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The Sound of Summer ~ シド・デイル

夏になるとシド・デイルの音楽が聴きたくなる。

シド・デイル(Syd Dale, 1924-1994)は、テレビ番組やラジオ番組のBGM(ライブラリー作品)を作ってきた英国の作編曲家で、どちらかというと裏方の職業音楽家。1960〜70年代に活躍したこの手の職業作曲家は他にもたくさん存在するのですが、シド・デイルの音楽の特徴はポップで高揚感・爽快感があるところ。この記事のタイトルにもあるように、夏に聴くのがピッタリな音楽『The Sound of Summer』なのです。僕は常々思っているのですが、彼の作った音楽にヴォーカルやコーラスを乗せると極上のソフトロックになるだろうと…

そんなわけで、ここではシド・デイルが主に1960年代後半から1970年代初期に手掛けた音楽を10曲ほどご紹介します。

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01. Syd Dale - Bird Watcher
僕がシド・デイルの音楽に注目するきっかけになったのがこの曲だった。冒頭から爽快感あふれるアップリフティングな演奏で、まさに「夏!」って感じです。1970年のアルバム『Birds』より。

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02. Syd Dale - Eliana
どこかボサノヴァとかブラジル音楽を感じさせるリズムのアップテンポのナンバー。曲が進むにつれて徐々に演奏に厚みが出てきてテンションが上がります。

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03. Syd Dale - Match Play
これは大好きな曲だな。シド・デイルは、緑色の背景に白抜きで「kpm」と書かれれたジャケットで知られるKPMというライブラリーのレーベルに多くの作品を残している。これは1970年の作品です。

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04. Syd Dale - Race To The Top
華やかなオーケストラル・ジャズワルツ。こういう豪華なオーケストラを使ったジャジーなサウンドは、ミシェル・ルグラン『ロシュフォールの恋人たち』にも通じるところがある気がする。

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05. Syd Dale - London Life
少しテンションを落としていきましょうか。抑制の効いたアンサンブルと流れるような美しいコード進行。華やかなスウィンギング・ロンドンの風景が脳裏に浮かびます。

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06. Syd Dale - Penthouse Suite
僕が初めて聴いたシド・デイルの曲。『The Sound Gallery』(1996年)というライブラリー物のコンピレーションに収められている。ただ当時はシド・デイルの音楽を深く掘り下げるまでは行かなかったな。

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07. Syd Dale - Miss World '66
僕が二曲目に聴いたシド・デイルの曲。コンピ『The Sound Gallery Vol.2』(1996年)に収められている。当時はライブラリー音源のことはよく分からなかったけど、いま聴くとこのコンピの革新性がよく分かる。

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08. Syd Dale - Take Two From Three
この曲では豪華なオーケストラは使っておらず、小編成のジャズコンボのアンサンブルに仕上がっています。ハモンドオルガンとハープシコードが弾けるジャズワルツです。1972年。

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09. Syd Dale Orchestra - The Winslow Boy
イントロはどこか「よくあることさ - It's Not Unusual」と思わせるとこともあって、イージーリスニング風味のソフトロックサウンドです。オリジナルはJean Monet Orchestraの1971年のアルバムに収められている。

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10. Syd Dale - Perfume from Panama
最後はこちらです。レス・バクスターが手掛けたエキゾチックサウンドのような魅惑のラテンサウンド。当時はこの曲がどんなテレビ番組で使われたのかを想像するのも楽しいです。

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以上、偉大なる作編曲家シド・デイルが手掛けた音楽をご紹介しました。今回は紹介しなかったけど、1970年代後半にはクラブDJが好みそうなファンキーでダンサブルな作品も残している。機会があればそちらも紹介してみようと思います。(2022年7月30日)

*** おまけの1曲 ***

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