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【エルデンリング】狭間の地の武器ギャラリー34.~欠けた輪廻~

こちらは、エルデンリングに登場するさまざまな武器デザインを紹介する記事です。
今回は、「死」に関係する武器を紹介します。

ネタバレにはご注意ください




死に近づくは高揚である
それでこそ、懸命に生に縋り付き
後の死はより輝かしい

赤羽の七支刀





家族の首

赤銅製の首を鎖で繋いだ武器です。
賢者の洞窟に潜む、死術師ガレスの得物です。

頭部分は後で詳しく見るとして、まずは柄の部分にご注目。
なんだかかなり豪華なつくりですね。
金色で、真ん中には赤い輝石がはめ込まれています。魔力攻撃力の源はこれでしょうか。
獅子の彫刻なんかもされていて、かなり細かい仕事がされていますね。まるで祭具のようです。

頭部分はこんな感じです。3つもあって振り回すのが大変そうですが、必要技量は18とそれなり。
青く錆びてしまっていますが、人の顔であることがハッキリとわかります。
武器名「家族の首」のとおり、これらはガレスの二人の子に似せて作られているそうです。
おそらく向かって右が妻、左の2つが子供の顔でしょうか。
子供は双子ちゃんかな? そっくりですね。

それにしても……
家族の首だなんていうから生首でもぶら下げてるのかと思ったら、あくまでそれに似せて作ってあるだけなんですね。
ちょっと安心しました。

専用戦技「家族の怨霊」は赤銅の首をゆっくりと揺らしながら、追いすがる怨霊たちを呼ぶ技です。

……ん?
怨霊……?

ちょ、ちょっと待ってください。
怨霊っていうのはつまり、妻子の……?

妻子の苦悶が、祟り招くのだ

武器テキストより

やっぱりそうだ!!!
ってことは彼らはやっぱりもう死んでいるんですね。
しかも怨みを持っているとなると殺したのはおそらくガレス本人……?
霊魂を黄金律に縛ることなく怨霊としてその場に留まらせる、その実験体として彼らを使ったのではないか……と妄想してみました。

呼び出される怨霊は大きなものが1つ、小さなものが6つ。
大きなものが妻のもので、子供は1人につき小さなもの3つ、といった感じでしょうか。

魔術「怨霊呼び」

よく似た魔術「怨霊呼び」もガレスが蘇らせた死の呪術であるといいます。
こちらは武器と違って使用に信仰を14必要とします。
家族の怨霊が信仰を必要としないのは、呼び出す対象が家族という身近な存在であること、その首をかたどることで信仰心がなくともより容易に霊の存在を想起できるから……とかどうでしょう。


ロジェールの刺剣

繊細な装飾の施された上質の刺剣です。
魔術師ロジェールの得物です。

英訳からすると一応レイピアとしての扱いのようですが、わりに剣身は幅広です。モーションは刺突だけなんですが、ふつうに斬撃もできそうですね。長さもエストック並みです。
鍔や柄頭も透かし彫りのような意匠で、既存の剣とはちょっと違う独特なデザインです。
はめ込まれた赤い宝石も印象的ですね。魔術師の得物ですから魔力の輝石かな? とも思いましたが、変質強化無しだと物理属性しかないので単なる装飾かも。

鞘はワインレッドの革を基調として、要所を金色の金具で補強した高級感あるデザインです。
金具にはリングがついていますね。おそらくここに革ベルトを通して腰から提げるんだと思いますが、褪せ人にはあんまり関係なさそうです。

ロジェールはかつて死を狩る者と行動を共にしていたようですが、彼の目的は狩りではなく、他の方法で死に生きる者を救うことにあったようです。
結果、彼はフィアの英雄となり、ルートによっては主人公に討たれてしまうわけですが……
その先にたどり着く昏き者たちの時代、あれこそがロジェールの求めた答えだったのかもしれません。

ちなみに、強攻撃は固有のモーションで、素早い二連撃を繰り出します。
ロジェールが剣士として編み出した技、ということでしょうか。


グレート・エペ

細く鋭い刀身を持つ大型の刺剣です。
豪胆ライオネルの得物です。

エペ」とはフランス語でという意味ですが、今ではフェンシング用の刺突剣を指すことが多いようです。
由来としては15世紀フランスで生まれた「エペ・ラピエル」でしょう。そのまま「刺突剣」という意味です。
これはレイピアの語源にもなっています。

