しわしわの手と記憶

2020/09/20

おばあちゃんと手を繋いで、身体を支えて歩いていたら、自分がちいさい頃の記憶が蘇ってきた。わたしがちいさい頃は、この手に引かれて歩いていたんだよなあ、と思った。

ふと思い出したのは、近所のスーパーの駐車場。夕焼けの時間。おばあちゃんにおんぶしてもらっていて、なにかの歌を口ずさんでいるおばあちゃんの背中は暖かくて、空は夕焼けのオレンジだった。

ママに怒られたとき、こっそりおばあちゃん家に逃げた。泣いて、慰めてもらった。もう怒られないようにしなよって言ってくれて、そしてまた結局ママに怒られて慰めてもらう。

就職を報告したときのとても嬉しそうな顔。働くことは楽しいよって言ってくれたその顔は、わたしの知っていたおばあちゃんよりも少し「社会と関わりのある女性」の顔だった。結婚しても、子どもを産んでも教師として働いていたおばあちゃんは、今でいうキャリアウーマンみたいなものだったのだろうか。

もう90歳過ぎ。まだまだ長生きしてね、元気でいてね、と思う。結婚したよって報告がしたいし、できるならばひ孫が見せられたらいいなあ、なんて思う。

大好きな人に喜んでもらえることはとても嬉しい。



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