拒絶~「保つ」ための受容と拒絶~④

2.食べものを受け入れること
 食の拒絶について考える前に、現代社会における一般的な食の見解について考える。

これは、食の受容について述べることだと言い換えられる。

私たちは、毎日何かしらのものを食べて生活をしている。生きるために食べることが必要だということを、大人はもちろんのこと、ある程度の発達段階になった子どもも知っている。

現代で一般的に言われている食の果たす役割については、健康面、対人面、娯楽の面が大まかにあると考える。その3つについてここでは述べていく。


まずは、健康面である。

私たちは、食べることを通して必要な栄養素を取り込み、日々生活をしている。

不健康な食生活をしていると体調を崩すことや病気になることにつながる。

そのため、人々はバランスの良い食事、オーガニック、〇〇フリー、無添加など、健康に良いとされる食べ物を進んで選ぶ傾向にある。

一方で、ポテトチップス、カップラーメン、お菓子、お酒など、体に悪いとされている飲食物も人々には好まれている。

私たちは健康を気にしながら食事をする一方で、その時の気分に合わせて好きなものを食べたいと思い食べ物を選ぶ。

健康的な食生活をしていれば体調を崩すことはないとされつつも、それだけでは生活することができないのが私たちの食に関する特徴であるといえるだろう。
 また、食事はコミュニケーションの一環として捉えられているといえる。

私たちは家族や友人と家でご飯を食べる、外食をするといったことをしながら生活をしている。

一緒に食事をすることは仲を深めるために効果的であるとされており、一人で食べるよりも誰かと一緒に食事をした方が食べ物がおいしく感じられる、楽しい、というように捉えられている。

また、私たちは食べ物の好き嫌いやおすすめの飲食店の話など、食にまつわる話をして気持ちを共有することもある。

これは、食べるという行為が誰にとっても共通のものであり、人と共有できるものだと考えられているからではないだろうか。

 さらに、娯楽としても食はたびたび扱われる。テレビではグルメ番組、料理番組が一定の層に支持されており、料理をすることが趣味という人も多い。

ただ健康的なもの、好きなものを食べるというだけでなく、いかにおいしいものや食べたことのないものを食べるか、食材をどのように調理するかといったことを人々は考え思考錯誤する。

これは、食というものは身近なものである一方でわからないことが多く、いくら追求してもしきれないものがあるからではないかと考える。

 これらのことは、生きることに関わる、人と密接に関わっている、わからないことが多いという点で、死と結びつけて考えられるといえるのではないだろうか。

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