さて、そんなレイピアと源流を同じくするこの武器ですが、醸し出す雰囲気はまったくの別物です。
全長の大部分を占める長大な剣身。
さっき「細く鋭い」なんて書きましたが、これウソですね。正しくは「太く鋭い」でした。

単なる決闘用の「エペ」ではなく、「グレート・エペ」です。
このサイズにもなると実戦にも堪えるシロモノに化けるんですね。

剣にはどうやら刃もついているらしく、強攻撃では範囲に優れる横薙ぎを繰り出します。
こんな重刺剣のスタンダードみたいな見た目をしていますが、強攻撃での横薙ぎモーションはカテゴリ内ではこれだけだったりします。

半球状の鍔は「カップヒルト」と呼ばれるものです。
レイピアの「スウェプトヒルト」とは対照的な構造ですね。
相手の剣を絡めとるあちらと違い、これは受け流す能を主体とするものです。
より防御的というか、受動的な印象ですね。

使い手である豪胆ライオネルは二つ名のとおり恐れ知らずであり、死衾の乙女、フィアと出会った時に彼女の父たるを決めたそうです。
今では立派な彼女の英雄です。
ちなみに、英語版の名前は「Lionel the Lionhearted」。シャレが効いてますね。
「恐れ知らず」「ライオン」から察するに、『ドン・キホーテ』から着想を得たキャラクターのようです。

ちなみに、彼のマントには3本の交差したエペが描かれています。
どうやら『三銃士』も元ネタのひとつにあるようですね。


ヘルフェンの尖塔

ヘルフェンの黒い尖塔を模した大剣です。
巨人山嶺のティビアの呼び船を倒すと入手できます。

説明のとおり、尖塔のような見た目です。
過去作「ダークソウル3」にも尖塔を模したモーリオンブレードという剣がありましたが、それと結構そっくりです。
トゲトゲしていますが、出血効果などはないようですね。

先端あたりには赤い宝石がはめ込まれています。
この剣の魔力源でしょうか。
こうして見ると、「死」に関係する武器は赤い宝石がはめ込まれていることが多いですね。何かしらの親和性があるんでしょうか。

……っていうかヘルフェンって何……?
この武器を除いて、作中に同じ名詞が登場することはありません。
フレーバーテキストによれば……

霊界において死者の道標となる灯火の樹

とのことです。
ヘルフェンの尖塔っていうのは樹だったんですね。赤い宝石も灯火のイメージなんでしょうか。

現実でも献灯といって、死者の魂が迷わないよう灯明を奉納する風習があるようです。仏教のものが有名ですよね。
それは極楽浄土への道標だったり、お盆には先祖の霊を家に迎え、そして送るためのものだったりします。

専用戦技「滅びの霊炎」は剣を振り、その刀身に霊炎を纏わせる技です。

武器の強化、いわゆるエンチャントを主体とした戦技ですが、振り払われた剣にも攻撃判定が発生します。

ちなみにこのモーションは過去作「ダークソウル3」に登場したオーニクスブレードという剣の戦技「エルフリーデの黒炎」と同じものです。
オーニクスブレードや、先に挙がったモーリオンブレードは亡者の集う黒教会という組織に関連する武器でした。
ヘルフェンの尖塔はテーマも含めてこれらの武器のオマージュだったんですね。

纏った霊炎は青白いとも黒いともつかない不思議な色をしています。これが霊魂の色なんですね。
「炎」といっても属性は魔力。さらには冷気の状態異常を蓄積します。
たしかに人魂って触ると冷たいらしいですしね。

そういえば、入手先のティビアの呼び船
奴もまた死者の導き手のようですが、ティビアってのも大概謎の単語ですね。
英語版だと「Tibia」。調べてみたら、脛骨けいこつ、名前のとおりすねあたりの骨のことらしいです。
また、その脛骨を材料として作られた長笛もまたティビアと呼ばれているそうです。

笛を吹く骸骨の船頭。ティビアはそのダブルミーニングとなっていたわけですね。


生贄の斧

古い生贄の儀式で使われた手斧です。
啜り泣きの半島の死の鳥から入手できます。

なんとなく中央アメリカの古代アステカ文明を彷彿とさせるデザインです。
かつて生贄の儀式を行っていた文明ということでテイストを寄せているんでしょうか。
象られているのは大口を開けた鳥、死の鳥ですね。
おそらく、生贄は彼らに捧げられるのでしょう。

