さよなら最後の恋愛

2022/09/27

偶然すれ違った。

仕事帰りに習い事に向かって歩いている途中、いるはずもないその場所で。特徴のある歩き方と、他の人より頭2つぶんは高い身長。あなたは新しい恋人の手をしっかり握って歩いていた。どうしてそんなに険しい顔をしていたのか。

よりによって、昔あなたに別れを告げられた街、あなたが普段はいないであろう街。秋のはじまりの少し冷たくなってきた空気。夕方と夜の狭間の薄暮れで、空はほんのりオレンジが残った濃いブルー。

別れた後にもう一度好きと言ってくれたけれど、わたしはそれまでのことが不安で応えることができませんでした。その後わたしは別の人と結婚した。わたしにとってあなたが最後の恋愛でした。お付き合いした期間は短かったけれど、とても大好きで、自分の全てをかけて支えたいと思っていました。支えたいということがどれだけ自分勝手で傲慢なことか気づいてしまってもう元には戻れなかった。

わたしにはもう別の共に生きていきたいと思えるパートナーがいる。でもなぜ。こんなに切なくて心がぎゅっとするのはなぜなんだろう。なぜ、とは思うけれど、お互いのペースで前に進んでいるんだなあということを目の当たりにできた嬉しさもある。

大切な感情にたくさん気づかせてくれてありがとう。しあわせになろうね。


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