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好きな言葉

突然だが、私の好きな言葉は「会者定離」という言葉である。これは会うものは必ず別れる(離れる)という意味の四字熟語でたまたま勉強していた時に見つけたものだ。これを見たとき私は「確かに」と思った一方なんだか寂しくなった。だって、出会ってしまったら最後。いつかはわからないけど、絶対に別れの時が来るんだもの。

また、「一期一会」という言葉もある。これは会える機会は一回しかないからその一回を大事にしようということである。「会者定離」と似ているところはあるが、これには「一期一会」と違って寂しさ、虚しさを感じる。そういうところが好きなところであるのかもしれない。

春、日本では人々はそれぞれ卒業・入学、入社等をし、「出会いと別れの季節」と呼ばれる。卒業をした者は、ばらばらの進路を進む。その一方で、入学・入社をした者、それを出迎える者と両者は新しい出会いをする。春とはそんなものだ。別れの虚しさを感じながら、新たな出会いに期待する。まさに春という季節を生きる人々の心にはこのような想いがつまっているだろう。そして、別れの虚しさそこが「会者定離」という言葉に感じる寂しさ・虚しさの本質であると思う。

しかし、別れとは本当に寂しい(虚しい)ものであろうか。別れてしまったことに対し、寂しさを感じ、それをしながら新しい出会いに期待を膨らませている。本当に寂しいのであれば別れに対しずっと落ち込みやしないだろうか。しかし、実際は新しい出会いをしてしまったら人間はそれに目が行く。ついこの間、別れたことに対して知らんぷりする。本当の寂しさではなかったのだろうか。それともその傷の癒しを新しい出会いに求めているのだろうか。それにしても、人間とは誠に限定合理的である。つまり自分にとってプラスのことここでは新しい出会いに夢中になって、一方でマイナスなことここでは別れたという事実に意図的に目を向けないということだ。そう考えたら少し面白いことではないか。私はそう思う。

そして、私は上記のことについてこう考える。別れとは新しい出会いに向かう原因なんだと。1回誰かと別れ、2度と会えなくなったとする。だが、それは新しい出会いに向かっているんだとそう考える。そうしたら「会者定離」の寂しさは急にポジティブになる。なんとも素晴らしい言葉であろう。以上の考察によりこの言葉をますます好きになった。
そして、一度の出会いを大切に、別れをポジティブに捉えよう。そう考えられるようになった。

今まで会ってきて会えなくなった人に未練を感じず、再会できたらいいなと思うくらいにしておきたい。


2020年7月20日13時48分最終加筆修正

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