大きく内側に湾曲した刃は、斧というよりは鉈のようです。
この凹みが人体の丸みにぴったりフィットするんだ……と、過去作「ダークソウル3」で誰かが言ってました。
なんか今回は過去作ネタ多いですね。
ともかく、生贄を両断することに特化した形をしていることがわかります。

儀式の力は今でも残っているようで、敵を倒すとFPが回復する効果を持ちます。
かつての神官は集めた力を神(というか死の鳥)に捧げていたんでしょうが、褪せ人にはそんなの関係ありません。
すべて自分のものにしてしまいましょう。


死かき棒

死の鳥が持つ鉤棒です。
ケイリッドの死儀礼の鳥から入手できます。

有機的な質感がどことなく悍ましさを漂わせていますが、外見としは先端が鉤状に曲がった長い棒、それ以上のことはありません。

モチーフは明らかに「火かき棒」ですね。
暖炉や昔のストーブで活躍した道具で、燃えがらをかき出して掃除したり、燃料となる薪や炭をいい感じに均したりするためのものです。

黄金律がもたらされる以前、私たちと同じように、まだ死が人々の隣人であった頃。
死は霊炎に焼かれ、死の鳥たちはその火守りでした。
霊炎は火と違って冷たい魔力のようですが、かつての狭間には火葬によく似た文化があったんですね。

死の火守りが持つ火かき棒だから、かき棒。
かき出す燃えがらは遺体だったといいます。
その冷気は残っており、魔力攻撃力を持つと同時に冷気の状態異常を蓄積させることができます。

強攻撃は地面を削るほどの力で振りぬく斬り上げモーションです。
ミエロスの剣と同じ珍しいモーションですね。

専用戦技「霊炎発火」は突き出した鉤棒の先に、霊炎を生じる技です。
どこからともなく死の燃えがらをかき出しているのでしょうか。

複数のパターンに派生が分岐する珍しい戦技で、追加入力の有無やその種類によって以下の3つに分かれていきます。

追加入力なしでは生じた霊炎がその場に漂いますが、およそ3秒後に爆発します。
モーション中に回避などでキャンセルを行えば設置しながら移動ということもできます。

弱攻撃では霊炎を薙ぎ払って前方を焼き、炎の軌跡を生じさせます。
焼けた床に触れればもちろん魔力と冷気のダメージを受けます。

強攻撃では霊炎を叩きつけ、大きな爆発を生じます。
範囲も広く強力ですが……死者に鞭打つとはこのことですね。尊厳とかそういうことは考えないのか。
……いや、発火してる時点でもうないか。


死儀礼の槍

古代の祭司たちが抱く儀式の槍です。
巨人山嶺の死儀礼の鳥から入手できます。

儀礼用の槍らしく面白い形をしていますね。
持ち手なんかはウネウネしていてかなり握りづらそうです。見るからに実戦向きではありませんね。

全長の半分ほどもある穂先は枝分かれをしたような特徴的な形です。
これはほぼ確実に七支刀しちしとうがモチーフですね。

赤羽/青羽の七支刃

七支刀は奈良県の石上神宮いそのかみじんぐうに伝わる鉄剣です。かなり古いものらしくその由来は忘れ去られてしまいましたが、おそらくは3-5世紀ごろに現在の朝鮮半島西部に位置する国、百済から伝わったものではないか、ということです。
石上神宮でも祭具として用いられていたとか。

七支刀は剣身の左右、互い違いに3つずつ枝分かれした刃を持った構造をしています。
真ん中のものを含めて、つの(枝)を持つだから「七支刀」。
言うなれば死儀礼の槍は「九支槍」ですし、赤羽、青羽の七支刃は実は「八支刃」なんですね。

専用戦技は「槍呼びの儀」です。
祈りと共に槍を空に突き上げ……

降り注ぐ、無数の霊槍を呼びます。
呼び出された槍は幻影であり、魔力属性を持ちます。

ちなみに、この戦技や槍自体には魔力属性が宿ってはいるものの、死かき棒のように冷気属性は持っていません。
別に霊炎に触れるものではないので、冷たくならなかったんですね。

死儀礼の槍は、死の鳥の羽に列することを許された祭司が持つといいます。
「羽に列する」ってどういうことなんでしょうか。
なんか死の鳥の配下になるってことかな?

