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[読書録]田村 耕太郎 著『頭に来てもアホとは戦うな!』_0004

「あんなにムキになってしまってアホだった・・」
「無駄にエネルギーを消耗した・・」

と感じた経験は多くの人にあると思う。私なんてしょっちゅうだ。

エネルギーが有り余っている若い頃ならまだいい。
年齢を重ねて体力・気力・精神力に限界を感じる今では
「いかにエネルギーを節約して生きるか」が最重要テーマである。
そして最もエネルギーを無駄にするものは「不要で不毛な戦い」である。
生き方のヒントになればと思い手にした一冊。


1.アホとはなんだろう

元政治家であり現在は実業家である著者の田村さんは、自身の苦い経験も踏まえてこのように記している。
「本当に戦うべきはアホと戦い時間とエネルギーを無駄にする自分自身」
また、「人生の有限性と希少性を理解すること」を大事とし「時間」にとても重きをおいている方である。

「人生は長いが、時間の使い方を誤ればこれほど短いものはない」

という言葉がそのお考えを的確に現しているように思う。

それでは「アホ」とは一体どのような人物だろうか。私はこのように思う。

  • 自分のためだけに誰かの時間を奪おうとする人

  • 自分のためだけに理不尽な要求を突きつけてくる人

  • 自分のためだけに同調意識を強いてくる人

以前、「束縛と心配の違いは何か?」と聞かれてこのように答えた。

  • 「(私が傷つきたくないから)それそれは止めて欲しい」というのが束縛

  • 「(あなたに傷を負って欲しくないから)それそれは止めて欲しい」というのが心配

私が思うアホとは「自分の欲求を満たすために誰かの時間や労力さえも貪欲に欲する人」が該当する。
このように書くと偉そうであるが、当然、私自身もそのアホな一面を多分に持っている。

身近な使われ方で考えるのならば、「利害関係があってNOと言いにくい嫌なやつ」だろうか。例えば職場の上司や同僚、嫌いな取引先、苦手なご近所さんである。
そのような相手にメンタルを削られた時、心の中で「あのアホが!!」と呟いたり、気の知れた人に「本当にあの人ってアホでさ・・」と愚痴った経験はみなさんにもあると思う。

繰り返しになるが、心の中の声や愚痴で抑えることができずに「その相手と戦う自分が戦うべきアホ」というのが田村さんの大きなメッセージである。
心当たりのある方はこの良書を手に取って欲しい。

2.アホと戦わないためには

本書にはアホと戦わないための心構えやテクニックが多く紹介されている。
以下はその一部。

  1. 善を勧め悪を懲らしめることを人生に期待しない。

  2. アホだと思っている人が実は賢い人物である可能性を忘れない。

  3. アホに対して自分が嫌いオーラを出していることがありそれが事態を悪化させる。

  4. 正義と共に殉じる覚悟がなければむやみやたらに正義を世の中に要求することを避ける。

  5. 自信のある時こそ謙虚に、そして危機感を持って対応する。

  6. 世の中は自分がコントールできないものばかりであることを自覚する。

  7. メディアが発信する姿に影響されない。

「7.メディアが発信する姿に影響されない」というのは私が要約した言葉だが、具体的には以下のような例である。

  • 正義に反する上司に対して倍返しをする。

  • 喧嘩をすることでその相手と友情が生まれる。または深まる。

  • ライバルと激しく衝突する。

グローバルに活動されている田村さんは「アグレッシブな人間が多いと思われている欧米では過剰に戦闘的な人間の評価は芳しくない。映画やドラマで、ライバルや上司と激しく衝突するシーンがあるが、現実では珍しい光景だから取りあげられている」と述べている。

正にその通りだとハッとさせられる。確かに日常のあるあるを演出するメディアもあるが、その多くは非日常を疑似体験させるものなのだ。
正義に反する上司に倍返しをしたり、喧嘩することで友情が深まることを期待したり、憎たらしいライバルを完全論破して羨望の眼差しを受けるのは白昼夢だけの世界でいい。

3.権力には媚びるもの?抗うもの?

権力や既得権益に対して「悪」を連想してしまうのはなぜだろう。
これもまたメディアによる、あるいは伝聞による先入観によるものなのかもしれない。

2期に渡って政界で活躍された田村さんは、当初は権力に媚びる人物に抵抗を覚えたらしく戦うこともあったという。そのような時期を過ぎた今ではそこに時間という貴重な資源を割いたことを反省する過去と記している。
政界には過去も未来も全く無縁な私でも、その戦いは相当にエネルギーを消耗するものだったと想像する。

そのような経験のある田村さんの「目的を達成するために組織力を利用する」という言葉は私自身の反省を踏まえて深く心にささる。

組織で生きられないのなら個人で生きるしかないが、個人で生きていくには相応の稀有な才能や努力、自己管理が必要になる。
そのような人物はほんの一握りであって多くの人は組織に頼って生きた方が楽だし自分の能力を最大限に発揮できる。
また、個人で生きるといっても商売をすれば取引先が法人という組織となることも当たり前であり切っても切れないものなのだ。

権力や既得権益もまた同じように切っても切れないものである。
いずれにせよ、それらは媚びるものでもなく抗うものでもなく「共に生きるもの」だというのが私が行き着いた考えだ。
それがなかなかできないアホなのだけれど。

4.エネルギーを何に注ぐべきか

最近はまっているのは吉田松陰の言葉や伝記である。吉田松陰は「志」の強すぎる人物であった。
志とは「私的」ではなく「公的な」理念や目標のことだ。吉田松陰の影響がとても大きいが、残りの人生は社会のためになる目標に対してエネルギーを費やすことができればと思ったりする。
一方では「自分でコントールできることは限られている」という謙虚さも大事だけれども。

日単位、あるいは週・月単位でエネルギーの配分を間違えて後半でクタクタになった時には、体温計で手軽に体温を計れるように、生命エネルギーも手軽に計れるようになればとアホなことを考えたりする。そしたら何に対して疲弊しているのかをよく知ることができるのかもしれない。

そんな時代がくることを夢想しながら、「いつか来るかもしれない志に基づいた人生最大の戦い」に備えて、無駄にエネルギーを消耗するアホな生き方をしないことを今は心がけるだけである。


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5.About me

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