【読書】ザ・ファシリテーター
法事の行きかえりの新幹線で読み返していたので、読書記録をば。
ファシリテーションの何たるかがストーリーで体感できる
一番最初の読後感はこれですね。ちなみに想定は日本の本にはちょっとめずらしいペーパーバック仕様なんですけど、なんというかそれがぴったり。
1のプロローグは、病院の会議から始まります。経営のために手術をもっとたくさんやれと言われているのに対して現場は「無理!」と言っているのを、コンサルタントの男性が問題をブレイクダウンしていく。
こんな「場を変える」のがファシリテーターの役割なのかしら。
そもそも、ファシリテーションとは
この本で初めて「ファシリテーション」というものを知りましたが、ファシリテーションのスキルは4つに分解されます。
いわゆる「荒れた場を集約する」とか「対立している人にこちらの方を向かせる」とか「問題を整理する」とか「意思決定に持ち込む」とか、そういったイメージ。
一つの企業の再生は読みごたえがあります
そして本題。現場はとある中小の化学メーカーですが、様々な問題を抱えているようです。
そんななか、マーケティング部門を変革した立役者の女性に、開発部門のリーディングが任されます。
たたき上げでもない、しかも若い女性のリーダーがいきなり放り込まれるにはなかなかにしんどいポジションでしょうね。
私自身が女性だからですかね。この主人公には、とても共感が持てます。
まずは「場のコントロール」からはじめよう
このストーリーにはいろいろな人が出てきます。
保守的な人、柔軟に物ごとを考えられるけれどちょっと短慮型の人、問題はわかっているけれど場の掌握ができていないリーダー・・・。
そんななかで主人公は、悩みながら、最初は自らファシリテーションのスキルを使ってチームリーダーたちの気持ちをつかみ、若いメンバーたち中心で改革案をまとめ上げていきます。
そこでは、ファシリテーションのスキルがふんだんに盛り込まれています。そして、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。
それがビジネスだし、人だからね。
大切なのは、メンバー一人一人が問題を正しく掌握し、正しい方向に物事を向かわせること
私がこの本を読んだのは、まだ30代のときでした。人生に右往左往していた時代です。
このストーリーを通じて自分が気づかされたのは「自分が動くより、人を動かすことの方が大切だし、成果も大きい」ということでした。
いろいろ失敗して攻撃されたりして、現場に絶望していたころもあるのですが、自分の改善ポイントはたくさんあるし、一人で全部やろうとしていたことが問題なのだと。
このストーリーでは、最初の「改革に道筋をつける」というところまでは主人公がやりますが、途中からは若手のチームに改革の主体は引き継がれ、彼らが議論し、悩みながら大胆な改革をまとめあげ、トップの合意を取り付けます。
これこそが、マネジメントなんですよね。
自分ですべてにコミットする必要はないのです。
本質的なことは、どこにも共通している
この本を読んでから、マネジメントや会議の本などを読むと、いろいろと共通していることがあるのに気づかされます。
問題をブレイクダウンするとき、私自身は「コントローラブルなもの」と「アンコントローラブルなもの」を分けるということをよくやりますが、それ自体は同じようなことが会議の進め方の本なんかを見るとよく書いてあるし、問題解決の手法などもそこら中にあります。
大切なことは、共通していて、
何が自分の業界や会社にフィットするのか、
何が自分にフィットするのか、それだけなんだろうなとも思いました。
主人公のあきらめない姿勢が、勇気をくれる
私がこの本を好きな理由の一つがここです。主人公に共感できて、あきらめない姿勢が勇気とパワーをくれるからです。
なので、時々読み返すようにしています。
こういった本に出会えるというのは、幸せなことだと思います。
ちなみに2もあるのですが、これはまた別途でご紹介させていただこうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?