ルックバック

記憶に付随する感情とは経緯が大切で

ただ単に悔しくなったことを覚えていても

理由を忘れてしまっては

当時の感情を生々しくは思い出せない

だから私はAM3:30

とても眠い目をこすりながら

寝るまでは今日論を以って感情の記録を残す


私には一つ上の従姉妹がいる

彼女から誘われて今日は映画を見てきた

「ルックバック」

彼女は既に一度観たらしいが

芸術に携わる私にも刺さるものがあるはず、と

前知識0の私を映画館へ連れて行ってくれた


割と序盤から印象的なシーンが点在していた

自分が見つけた自分だけの”好きなもの”を

がむしゃらに追いかける眩しさ

競い合いながらそれを共有していく、

誰かと一緒に極めることの尊さ

そして少ないセリフと多くのカットで

たくさんの含みを持たせた映像


そこに言葉はいらなかった

シーンの勢いが、表情が、

幾度となく自分と重なった

”含み”、すなわち

受け手主体で受け取れるよう

作品に持たせた少しの”余裕”


制作をする人間には大きく分けて

2つの種類があると思っていて

制作手段タイプと制作目的タイプ

前者は制作物を通して自分が褒められたり

認められることを目的としていて

制作をやっている自分が好き

あくまでも制作は手段、というタイプ

後者はただ制作をすることが好きで

技術を上げることを目的としていて

その制作自体が好き

制作することを目的としているタイプ


ここってお互いが本気であればあるほど

本当に相性が悪いなと思う

目的が違えばアプローチも反応も

それぞれが違って来る

それって当たり前なのに

ないものねだりしちゃうんだよね

私はあの子よりもっとこだわって作ってるのに

目先の評価はあの子の方が高い、とかね

そのこだわりがちゃんと滲み出るまで

黙って技術を磨くに限るんですがね

それぞれがどっちのタイプに属してるか

見分ける能力が乏しいからなのかもね

まあ頭でわかっていても

そんな単純じゃなかったりもする


映画のキャラクターはとても純粋だった

それぞれの歩幅さえ合えば

うまくお互いの歯車が噛み合っていたから


私はどちらかというと後者だ

どちらかというと、というより圧倒的かも

それ故強いところも弱いところも

ある程度頭の片隅にはずっといて

対照的な二人のキャラクターに

学ぶことがとてもあった

後者目線で見た時に何で前者に対して

こんなに素直でいられるんだろう、

私に足りないのはこの部分だな、とか

なんかもうドドドド真面目モードで

スクリーンを眺めてた


さすが遺伝、という感じだけど

従姉妹も2回目にして

ドドドド真面目モードでいてくれたので

終わってから二人でたくさん話した

登場人物の同じことに一緒に打ち込める関係性と

それを可能とさせる環境って 

とても羨ましいよね、と

他人事のように呟いてハッとした


彼女とは物心ついた時から一緒に過ごしてきた

彼女は一つ上だが早生まれで

学年が繰り上がったので

幼稚園に入るまでは同い年だと思っていた

彼女は小さい時からとても絵が上手くて

発想力も長けていて何故かいつも私の知らない

おしゃれなおもちゃを持っていた

そんな彼女が私はずっとずっと羨ましくて

小さい純粋なユウナは

その後ろをずっと追いかけていた


アンパンマンの描き方がFAXで送られてきて

その通り書いて送り返すと厳しく添削されたり

(もうちょっとほっぺは丸くかけよ、とか)

(鼻のツヤはもう少し大きく、

とかなんか知らんけど)

二人でそれぞれ漫画を描いていたり

(大抵プリンセスが悪者に囚われて

王子様が助けに来る)

(女児ユウナ囚われたがり)(だいぶメルヘン)

ファッション雑誌の真似をして企画を考えて

ノリノリモデルポージングで

デジカメで撮った写真を

わざわざ写真屋さんで現像して

(まじで恥ずかしい)

スケッチブックにコラージュしてたり

(見出しもちゃんとつけてた)

(大人気モデルユウナ©️の私服コーデ!とか)

(まじでだいぶ恥ずかしい)


あと二人ともYUIが好きでよく歌詞も書いていたな

小学校とかまでやってた気がする

幼稚園の小学校の周りの友達が

誰もやらない遊びを

私たち二人で考えて没頭していた

羨ましいと思っていた映画の世界が

私たちの幼少期にはっきりくっきり存在していた


今考えるとちょっと恥ずかしさもあるが

(特に”大人気モデルユウナ©️の私服コーデ!”ね)

この時間が確実に今の私たちを作り上げた

(彼女も今クリエイティブ職についている)

あの時の勢いや何にも邪魔されない無限の時間と

小学生という大きくかかった制限のおかげで

本当に想像力と好奇心が豊かになったな、と

当時の私たちは歩幅が合っていて

とても相性も良かったな、と

そのおかげでぐんぐんペダルを漕いで

別に何の役にも立たないことなのに

ただただ楽しんでいた

それが一番の武器かも、と気づいた

楽しくて自然に没頭してしまっていることほど

勢いのあるものはないからね


いくら制作目的タイプだからといって

受け取った相手の反応が良くて

嬉しくないわけがなくて

しっかり受け手がいていくれる、

その前提があるから

私はこんなこと言えるのかな、

とも思ったり

本来制作するだけで満足するのなら

誰にも公開せずにやってたらいいんじゃない?

と何のために出てきたのかわからない

自分で自分の痛いとこを突く声が

聞こえてきたりもするが

まあ私は人が好きなんでしょうね

自分が楽しくてしょうがないこと、

その末に生まれた

楽しくてしょうがない魂がこもった作品

その作品をみんなに見てもらいたいんでしょうね

音楽は孤独だけど

孤独を共有してくれるものでもあると思うから


私の音楽を今受け取ってくれているみんな

いつも私に伸び伸びと制作をさせてくれて

本当にありがとう


噛み合いたいね、何にでも

言語化する必要のない意識の部分で

何かのレベルが少し上がった


寝る















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