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業務システムは、ルーティンを変えるのが苦手という話

とある賽の河原事件

 以前、とんでもなく仕事に難がある人がいました。

 その人がいろいろあって、本当にいろいろあって退職することになってですね。仕事の棚卸をやったのです。
 当時私は現場のリーダーになったばかり。彼の仕事の説明をいったん受けて今後の体制を考えるという立場でした。

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 で、その人の仕事の中に、毎週とある発送物の帳票を「ファイリングする」ということを仕事にしていたのです。

「これは何のためにしているのですか?」
「ファイリングするように言われているのでしています」
「ファイルがいっぱいになったらどうするのですか?」
「古いファイルを棚の上に積み上げて、スペースを作っています」
「棚の上もいっぱいになっているようですが。。。」
「順番に古いものを処分して、あいたファイルをそのまま使います。なかなか力仕事なんですよ」(ニコニコ)
「これは誰が見るのですか?」
「ここにあることは僕しか知らないので、誰も見に来ませんね」(ドヤア)
「?????」

なんだこりゃあ・・・・・・・・?

 こんなの付き合っていられないので、以前の上司に「こういう状況なんですけど」と聞きに行ったところ、下記のような状況でして。

・もともとは発送用に使うためのリスト類であった(しかし彼が担当になってから使っていない)
・問い合わせ対応にも想定していたが、使っていないようだ
・必要性を考えるように伝えたが、考えられずそのまま

 Oh,No…!こんなの引き継ぎたくありませんよシスター。というか誰だよこの状況放置したの。。。(以前の上司です)

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 結果として、最低限問い合わせ対応に必要な情報だけをデータで保管することにして、後の帳票は全部廃棄することにしました。

 彼と一緒におさらば。

人の異動や退職は、仕事を見直すチャンス

 これは極端な例ですが、あるとまあ便利なのですが、なくなってもまあ、意外に困らないといった仕事って結構あります。こういうのは人が動くタイミングで見直すのが吉です。

 というのは、業務システムって、ほっとくと運用増えるんですよ。じわじわじわじわ増えていくので、意識して減らさないとどんどん人が増えます。   

 でも、一度人についちゃった仕事をはがすのはそれなりに大変なのです。 結構計画的に減らさないと、文字通り仕事に埋もれる羽目になります。

変化をきらう業務システムの担当者たち

 結構新しいことを率先してやるタイプなんですけど、以前はそれで反発を受けたこともあります。これなんかその典型。

 業務システムって、システム自体が綿々と受け継がれていたりしますからね。なんというか伝統というか重みというかよくわからんしがらみというか、そういったものがたくさんあるわけです。それを変えるとわりと怒られます。

 以前、マスタ類登録の流れを一元化したことがありまして。今まで一部機能は「職人」的な人が目検でチェックして登録するとかやってたんですけど、サービスが複雑になってくるとマスタも増えるわけですよ。なので、アウトソーシング先の方と相談して、スプレッドシートで汎用的にチェックする仕組みを作ったのですが、そうしたらアウトソーシング先の社員の方が怒鳴り込んでこられました。

「今まで自分が見てチェックして最短の時間で処理でミスなく対応できていたのにどうして余計な手数を増やすんですか!」

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「ミスを減らすためです。先日、ミスがありましたよね?あれって、このチェックを通したら気づけたはずですよね?」

「あれは…あれは、提出した日、わたしが休んでいたんです。わたしが見ていたら、あんなことにはならなかった…!」

 こういうときには、あまり真っ向から相手しないことにしています。絶対に折り合わないですからね。話としてはひととおり全部聞きますが、そこでは否定も肯定もしないです。ひととおり聞いたうえで「わかりました。あとは管理者と相談しますね」とやります。

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 これはまだましなケースで、これに情シスの古参メンバーがからんできたりすることもあります。

「みんなやりづらくなったって言っている、どういうことだ!」

とか来るわけです。こういうときは、

「そうですか、この機能なら〇〇さんですかね?ご本人に話を聞けばよいですか?管理者の方には伝わっているのでしょうか。言ってあげた方がよいですかね。」

というとめちゃめちゃあわてだしたりします。
 多分「上司には言えないから何とか言ってくれ」とか仲の良い社員にやったんでしょう。もうバレバレ。。。

刷新には、運用保守の視点も大切

 上記の運用切り替えは、アウトソーシング先のリーダーの方も含めて説明会とかやってしっかりコミュニケーション取ってすりあわせてやったので、表立って文句を言ってきたのは1人だけでしたが、運用保守の視点を無視してやると、無理があるシステムになってしまったりすることもあります。

 そのあたりのことを書いたのがこの記事。

 業務が俗人化しやすいシステム運用。運用ルールの変更に1~2年かかることもざらです。というか、どうやって運用してるかって、見える化難しいんですよ。。基幹刷新などで運用でやっている要件を取り落とすこと、ざらですから!

 業務システムで変革を成し遂げていくためには、丁寧なコミュニケーションと強引さ、双方の視点が必要と感じています。




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