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[隠れ神作!] 僕は僕の書いた小説を知らない レビュー

批評→分析→褒め(稀になし)
の流れになります。ぜひ、最後まで読んで貰えると嬉しいです。

主人公は小説家で前向性健忘を持ってて寝る度記憶がリセットされる(1週間フレンズの毎日版的な)。その困難を乗り越え、自分が納得できる小説を仕上げて結末に持っていく。
どう読むかによって深みが大きく変わってくる作品じゃないかと個人的に思う。
スラスラと物語だけ拾うと正直ちょっと薄く感じてしまうところがある。自分の病気と向き合いつつ、恋愛要素もみたいな。

毎日記憶がなくなるからその日あったを正確に残して行かなくてはならない。まずその行為、もっといえば姿勢が今の日本人には必要ではないかと思う。
要するにメモ魔的な。
大事なことを書き残し、後の事は忘れる。そういった生き方が大事なのではないかとこの作品を読んで思わされた。途中、主人公が小説家を辞めようと思う時がある。今まではずっと自分を鼓舞する言葉を残してきたのに、それを消し諦めたような言葉を残した。
そして、やはり思った。例え辛いことがあってもそれを乗り越えていこうと言うポジティブな姿勢。それを毎日残し自分の目で見る。
それが出来れば世の中で出来ないことなんて無いのではないか。
そこまで考えさせられたこの作品は神作と言っても間違いないと僕は思う。

ここから分析
①ストーリー 5点(5点満点)
内容自体は途中で予測ができ、実際予想通りの結末を迎えた。しかし、泣いた。
予測っていうのはある種、理想のようなもので臨むべき姿で終わってくれたという見方もできる。だから、終盤、分かっていても涙をこぼしたのだろう。
勿論、そこには表現力の豊かさやオシャレさがある。
なろうから来たとは到底思えないほどに……

②キャラクター 4点
これ!といった強いキャラクター性があると言ったわけではないが、全キャラクターに対して好感が持てる。みんないい人でみんな自分を持ってて、あ〜人っていいなって思える。そして、日本昔話のエンディングを思い出す。
そこそこリアリティを感じ、アニメというよりはドラマ化とかすると面白いんだろうなって思う。

③世界観 4点
世界観という表現にすると凄く難しく感じるが、恋愛や努力する姿を前面に押し出しつつも少し捻りを加えるといった良さを世界観とするならば評価は高いように思える。野球で表現するとツーシームみたいな世界観と個人的には感じた。

④読みやすさ 5点
なろう出身の作品だけあって細かく細かく区切りがありながらも続きが気になる展開に仕上がっていて読みやすい。一つの章が長いと途中で読むのを辞めることに躊躇するため、読み始める時はある程度時間を作った工夫が必要だったりするが、それがない。ちょこちょこ読み進めていける。それが個人的に1番読みやすく感じた。
また、登場人物が少なめで誰が誰かハッキリしているのも読みやすい点の一つと言っても過言ではないと思う。

総じて
アニメとかには向いていないと思うが実写映画とかにすればそこそこ盛り上がるのではないかろうかと思った。しっかりオチがあって途中に伏線を貼っておくというシンプルな構造ではあるものの、それを理解した上でなお感動するといった事が、この作品の良さであるなと思った。ぜひ、読んでみてほしいと思う。