……ん?

羽に列する

あっ……これって文字通り……
「羽」に「列」してるんだ……。

死儀礼により、祭司たちは鳥の守護者となる

守護っていったってこんなに近くで守らなくても……。

ただ、これは遠い再誕の契約でもあるといいます。
黄金律なき時代、まだ死が身近にあった頃。
彼らにとって再誕とはそれほどまでに特別なものだったのかもしれませんね。


双鳥のカイトシールド

色鮮やかな双鳥が描かれた盾です。
王都外廓の死の鳥から入手できます。

カイトシールド族の中では魔力、炎カット率が高めであるものの雷、聖属性には弱く、ガード強度も低めです。
まあ赤と青でなんとなく炎と魔力に強そうですよね。

やや低めのガード性能と引き換えに、装備中はHPが20%以下の時に攻撃力と防御力が僅かずつ高まります。
タリスマンの赤羽・青羽の七支刃と類似した効果ですね。
描かれた双鳥は死の鳥たちの母だそうですが、タリスマンの赤羽、青羽は彼女のものなんでしょうか。

双鳥は外なる神の使いでもあるそうです。
「外なる神」の文言はこの盾のほかに腐敗、狂い火、モーグウィン王朝の関連で見られます。
これらはおそらく同一の存在というわけではなく、狭間の外から来た異なる律を持った存在を総じて呼んでいるんだと思います。
今回の場合であればそれは死に生きる律、死衾の乙女、フィアが後に宿し、やがて昏き者たちの時代をもたらす理と同じものでしょう。

ちなみに、「外なる神」というのは20世紀の作家、H. P. ラヴクラフトによって作られた世界観「クトゥルフ神話」から生まれた言葉です。
その存在は宇宙そのものに迫るほど強大で、人の身では理解はおろか知覚すらもほとんど不可能なものとして描かれるのですが、エルデンリングの神は褪せ人でもなんとかなりそうで良かったですね。


死王子の杖

汚れた琥珀が埋め込まれた杖です。
学院の認めない、異端の魔術杖のひとつです。

エルデンリングにおける魔術杖は魔力の発信源として輝石を持ちますが、この杖の輝石は琥珀こはくです。

琥珀とは、黄金樹の古い雫であり
最初のエルデの王、ゴッドフレイの時代に
特別な宝石として扱われた

緋琥珀のメダリオンなど

現実においても琥珀は樹液の化石として知られていますが、狭間の地の場合は樹が樹なのでかなり神聖なものとして扱われていたようです。

そして、この琥珀は死王子の一部だといいます。
黄金の貴公子として生まれ、しかし死のルーンに蝕まれ呪われた死王子となったゴッドウィン。
汚れた琥珀」というのが彼の生い立ちとその顛末をよく表していますよね。

琥珀にばっかり注目していましたが、柄の方もねじれたりゴツゴツしていたりしてなんだか禍々しい感じです。
これもしかして黄金樹の根だったりしませんか?

その適正はやはり死の魔術にあり、信仰によっても魔術の威力が上がるほか、単純に死の魔術の威力を上げる効果もあります。

上の画像は死の魔術の紋章ですが、これって……

完全に死の呪痕ですよね。
作中で入手できるのはラニのものでしたが、ゴッドウィンのものはフィアが死を狩る者、Dから奪っていました。

その形状から百足傷の欠環と呼ばれていますが、実際のところはなんでこんな形をしているんでしょうか。
円環が黄金律による輪廻転生を表していると仮定するのであれば、百足の肢のような無数の枝分かれがその輪廻から外れたもの、すなわち死に生きる者たちを表しているんじゃないか……と私は思いました。
完全にフィーリングですけど。

そして欠けた2つが合わさることによって死王子の修復ルーンが完成するわけです。
律を修復するためのものを修復するなんて骨の折れる仕事ですね。




今回は以上となります。黄金律から外れた「死」に関係する武器を紹介しました。

次回はモーグウィン王朝と、それに縁深い葦の地に関係する武器を紹介します。

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