサイズの世界なんです。

今回「自分だけの大町の世界を作ろう!」ということで、鑑賞者も箱の中に小さな世界を作れるワークショップを開催していたので、参加してきました。※事前予約制

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自分が箱の中に入れたいもの(小さい人形でもガラクタでもなんでも良さそう)を持参して、もうあとは好きに作ります。私は10年くらい前に長野で買った野沢菜キューピーを持参。あとはビーズとかリボンとか色紙とかいろいろパーツが会場に揃っているので、選びながら作っていきました。うれしいことに作った作品は、会期終了まで展示してくれます。ワークショップはいくつになっても楽しいものですね。渡辺のり子さん、ありがとうございました!

5.クリスタル・ハウス/ニコラ・ダロ(フランス)

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フランスの作家ニコラ・ダロのサウンドインスタレーションです。蔵全体がサウンドボックスになっており、写真の4人組バンド(もちろんロボットです)と、機械仕掛けの楽器?のような装置が織りなす音を楽しめます。姿かたちは違うのですが、「大地の芸術祭」にある同作家の作品「上郷バンド」とちょっと似てる。ちなみにこちらが「上郷バンド」の皆さんです。

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かわいい。笑

今回の作品もそうなのですが、バンドの演奏する曲がどれもすごくいいんです。見た目はかわいさの中に薄気味悪さが混ざったような感じですが、優しい歌声と心地いい不思議なメロディーがやみつきになります。

そしてこの「クリスタル・ハウス」、蔵全体を使った作品なので、音楽はゆるいのにサウンドが壮大。目からも耳からも情報量が多くて、オーケストラを聴いてるみたいな気分になりました。オーケストラはさすがに言い過ぎかもしれないですが、結構盛り上がるので音に圧倒される感じがします。ぜひ行ってみてほしい。

というわけで

今回、全37作品のうち23作品を回ることができましたがそのうちの超厳選5作品をご紹介しました。「北アルプス国際芸術祭」は11月21日(日)まで開催中。作品数もそこまで多くなく、エリアもコンパクトなので回りやすいと思います。今回印象的だったのは、スタッフの皆さんがすごく嬉しそうにされていたこと。冒頭でも書きましたが、1年の延期を経て開催できて本当によかったし、初めて行った私も多くの人に足を運んでほしいなと思いました。北アルプスの美しい自然と、それを際立たせる作品の数々は、いろいろな地域の見方を楽しませてくれます。3年に一度の機会なので、ぜひ行ってみてくださいね!

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写ルンですで写した木崎湖畔。

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