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トークライブ大盛況に終わりました。

 日朝関係の不幸の根本は何か。

「有名無名は問わない。あなたの知っている、あるいは会ったことのある韓国人を5人挙げよ。K-POPアイドルや芸能人、韓国人の留学生やソウルで出会った親切な人たち(ムカついた人でもOK)を挙げてみてほしい」

 毎年大学の授業でこんな質問を学生にする。そう難しいことではないようで、実際結構の数の人の名前が返ってくる。

 では北朝鮮においてはどうだろう。続けて学生に質問をする。金一族を除くという条件をつけると出てくるのは、李春姫(朝鮮中央テレビアナウンサー)が限界。これに鄭大世、安英学(Jリーガー、サッカー北朝鮮代表)を挙げられれば上出来だ。

 北の人たちも同様だ。現地で話しても日本人の名前なんて出て来ない。お互いに、隣国の人と実際に会ったことすらない。知らない。イメージもわかない。それが今の日朝関係の悲劇の根源だ。

 果たしてそんな相手と外交交渉をして、拉致被害者が返ってくるだろうか。そしてヘイトスピーチ。これはそもそも論外ではあるが「朝鮮人は帰れ」「朝鮮人を殺せ」と言われても、そもそも知り合いもいないから、言っても聞いても痛痒を感じない人が多くいるのではないかと思う。

 朝鮮人を殺せ。現地で知り合った人がいる私としてはたまらない。平壌のすご腕バーテンダーの彼女が殺されるなんてあり得ない。
 朝鮮人は帰れ。明日から行く焼肉の店といっしょに食べる友人が一気にいなくなる。

 日朝友好団体という存在がいる。彼らは北で会った人たちとの体験を語る。「優しく素朴な人たちだった」「子どもたちの瞳が輝いていた」などとその感想は押しなべて清潔でポジティブに満ちたものばかりである。実際には水道が漏れてたり、旅の思い出でおさまるほどの小さなトラブルもあるのだが決してそれは口にされることはない。

 なるほどそれも北朝鮮の一面だろう。しかしそれだけではない。北朝鮮でくすぶっているエリートの愚痴をぼくは聞いた。そしてしたたかに北朝鮮社会でのし上がっていく人たちがいる。子どもたちもなかなかやるものである。ぼくに「ハロー」と声をかけて来たので「おう!しっかり勉強しないとおじさんみたいになっちゃうぞ」と返したら大笑いしていた。

 このあたりの話を日朝友好団体の人たちは嫌う。厳密にいうとひかれる。あなたの話は軽すぎるし、そもそも北朝鮮を揶揄しているのではないかというのだ。清潔なだけが交流か。キレイで素晴らしいものだけしか話さないでいいのか。そして問うがそもそも10数回訪朝して「アンニョンハシムニカ」しか話せないわけは何なのだ?案内員の日本語の能力は高いが、好きになった、関心のある国のことばをなぜ学ぼうとしないのだろう。

 確かにあの文字は癖がある。理解しにくいという声はわかる。じゃあ英語はどうだ?ブロークンな英語なら話せるだろう?それでも話さないのはなぜだ?団の威厳に関わるのか?へたくそな英語で話すのは。

 ぼくはずっと話をしたかったのだ。日朝関係の情勢について危機感と共に話す硬い講演会が年始から2つ続いた。もちろん硬い話も出来るし大好きなのだが、ぼくの中にたまった北朝鮮の面白いエピソードたちが、そろそろ面白い話もしようぜ。そろそろ俺たちの話もしてよとぼくの耳元でずっと囁いていたのだ。

 拉致・核・ミサイル。あるいは美しいつかの間の交流譚。それだけしかない北朝鮮の話。そのどちらかでもない現地でのお笑いをエピソードを語ると「不謹慎」「軽い」「朝鮮の人をバカにしている」と弾が飛んでくる。在日コリアンの方は大笑いなのだが良識ある日本人から。日朝友好団体の人からこの弾は飛ぶ。

 賞賛など求めぬ。理解出来ぬならやむを得ぬ。しかし、後ろから弾を撃つな。

 だからトークライブをしてみることにした。熱量が爆発し熱暴走したけど、総じていい評価だったと思う。

 明日は金日成主席が亡くなり30年になる。ぼくの北上はそこから始まった。暗い青春だった。高校3年生の時、ぼくのクラスには男子8人と女子30人がいたが、ぼくはクラスメートの女子と1年間で話したのは1時間未満。男子も全員没交渉である。

 歌舞音曲の才能はなく、スポーツもダメ。小石の下の虫のように生きるしかないか?と思ったぼくが、中野でトークライブをやった。人生を取り返した気がした。それだけでもうれしくて、帰り道の西武線で、小さくぼくはガッツポーズをした。

 さて、第二回のお知らせをさっそく。次回トークライブは北の人たちとの丁々発止のやり取りを中心にお話しします。

「日・朝・韓で工作員と間違われた男が話す 北朝鮮を100倍楽しむ方法。そうだ 平壌、行こう。 北の国から第二回『浸透』」

8/17 19:00 バー「ぼうずママ」 中野区上高田2-54-8アイボリービル2F

【お申込み】090-6958-1045 

【入場料】 2000円。飲食代別

お申込お問い合わせは
nuhonuho@hotmail.com
 でも。


サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。