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進化する自家電力確保の取り組み—東京メトロとJR西日本のバーチャルPPA事例


はじめに

再生可能エネルギーの導入が進む中、企業が自らのエネルギー供給を確保するための手法が多様化しています。今回、東京メトロとJR西日本が導入した太陽光発電以外の再生可能エネルギーを利用したバーチャルPPA(電力購入契約)は、その一例として注目されています。本記事では、これらの事例について詳しく解説し、再生可能エネルギー活用の新たな可能性を探ります。

バーチャルPPAとは?

バーチャルPPA(Power Purchase Agreement)とは、発電事業者と電力消費者(企業など)が長期的な電力購入契約を結ぶ仕組みです。この契約では、物理的な電力供給ではなく、発電に伴う環境価値、例えば非化石証書などを購入する形をとります。これにより、企業は実際に発電された電力を受け取るわけではないものの、再生可能エネルギーを利用したことと同等の環境メリットを得ることができます。

東京メトロと小水力発電のバーチャルPPA

契約の背景と内容

2024年7月1日付で、東京メトロは丸紅新電力と小水力発電を活用したバーチャルPPAを締結しました。これは国内で初めての試みであり、東京メトロが再生可能エネルギーの多様化を進める重要なステップとなります。

丸紅新電力は、この契約に基づき全国に複数の小水力発電所を新設し、合計出力約5MWを確保する予定です。これにより生み出される年間約3500万kWh分の非化石証書が東京メトロに提供され、同社は年間約1万3650トンのCO2削減を見込んでいます。

環境目標への貢献

東京メトロは、グループ全事業におけるCO2排出量を2030年度に2013年度比50%削減し、2050年度には実質ゼロを目指すという目標を掲げています。このバーチャルPPAは、同社の環境目標達成に向けた重要な手段となるでしょう。

JR西日本と風力発電のバーチャルPPA

風力発電の選択

同じく2024年8月7日、JR西日本はコスモエコパワーおよびコスモエネルギーホールディングスと風力発電を活用したバーチャルPPAの基本合意書を締結しました。これにより、JR西日本は鉄道事業における再生可能エネルギーの使用を拡大し、持続可能なエネルギーの確保を進めています。

コスモエコパワーの実績

コスモエコパワーは、1997年の創業以来、国内で41カ所220基の陸上風力発電施設を開発し、2024年6月末時点で18カ所130基の風力発電所を運営しています。この広範な実績に基づき、JR西日本はバーチャルPPAを活用して再生可能エネルギーの利用を強化し、2050年までに実質的なCO2排出ゼロを目指しています。

バーチャルPPAの意義と今後の展望

多様な再生可能エネルギーの利用促進

これまで、再生可能エネルギーの利用は主に太陽光発電に依存していました。しかし、今回の事例に見られるように、小水力発電や風力発電といった多様なエネルギー源を活用することで、企業はより柔軟かつ効果的にエネルギーを確保できるようになります。これにより、再生可能エネルギーの利用がさらに拡大し、供給の安定化と技術革新が進むことが期待されます。

環境貢献と企業の持続可能性

企業がバーチャルPPAを通じて再生可能エネルギーの使用を推進することは、自社の環境目標達成に寄与するだけでなく、広く社会全体の持続可能性を高めることにもつながります。再生可能エネルギーの需要が増えることで、新たな発電プロジェクトの立ち上げが促進され、技術の進化とコストの削減が進むでしょう。

まとめ

東京メトロとJR西日本が導入したバーチャルPPAは、再生可能エネルギーの利用が進化し、多様化していることを示す好例です。これらの事例は、企業が持続可能なエネルギー確保に向けた取り組みを一層強化し、社会全体のカーボンニュートラル実現に向けた大きな一歩となるでしょう。今後もこのような取り組みが広がることにより、持続可能な社会の実現が加速することが期待されます。

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太陽光以外のバーチャルPPA、鉄道大手が採用 https://project.nikkeibp.co.jp/ms/atcl/19/news/00001/04399/?ST=msb&n_cid=nbptec_tectw


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