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3 モラハラのはじまり ハネムーン期と支配と束縛の成功体験

 今思えば。。。ストーカー気質と束縛、支配欲の兆候はお付き合いの最初からあったのに、「私にも悪いところがあるから」と言いなりになったことが、元夫の成功体験になってしまったのかもしれません。

出会ってから付き合うまで

 出会ってからすぐのこと、気づいたらいつも近くに彼が現れるなあと思っていました。特に外見が好みというわけではなかったのですが、優しいし、立ててくれるし、たわいもない話をニコニコと聞いてくれていました。奇跡的に帰りの電車も同じで、その偶然を一人喜んでいたのですが、それは偶然ではなく、彼がわざわざ同じ電車になるように帰宅時間を合わせていたということが後にわかりました。とっても優しい人だなぁというのが第一印象。

 お付き合いを開始してからも、ときどき拗ねて無口になることはありましたが、基本的に朗らかで優しい彼氏でした。ある日、唐揚げを失敗してしまった時も「全然気にならないよ、すごくおいしい!!」と本当にうれしそうにニコニコして全部食べてくれました。この日の出来事が「この人は失敗でも褒めてくれるし努力を認めてくれる」と結婚を意識するきっかけにもなりました。穏やかな毎日に、食事の風景は欠かせないと思っていたのです。腹立たしいですが、15年後の現在も、この時の元夫の嬉しそうな顔を鮮明に覚えています。食事を褒められたのがこの頃だけだったとは、当時は全くわかりませんでした。

モラハラスイッチ

 モラハラする人は、他人に対しては頑張るスイッチがONとなり大変礼儀正しく振舞います。彼女や妻になると頑張るスイッチがOFF,つまり平常運転になり、不機嫌な素の性格が日常生活の大部分を占めるようになります。釣った魚に餌をやらないタイプ、とも言えるでしょう。結婚後は、来客時はニコニコと気前が良く、家族に対しては見下して自分中心の態度をとっていました。

 お付き合い自体はとても楽しい日々でした。時々見せる不機嫌は深刻なものではなく、よくあるカップル喧嘩の一コマくらいに思っていました。しいて言うなら上機嫌95%、不機嫌5%です。しかしある日、納得しがたく、忘れられないくらい悲しい出来事が起こりました。それでも自分の落ち度を反省し(落ち度なんてないのに!)、相手に謝罪し(悪くないのに!)、別れなかったのは、すでに洗脳状態だったからかもしれません。恋は盲目状態です。

しかし、もしこの時別れていたら・・・ママ、ママと毎日そばにいてくれるかわいい子どもたちに出会えなかったので、耐えつづけた過去の自分には感謝しかありません。

最悪な出来事とは

 彼は普段から私の容姿をとても褒めてくれました。「いつもきれいでかわいい」「芸能人になればよかったのに」「服もおしゃれ」私は本当に平凡で、褒められる要素はなかったのですが、こう言われて嫌な気持ちになるわけがありません。自分の容姿には自信がありませんでしたが、例えお世辞でも彼に褒められるのが単純に嬉しかったし、「自信のない私のために言ってくれてるんだ」とさえ思っていました。

 ある日、褒めたついでに「もっと若い恰好したら、ショートパンツとか、ゆるゆるのトップスとか。ああいう感じの」と、彼が道行く遠くの女の子をちらりと見て言いました。「似合うと思うよ~」と。
私は「ふーん、わかった。じゃあ今度買い物行ったときにでも見てみる」とその場は終わりました。
 そして後日、買い物ついでにショートパンツ、トップスなど、言われた通りのものをディスプレイされているものから一通り買い、彼が褒めてくれるところを想像して着るのを楽しみにしていました。そう、彼がリクエストした通りのものを買ったつもりだったのです。

「ほら、こないだ言ってたような服買ってみたよ!こんなん着たことないからわかんないけど、どうかな~」と服を見せました。すると彼が一瞬不機嫌になった、気がしました。そして彼の声のトーンが下がりました。
モラ彼「・・・なんでこれにしたん?俺が言ってたのと全然違うで」
「え、そうなの?でも流行りだかなんだかでお店に飾ってあったよ」
モラ彼「いやこれはナイわ。これも。こんなん着て恥ずかしいで!」
「え・・・?言われた通りのやつを探したつもりやったんやけど・・・」
モラ彼「・・・さあ?えって言われても困る。自分で考えたら」
「そんな否定されて・・・じゃあもう捨てるしかないやん…」(涙目)
モラ彼「さあ・・・捨てたいなら捨てれば。持っとってもその服のセンスはナイけどな!」
彼は表情を変えずに言いました。これが初めての喧嘩、いや、びっくりし過ぎてまったく言い返せなかったので喧嘩にすらなりませんでした。ただ、私の心拍は上がり、血の気は引き、何故ここまで否定されるのか理由も教えてもらえないし、どこがリクエストと違うのかもわからないし、頭がぐるぐると回りました。不機嫌な空気に耐えられず、とうとう「・・・ちゃんと細かい特徴まで調べないで、思い付きで服を買って勝手に盛り上がって、ごめんなさい」と謝ってしまいました。これが、モラハラ彼氏が、相手を自分の意のままにできた、謝罪させた、という成功体験になってしまったのだと思います。でもこの時はこうするしかなかったのです。

その後はふつうの機嫌に戻り、何事もなかったかのように冗談を言って笑ったり音楽を聴いたりしました。それが逆に恐ろしいと今ならわかります。暴力をふるった人が急に優しくなるのとまったく同じだからです。当時は、彼の機嫌が直ったことにホッとしただけでした。

彼が帰った後、紙袋に入った服を見て再び悲しみが襲ってきました。
喜んでくれると思ってわざわざ買ったのに・・・
悔しくて悲しくて涙が込み上げてきました。私はただ、楽しい時間を過ごしたかっただけなのです。
「もう知らん!」
私は買ってきた服をすべてごみ箱に投げ捨てました。いつも優しい彼が、急に不機嫌になる理由がわかりませんでした。彼は服にこだわりがあるから、私が真剣に話を聞いていなかったのが悪かったのだろうか。購入する前に写メして相談すればよかったのだろうか。どこにもぶつけることのできない怒りが、次第に自分への反省になっていたのです。

最悪な出来事だらけの日常になっていく

この出来事は最悪ですが、まだまだ色んな出来事が起こっていきます。一度スルーしてしまうと、とことんモラハラに気づかないのです。しかも当時はモラルハラスメントという言葉すら知りませんでした。妻は夫を立てるもの、という昭和時代の正義の元、共働きであるにも関わらず内助の功をひたすら実践することでしか、家族の平和と幸せを保てなかったのです。相手を変えるなら、自分が先に変わればよい、という考えは、モラハラの場合に限って言えばとても危険です。確実に寿命は縮みます。過去の私、よく頑張った。辛抱した。今の幸せはあなたのおかげ。ありがとう。

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