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クワイエット・コーナー 2 ~ 日常に寄り添う音楽集

山本勇樹さん監修のディスクガイド本『クワイエット・コーナー 2 ~ 日常に寄り添う音楽集』が2021年8月26日に発売されました。2014年の書籍に続く7年ぶりの第二弾。心を深く静める、繊細で穏やかな音楽というコンセプトで、約400枚のアルバムが紹介されています。

素晴らしいレビュー執筆者やコラム執筆者が参加されている中で、ぼく(渡部)もレビュー執筆者として参加しています。ここでは、ぼくがレビューを担当したアルバムやその周辺から10曲ほどご紹介して、本書の雰囲気を味わっていただけたらと思います。

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01.Gustabo Tova / Despedida
アルゼンチンのギタリスト、グスターボ・トバのソロ演奏。鳥の鳴き声や風を切る音のような自然音とギターの爪弾きが一体化して、どこか懐かしく身体に染み入るような音楽です。

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02.Faye Webster / Room Temperature
カントリーミュージックやハワイアンの影響を感じさせるペダル・スティールギターの柔らな音色。フェイ・ウェブスターが21歳のときに発表した曲です。彼女は日本のmei eharaの大ファンらしくて、近作では共演も果たしている。

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03.Kina Grannis / You Are My Sunshine
日系アメリカ人のキナ・グラニスは、YouTubeでの発信を中心に活動している女性SSW。やはり彼女は弾き語りの動画がぐっと来ますので、ぜひ彼女のYouTubeチャンネルをチェックしてみてください。

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04.Emily King / Distance
米国出身の女性SSWエミリー・キングのこれまで発表した曲をアコースティックアレンジで再演したアルバムより。彼女のソウルフルでシルキーな歌声と叙情的なストリングスが印象的。ミニー・リパートン「Lovin’ You」を彷彿とさせる名曲です。

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05.Testbild! / En kartbild utan sand
スウェーデンのテストビルド!の音楽が大好きだ。彼らの音楽は、ビーチ・ボーイズとかの1960年代ポップスからの影響、あとハイ・ラマズやジョルジオ・トゥマにも通じるところがある。この曲は前半は箱庭ポップ的で、中盤で一気にテンポアップして気分が上がります。

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06.Cabane / Now, Winter Comes
ベルギーのキャバンのデビュー作。今回レビューを書くまで知らなかったアルバムですが、これは隠れた名盤ですね。アコースティックギターと弦楽四重奏がロマンチックに奏でるこの曲は、どこかコリン・ブランストーン『One Year』を思わせます。

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07.Konradsen / Television Land
北欧ノルウェーのコンラドセンという男女デュオの自宅(?)でのセッション映像です。リラックスした雰囲気で演奏が始まり、くぐもったピアノと親密なハーモニーで次第に一体感が出てくる。終盤の多幸感は素晴らしいです。

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08.The Langley Schools Music Project / Desperado
カナダの小学生たちの1970年代の合唱音源を、2000年代に入って発掘リリースしたもの。少女のソロ歌唱「Desperado」には心底感動したな。この曲を歌っている彼女は、いま何をしているのだろうか…

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09.Bruno Major / Places We Won't Walk
甘い歌声でロマンチックなメロディを歌う英国の男性SSW、ブルーノ・メジャー。フォーキーR&Bのようなビートが効いた曲も好きなのですが、ここではクラシカル&メロウなピアノ弾き語りの曲を。じわりと余韻が残ります。

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10.Brent Jensen / Wendy
最後の1曲はこちら。米国のブレント・ジェンセンは、ポール・デスモンド直系のジャズサックス奏者。彼のマウスピースから紡ぎ出されるサックスの音色はまるで熱量を感じさせない。火照った身体を静かにクールダウンさせてくれます。

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ここで挙げたような曲が好きだという方は、『クワイエット・コーナー』の世界観が気に入っていただけるはずです。本書では他にもたくさんの素敵な音楽が紹介されていますので、ぜひ書籍を手に取っていただけたら嬉しいです。(2021年8月26日)

本書と連動したコンピレーションCD『Quiet Corner - Ma Fleur』も発売されています。


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