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日本酒沼に引きづり込んだ犯人プロファイリング その2<御湖鶴編>

続きものです。

<真澄>を呑んで日本酒に興味が深まったあんかけくん。しかしそこから今のような日本酒マンになるまでは、まだ間があります。その間、何があったのでしょうか。

遡ること2020年9月12日、長野県諏訪市の霧ヶ峰でキャンプをしておりました。

霧ヶ峰キャンプ場と真澄と私

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多分、日曜の天気が悪いとかで山に行くって感じは無かったのでしょう。霧ヶ峰にある<霧ヶ峰キャンプ場>でのまったりキャンプでした。

キャンプ自体が目的ではありますが、それ以上に真澄の蔵元に行きたかったのだと思います。

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霧ヶ峰からビーナスラインを下って諏訪市の街中に入ると、真澄の直営店<セラ真澄>に突き当たります。「ここで日本酒を調達して、キャンプ場で炭火でまったり……でへへ」なんて考えてました。

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キャンプも終えてさて帰ろうかとなる訳ですが、真っ直ぐ帰るのも面白くありません。ちょっと下諏訪大社でも寄っていくかなとGoogle Mapをいじいじしていた時のことです。「おや?なんか酒蔵あるぞ」

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日本酒について全然知らなかった当時のあんかけくん。御湖鶴……?知るはずがありません。しかしあんかけくんの知識度に関係なく、知らないには知らないだけの理由がありました。

御湖鶴とは

というのもこの御湖鶴、2016年に自己破産しています。正確には<御湖鶴>はブランド名です。蔵元は<菱友醸造>と言いました。創業1912年の老舗。下諏訪唯一の酒蔵だったそうです。国内の日本酒需要低迷の煽りを受けて、2016年6月に負債額約2億4000万円で自己破産しておりました。

じゃあこのGoogle Mapに映っているのはなんだ?となる訳ですが、その後経営母体を変えて復活しておりました。経営を引き継いだのは何と福島の運送会社<磐栄運送>です。「なんで運送会社くんがここに?!」という話はSAKETIMESの記事によくまとめられているので、そちらをご参照下さい。

経営母体だけでなく、杜氏の方も外部から招いています。また醸造設備も2020年期から一新しています。つまり全く別の酒蔵に生まれ変わっています。

おもろいやん。行くべか。

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というわけで行ってきました御湖鶴です。2020年7月にできたばかりという直営店がピカピカに輝いています。

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いざ入ると店員さんがいらっしゃる訳ですが……??「どこかで見たような……あ!杜氏の竹内氏やん!」。

丁度酒造りを休んでいる残暑でしたので、何と杜氏自ら接客をして頂きました。「写真撮ってもいいですか…?」と恐る恐る声をかけると「どうぞどうぞ!バズらせて下さいね!」と気軽に答えていただき、嬉しみ。

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御湖鶴のラインナップは単純明快。ベースとなる<辛口純米酒>は昔ながらのクラシックなラベル。<磨50%の米種違いシリーズ>はどこか垢抜けたラベルで米種によって色が異なります。それと<純米大吟醸>です。実質的には<磨50%の米種違いシリーズ>がメインラインナップになります。

※<磨50%の米種違いシリーズ>はあんかけくんの勝手な命名で正式名称ではありません。

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<磨50%の米種違いシリーズ>は山田錦、五百万石、美山錦、ひとごこち、山恵錦、金紋錦の6種類です。それぞれ<無濾過生原酒>と<火入れ>の2種があります。下諏訪の酒蔵直営店に行けば両方置いてあるので、迷わず<無濾過生原酒>を選ぶと思います。しかし<火入れ>も全て<瓶燗急冷>によるもので、拘りを感じられます。

瓶燗急冷:貯蔵タンクから瓶詰めした後にお湯に浸して火入れする方法。時間・手間・コストがかかる火入れ方法のため、一般的には純米大吟醸酒の火入れなどにしか使用されない。

最初に呑んだのは霧ヶ峰キャンプ場の帰りに買った<五百万石>です。その時の感想がこちら。

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ベタ褒めですね。思えばこの瞬間に<あんかけ史上最大の日本酒ブーム>が始まったと思います。とにかくうまかったと記憶しています。その後、八ヶ岳の帰りなどで諏訪に寄る度、直営店に伺い、<磨50%の米種違いシリーズ>は全て呑みました。

全6種の中で特に気に入ったのは先ほどの<五百万石>と<山恵錦>です。

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2020年の、しかも残暑〜秋口の話なので既に熟成が進んだものの感想になります。なので今の季節の新酒では少し印象が異なるかもしれません。また、今年はまだ<辛口純米酒>と<美山錦>の2種類しか酒屋で見たことがありません。酒屋の方に聞いたところ「順序醸していく」と聞いたので、これからかもしれません。

「御湖鶴って何と似てる?」と聞かれると、答えに悩みます。長野の酒、例えば大信州、信州亀齢、幻舞、鼎などとは全く異なります(それぞれ個性的なので)。県外の酒で例えると、自分が飲んだ中では<町田酒造(前橋)>が印象としては近いかもしれません。

また「呑んでみたい!」と思っても、2020年度から本格スタートした蔵なので、まだまだ特約店が少ないです。諏訪の直営店に行ければ一番いいのですが、特約店一覧がホームページにあるので見てみて下さい。また送料はかかりますが公式サイトから通販で買うこともできます。

また諏訪の直営店限定でKeyKeg貯蔵のものをその場で瓶詰めしてくれるサービスもあります。

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KeyKeg:オランダ生まれの飲料物貯蔵システム。何だかすごいシステムで、一切の劣化を防ぐそう。

確かにKeyKeg貯蔵のものは<無濾過生原酒>と比較してもフレッシュ感が段違いでした。お好きな人はどうぞ。

最後に

昨今の日本酒低迷に加え、居酒屋の営業縮小によって日本酒業界は近年稀に見る厳しい状況が続いています。御湖鶴は日本酒の中でもキツすぎず、スルスルと呑めてしまう酒です。普段は「日本酒はおじさん味がして、ちょっと……」という方にもオススメです。